着付けの気づき

着付けの個人教室を行っている先生が、着付や着物に対するこだわりの思いを中心に語ります。

半衿の付け方

2019-03-10 15:30:29 | 着付け教室
長襦袢を着用して着物を着る場合、その衿には普通「半衿」という生地を縫いつけます。

半衿は、着物から僅かに覗く衿のおしゃれとしての役割のほか、頻繁には洗えない素材の長襦袢でも取り外して付けかえることで衿周りの衛生を保つという役割も持っています。

その半衿の付け方ですが、僅かしか見えないとは言え、縫い付け方が良くないと着あがった時の着物の衿ぐりが美しくなくなってしまいますので、特におしゃれとして、また礼服として着用する場合はその付け方は重要です。
私の教室では、私が色々な方の付け方を参考にして考案した「簡単に付けることが出来てしかも着た時に綺麗に着られる」半衿の付け方をお教えしています。

さて、私の教室に和裁師の免許をお持ちの生徒さんがいらっしゃいます。その生徒さんに対しては、半衿の付け方は既にご存知だろうし、ご自身が確立したやり方がお有りだろうと思ってこちらのやり方をお教えすることを躊躇していました。するとその生徒さんの方から
「先生はどのように半衿をつけていらっしゃいますか?」
と尋ねられました。

私は簡単に付けられて、しかも外衿と内衿の内輪差を考慮した、着た時に綺麗な衿ぐりになる付け方をお教えすると、
「なるほど。私のつけ方とは違いますね。私は和裁師の立場で何なんですが、そこまで着た時の仕上がりのことを考えずに付けてきていました。和裁師の間では、いかに針目が美しいかとか、寸分も狂わず左右対象かとかに重きが置かれたりしますけど、この付け方は良いですね。
私、先生の教室に来て着物を着る立場から和裁を見直して、改めて和裁の学校の先生に伺ってみたいこととか、縫製の工夫を提案出来るんじゃないかと思うこと、結構あるんですよ。
和裁師の資格を持っていても自分で着物をきちんと着られない方、意外と多いですし、そこまで着る人のことを考えていないように思うんですよね」
と仰いました。

着物や長襦袢一枚を完成させるには沢山の方々が携わっていると思いますが、その方々が最終的に着る方のことをどれだけ考えておられるでしょうか。やはり様々な技術者と着用者との意見交換は必要なことと思います。 そしてそんな過程から昔の伝統を守っていくことが大切だと感じました。

着物は奥深いですね。


川口着付個人教室
 http://www.wbcs.nir.jp/~yoko/
コメント
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