『幻惑の死と使途』、森博嗣
「何かに気がついて、新しい世界が見えたりするたびに、違うところも
見えてくる。自分自身も見えてくるんだ。面白いと思ったり、何かに感動
したりするたびに、同じ分だけ、全然関係のない他のことにも気がつく。
これはどこかでバランスを取ろうとするのかもしないね。
例えば合理的なことを一つ知ると、感情的なことが一つ理解できる。
どうも、そういうふうに人間はできているみたいだ。」
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環境を変えると、色んなものが見えてくる。
それまで理解できなかったことも全然違う体験をすることによって、なぜだかわかるようになったりする。
一年間管理部門で働いてみて元の部署に戻ったら、以前とは違う物の見方が出来るようになっていた。
以前はお客さんから怒られると「怖い」とか「腹が立つ」とか、マイナスの感情ばかりが先に立って、なんでその人が怒っているのかとか、どうしたら誠実に対応できるのかとか、肝心なことが何も考えられなかった。
でも今は違う。
相手が不満に思っている内容を把握して、私が何が出来るのかを考えられるようになった。
前任者から引き継いだ仕事が、「毎回トラブルが発生する仕事」だった。
今いる部署の誰に聞いても、「現場の○○さんが怖くて面倒くさい」という感想しか帰ってこない。
私も異動するなり、○○さんからの怒りの電話を受けた。
でも、よくよく話を聞くと、○○さんのお怒りはごもっともで、どう考えても悪いのはうちの会社の対応。
○○さんにはうちの会社がなぜ○○さんの会社の思っているような対応ができないのかの説明と、トラブルが発生する前に小まめに連絡をするようにしたら、全然怒られなかった。
自分でも驚いた。
確かに○○さんは面食らうほど怒り狂っていたけれど、言っていることは正しい。
そういう考え方の切り分けみたいなことが、出来るようになっていた。
管理部門にいる間は、全く違う仕事をしていたのに。
良いアイデアが思い浮かぶのはトイレやお風呂の最中、というのも、あながち間違っては居ないんだな。
ちょっと違う環境に自分を置くのって、すごく大事なことだ。
一年間、別の部署を経験できて本当に良かったと思う。
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