大島恵真(おおしま・えま)の日記

児童文学作家・大島恵真の著作、近況を紹介します。
絵本作家・大島理惠の「いろえんぴつの鳥絵日記」もこちらです。

同時代性

2021年01月04日 | 個人的なエッセイ
同時代性とは、同じ時代に生きる感覚、のようです。
児童書の執筆でいつも重要だな、と思っています。
一般書でも重要かもしれません。読むのは、今を生きる人たちですから。

私が読書を始めたのは18歳からで遅いスタートでしたが、そんな本と遠かった私でも、中学のときに人気だった本というのがあり、みんなで、主人公を自分のように感じ、「えっ、次はどうなるんだろうね!?」とわくわくしながら回し読んだことを思い出します。
文字には、当時はやっていた漫画やテレビアニメとも違う、ピンポイントな濃さがありました。

あのとき、それらの本に、同時代性を感じていたと思います。

普遍的な、何十年も読み継がれる本を書きたいと思ういっぽうで、今の人が「これは自分のことが書かれている!」と思えるような本を書ければ…と思います。

児童書の同時代の人たちといえば、10代までの人たちです。むずかしいです。当時の自分を思い出して書くのですが、時代背景、環境、身の回りの景色など、どこまで今の人たちの同時代性に迫れるかがポイントかな。

私は人より5年遅く大学に入ったので、入学当時は4、5歳下の人たちに囲まれていました。聞いている音楽や漫画もまったくわからないものばかり。最初は「なんだろうあれ…」なんて傍観していたものの、だんだんみんなと仲良くなるにつれ、文化がわかってきます。ついには「なんてすばらしい音楽(漫画)なんだろう!」と思うまでになりました。あれも同時代性だったと思います。

いっぽうで、この同時代の感覚は、一般には通用しない、普遍的ではないものなんだろうな、と思ってはがゆく感じることもありました。バイト先の人などに説明しても、まったく理解されないときなどに。
それだけ、自分「たち」の間では光る、大切な感覚だったのです。

本でも、そんな感覚を出せたらいいのですけど。

なんてことを、つらつら考えております。

※photoは、テレビでオーケストラを見ながら縫い物、の一場面。ネコは毎晩、こうやってのびてくつろいでくれています。

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