ふくろう親父の昔語り

地域の歴史とか、その時々の感想などを、書き続けてみたいと思います。
高知県の東のほうの物語です。

久方ぶりの講習会

2010-02-09 22:47:04 | Vision East
 今日は久方ぶりの講習会に行ってきました。

 場所は安田町。
 テーマは素顔の直島

 講師は観光協会の方とガイドをしておられる方のお二方でした。
 面白いお話でしたね。
 現在この島に30万人を越える観光客が訪れているそうで、観光産業が急成長をしているのです。お年を感じさせない発言は楽しい時間でした。

 直島といえば、ベネッセです。かつての福武書店ですね。
 
 かつて日本には総合保養地域整備法(通称リゾート法)なるものが施行されておりました。20世紀の終わりごろのことです。全国でも2000ヶ所以上ものリゾート施設が建設施行された頃です。多分直島でも藤田開発など、開発業者の参入によって、出発をしていたのでしょうが、大きなダメージになる前に、福武氏によって救われるのです。
 このリゾート法。第1号が宮崎県のシーガイアでした。たしか2000億円を投じた大規模開発だったような。しかし結局倒産をいたしました。
 高知県でも県庁内に国民休暇県局が設置され、須崎あたりに保養村が作られ失敗したことがありました。あの頃のことです。

 福武書店の経営者はサービス業についてよくお分かりだったのです。
 箱を作っても人は来ないのです。どの様なテーマで何をつくり、どの様な場所から集客をするのか、ベネッセの戦略は明快なのです。
 設計は安藤忠雄氏。打ちっぱなしのコンクリート。生活感のない空間。しかし美しいのです。私も後で泊まることになるのですが、美術館の中で宿泊をするようなホテル。美術品とともに生活する。そんなイメージです。

 日本では芸術品は床の間であったり、美術館であったり保管が主体で見ることは後なのです。あそこでは、それが全く違うのです。日常の中に芸術品を普通において、当たり前にしてしまっています。あれほど自然にアートに接することが出来るのは、外にはないなあ。東京都の立川市に少しその匂いが感じられるぐらいです。あと箱根かな。

 進研ゼミを展開をする福武書店にとって文化活動のシンボルとしてのメセナであったろうし、イメージを膨らませるための場所でもあったのでしょう。
 アートを売り物に観光客を集めようとしたのです。

 日本でも先進事例だったのです。外には山口県の宇部市が彫刻の町づくりを提唱しましたが、残念ながら、未だ観光産業と施策が合致していないのです。
 さらに長野県松本市が斉藤記念オーケストラを招いて地域観光を意識しましたが、演奏会の期間は元気なのですが、それ以外は難しいのです。イベントとしては定着しましたが観光客としてはそれほど増えているわけではないようなのです。大分県の別府や宮崎市などもその実例です。成功事例とはいえないのです。
 最近の成功事例としては大分県の由布院でしょうか。あそこは特別です。

 しかし、直島は福武氏と出会ってよかったのです。もし彼がいなければ、困ったことになっていたはずです。ただ、三菱マテリアルの存在は、特に環境問題にとってその会社の存在はこれから大きな影響を直島に与えてくれるでしょう。

 ベネッセと三菱マテリアル。日本でも先進的な企業の存在は、直島に活力を与え続けてくれるでしょう。
 講師としておみえになっていた2人の活力に乾杯です。
 塩作りに、また地場産品作りに頑張っていただきたいものです。

 さて、ベネッセもなく三菱企業もない高知県の東部地域が、88ヶ所巡礼の方々と古民家さらに、森林鉄道遺産を使ってどの様な観光を提案するか、期待大です。

 ただこれからアートは難しいでしょうね。美術館は補助金で建設できますが中に入れる美術品はなかなかに、最近は高いのです。モネの公園にモネの絵画の実物が一枚あると随分と違うのですが、10億円程はかかりますからね。10億円あるともう一つ公園が出来てしまいますからね。
近代アートはそれほどではないにしても、う~~ん。投資効果は・・・。計算がたつかな。

蔵の壁

2010-02-09 10:19:44 | 建造物入門
 この蔵は奈半利町にある濱田典弥邸の蔵で明治後期の建築とされています。すでに100年をゆうに経過しているのですが、古びた印象を与えません。

 写真は蔵の南面の壁で基礎の上に海鼠壁、そして水切り瓦が5段?6段だったかがついています。左官職人が持っている技術を駆使して作ったものであることは一見してわかります。

 4隅の際には角のような造作があり、印象を強くしています。
 この家には今は基礎しか残っていないのですが、米蔵は別にあったようですから、この蔵は資産保管のための蔵です。

 蔵の入り口の扉には家紋の丁子紋が入り、自己主張をしているようです。
 あちこちの蔵に家紋が扉に施されているのです。また屋根の瓦にそうした意匠がありますが、あれはやはり、家格を誇示しようとしたものでしょうかね。

 俺のところは・・・だぞ」といったところです。
 表札を出すだけでは、足りなかったのですね。

 我が家にも蔵らしきものがありますが、中に入れる価値あるものがありませんから、単なる物置になっています。ああ!!。これは関係なかったですね。失礼。

 この蔵の北の壁の傍に小さなステージを作ってミニコンサートを開催したことがありましたが、夕暮れから夜間になるにつれ、これらの壁をライトアップすることで、演出的には成功したことでした。
 下部からライトを当てると水切り瓦の上に影の帯ができて、幻想的な場を作ってくれます。
 薪で篝火を炊いても、揺れる炎が壁に映って表情が出ましたね。
 いいスクリーンになりました。

 この蔵。さほど大きくもない蔵ですが、実に印象的な蔵です。