我輩の頭の毛がいよいよ少なくなって来た。
「おい、俺に鬘(カツラ)が似合うかな?」
「カツラをつけて、どうするの?」
「ソリャア~つけたほうが格好いいだろう?」
「格好いい?」
「そうだ!」
「今更 何を言うかと思うとそんなこと?」
「何がそんなことだ!」
「いい歳をして何を考えているかと思ったら・・・」
「まったく~ゥ・・・」
カミさんの嘆くこと!何も買うと言ったわけでなし。
「カツラ?」
「そうなんだが?」
「したければしたら?」無責任な返事が返る。
「でも な~あ~・・・」
「何が?」
「カツラな~あ・・・」
「凄く高いのだ」
「どのくらいするの?」
「未だ聞いてないがネットで調べたら安くて百万くらいだって・・・」
「百万?」
「あんたの頭に百万円のカツラ?」
「勿体無いね~」
「何が?」
「なにがって・・・?」
「然し俺がカツラをして歩いていて、ご近所の方に会ったら、つい、カツラを脱いで挨拶をするかもな~?」
「変なことを考えるのね~」
「今のカツラはそんなに簡単に脱げないように作られていると聞いたよ」
「そうか、随分と進んだのだな~」
「それにしてもあんたは暇な人だね~ェ」カミさんの呆れた声が聞こえる。
なにも我輩はそれほど暇ではない!毎日が日曜日とは言いながら、何かと忙しく出歩いているのだ。
「分からんか!」
「最近な~ァ~、なんだか床屋に行っても、この禿頭どうするの?って感じだよ」
「そんなことを言っても、どうにも成らないでしょう。呆れた!」
我輩も余り暇とは言えないが、どうも、スッカラカンの頭の中が空いてくると何か詰めなければと思うのかも?
普段、我輩は身なりには無頓着なのだが何故か最近気になる。
そうは言っても鬘(カツラ)をつけた我輩を想像すると太極拳や種々の会の方が驚き呆れるのではと、また、あらぬ心配も出てくる。
鬘(カツラ)は兎も角、背広は作らなくてはいけないなと感じ始めてきた。
ただ、亡き父もなくなる直前に知り合いの洋服屋さんに背広を注文して誂えて作っていた。
この背広には亡父は一度も腕を通していなかった。
痩せた父の背広は太った私には勿論会わない。
姉の旦那さん(義兄)にはぴったりだと思ったが、そのまま天国に送ったものだ。
このような事を考え始めたのは我輩の余命もあと幾許(イクバク)もないのかな?と思う。
江戸川柳
新調の背広で出てゆく先は空の果て?と言うことかな?
「おい、俺に鬘(カツラ)が似合うかな?」
「カツラをつけて、どうするの?」
「ソリャア~つけたほうが格好いいだろう?」
「格好いい?」
「そうだ!」
「今更 何を言うかと思うとそんなこと?」
「何がそんなことだ!」
「いい歳をして何を考えているかと思ったら・・・」
「まったく~ゥ・・・」
カミさんの嘆くこと!何も買うと言ったわけでなし。
「カツラ?」
「そうなんだが?」
「したければしたら?」無責任な返事が返る。
「でも な~あ~・・・」
「何が?」
「カツラな~あ・・・」
「凄く高いのだ」
「どのくらいするの?」
「未だ聞いてないがネットで調べたら安くて百万くらいだって・・・」
「百万?」
「あんたの頭に百万円のカツラ?」
「勿体無いね~」
「何が?」
「なにがって・・・?」
「然し俺がカツラをして歩いていて、ご近所の方に会ったら、つい、カツラを脱いで挨拶をするかもな~?」
「変なことを考えるのね~」
「今のカツラはそんなに簡単に脱げないように作られていると聞いたよ」
「そうか、随分と進んだのだな~」
「それにしてもあんたは暇な人だね~ェ」カミさんの呆れた声が聞こえる。
なにも我輩はそれほど暇ではない!毎日が日曜日とは言いながら、何かと忙しく出歩いているのだ。
「分からんか!」
「最近な~ァ~、なんだか床屋に行っても、この禿頭どうするの?って感じだよ」
「そんなことを言っても、どうにも成らないでしょう。呆れた!」
我輩も余り暇とは言えないが、どうも、スッカラカンの頭の中が空いてくると何か詰めなければと思うのかも?
普段、我輩は身なりには無頓着なのだが何故か最近気になる。
そうは言っても鬘(カツラ)をつけた我輩を想像すると太極拳や種々の会の方が驚き呆れるのではと、また、あらぬ心配も出てくる。
鬘(カツラ)は兎も角、背広は作らなくてはいけないなと感じ始めてきた。
ただ、亡き父もなくなる直前に知り合いの洋服屋さんに背広を注文して誂えて作っていた。
この背広には亡父は一度も腕を通していなかった。
痩せた父の背広は太った私には勿論会わない。
姉の旦那さん(義兄)にはぴったりだと思ったが、そのまま天国に送ったものだ。
このような事を考え始めたのは我輩の余命もあと幾許(イクバク)もないのかな?と思う。
江戸川柳
「本降りになって出て行く雨宿り」
新調の背広で出てゆく先は空の果て?と言うことかな?
外出する私を見て「帽子かぶった」「いらないよ」
「禿頭で歩くなら,帽子をカぶったほうがいいよ」
暑さを心配してくれたのかと思いきゃ、禿を隠せだったのだ。
床屋にゆくと気に入らぬことがある。
「お客様これで宜しいですか」と頭の後ろを三面鏡でみせる。普段鏡を見ても見えない後頭部の禿が丸見えになるのだ。
「はい、結構です、結構です」と言ったときは時すでに遅しです。
思わず噴出しました。その通りです。奥様も達者なものですね。感心しています。