台風5号が大きな被害を中国にもたらしている。
ユーチューブはこれを報じる動画で溢れている。
たまたまみつけたこちらの動画。
タイトルも字幕も中国語だけなので中国人を対象としたものだろう。しかし外国人がなかなか見られない風景がキャプチャーされていて興味深い。
風王殘餘部隊北上,雄安新區排水能及格嗎!|天津,河北成為北京洩洪區嚴陣以待,撤離任務艱巨|一個颱風十多個省受影響|17級颱風杜蘇芮|#洪水盛宴#基建維護壓力大#幾乎沒有排水系統#雄安
冒頭「保定市」と出てくる。
これだけだとピンとこないが、これこそ習近平が音頭を取って開発した雄安新区のお膝元だ。
ウィキペディアの記事には
『中華人民共和国国務院と中国共産党中央委員会は習近平党総書記の主導する「千年大計」(1000年にわたる大計画)として保定市内の雄県、安新県、容城県などから雄安新区を設置した。』
とある。
それがもう洪水に襲われていて麻痺している。1000年どころか10年ももたなかった。
そもそもこの地が選ばれたのは、人が住んでいない広大な土地で新規開発がしやすかったからだ。
なぜ人が住んでいなかったのか。それは基本的に低地で洪水に弱い土地として忌避されていたからだろう。
そこに敢えて都市を作る。これは自然をあまりにも軽視した政策と言わざるを得ない。
多分習近平が「ここがいいね」と言ったので、治水の専門家も何も言えなかったのだろう。
一応大規模な治水工事が行われた。
こちらの記事をどうぞ。人民網日本語版なので御用新聞だろう。
この工事はつい先日(7月11日)完成したばかりだが、ちゃんと機能したのだろうか?
ネットで調べても、この治水工事が成果を発揮して雄安新区は守られた、と高らかに報ずる記事がない。
もし成功したのなら中共がこれを報じないはずがない。報道がないということは上記動画の冒頭にあるような洪水が雄安新区で発生しているのではないだろうか。
この新区にはとても立派な高速鉄道の駅もできたが、それが洪水にびくともしなかった、という報道もなり。
この駅の航空写真がこれだ。
その外観はこちら。
もう一つ写真を。
すごいですね。でも回りはとても平坦ですね。
こちらのデータによれば雄安新区の標高は最低で3メートル。平均で13メートルだ。
この地図から明らかなように、雄安新区のすぐそばには大小複数の湖があり、このあたりが低地であることを示している。
数日後にはもっと大きな台風6号が周辺を襲うので、洪水が引くどころか、もっと水かさが増えるだろう。
是非、ズバリ雄安新区の状況を報ずるユーチューブ動画を見たいものだ。中国の公式報道は絶対ないだろうね。
今頃は北京で多くの高官が「大変なところに町を作ってしまった」と頭を抱えているだろうね。
1000年持たなかったということで習近平のメンツも丸つぶれだ。どうするのかね。
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まさに今日現在の保定市近辺の惨状を撮った動画を貼ります。
河北涿州已光榮犧牲,積水超4米,車輛幾乎全部淹沒,平房消失,滿天都是直升機,四周都是斷橋和爛路|洪水失控流向北京轄區範圍#洪水盛宴#基建維護壓力大#幾乎沒有排水系統#天津#保定#北京
これを見ると雄安新区が洪水から免れる可能性はゼロでは、と思えて仕方ない。
それにしても酷い状況で、大都市の排水設計がどうなっているのか?
中国は3000年とか4000年の歴史をよく誇るが、それだけ誇るなら過去1000年位の洪水記録を調べて、しかるべき居住区の選定、そして治水、排水を行うべきだろう。
そういう対策もせず、4000年の歴史だけ誇っても、何の意味もない。
東京などは過去の降水、洪水記録からこのままではダメだ、と判断して例の有名な地下神殿を作ったし、今も環七の地下で同じ様な貯水・排水システムの設置工事を行っている。
宇宙開発や軍事、一帯一路などの費やする金があるなら、もうすこし自国民のために使えば、と思うのだが、独裁者の思考は全く違うのだろうね。
改めて日本人でよかったと思う。
中国共産党シンパの旧民主党は「コンクリートから人へ」などと意識高い系のことを言っていたが、政権から引き摺り降ろして本当によかった。