2番目の公認会計士・道幸尚志さんは『監査の実務上の留意点』について
- なぜ、不祥事はおこるのか。地方公共団体のUSBメモリー紛失事件・不適正契約事務不祥事。不正発生のメカニズム。
・「不正を犯す動機」動機の存在は。従来慣行の維持のため。自己保身のため。自己の利益のため。
・「不正の正当化」自己の不正行為を正当化する。従来からの慣行である。赤信号みんなで渡れば怖くない。緊急避難的行動である。一時的なものですぐ解消する。
・「不正を犯す機会」機会の提供(管理が不十分)チェックが甘く、発見されにくい。発見されても、うやむやに・・・(結果が出れば、多少のことは見逃す傾向)
- 不祥事発生防止のために 不正防止の3つの防護柵
・人←コンプライアンス体制の整備
・仕組み←内部チェックの整備
←監査の充実
- 京セラの経営哲学『人に罪をつくらせない』仕組み作り(内部統制の本質)
・ダブルチェックシステム→真面目な人でも魔が差してしまい、ちょっと借りてあとで返せばいいと思っているうちに、だんだんとそれが返せなくなってしまい、大きな罪をつくってしまう。これは管理に油断があったために作らせてしまった罪でもある。よしんば出来心が起こったにしても、それが出来ないような仕組みになっていれば、一人の人間を罪に追い込まなくてもすむ。そのような保護システムは厳しければ厳しいほど、実は人間に対し親切なシステムなのである。(稲盛和夫の「実学」より)
4,地方公共団体における監査
監査委員監査実施上の留意点
・監査の前提となる監査力「監査委員監査は、問題を見つけてなんぼのせかいである。」
・いかに問題を見つけるか。地方公共団体の事務のどこにリスクが潜んでいるかを事前に予想できるか。(問題が起こる前に対応する)事務事業の内容の把握。他市町村事例の分析。包括外部監査報告書の問題分析。ある程度の経験をする。
・空残業。超過勤務手当について、抽出により時間外勤務の命令や認定等の手続及び時間外勤務の理由について確認。また、勤務状況や出張命令等との整合性を確認。
・契約、随意契約の理由の妥当性。設計変更契約金額は落札金額の落札率と同等か。
・金額の大きい変更は認められない。金額が大きい工事だったら他の会社がやったかもしれない。
・国庫補助金活用事業を入札したら半額だった。ので、他の事業もすることにした。工事年度内に工事が完了しないと国からの補助金返還になる。入札をしていると工事期間を確保できない為、追加の分は一者随意契約で発注したのは好ましくない。
・年度末のコピー用紙などの大量発注はよくない。予算の使いきり。
・豊富な経験のある団体として、長年随意契約をしていたが、団体は作業を外部委託してきた。豊富な経験にはなっていない。
・団体への支援事業補助金が要綱に無い経費に充てられていた。
- 監査事務局職員の課題
・人事異動による、監査における専門的知識、技能の蓄積に限界がある。監査対象部署に対する遠慮が出てくる。
・外部的補充として、任期付き職員の採用や監査の外部委託がある。
・職員がする場合の長所としては、行政事務に精通・実務に精通していること。
演習問題がたくさん出されて、自分たちはやっているとか、そうなのかとか。