着付けの気づき

着付けの個人教室を行っている先生が、着付や着物に対するこだわりの思いを中心に語ります。

ヘアドネーションという活動を知っていますか?

2023-06-25 11:03:58 | ヘアドネーション
ヘアドネーション(Hair Donation)とは、小児がんや白血病などの病気、不慮の事故等で髪の毛を失った子どもたちに対し、医療用ウィッグを無償で提供する活動のことです。日本では2009年に国内初のヘアドネーション団体であるNPO法人Japan Hair Donation&Charity(JHD&C)が発足されました。
具体的には「完全に乾いている髪の毛31cm以上を団体に寄付し、団体はそれを使って医療用ウィッグを作り、提供する」という活動です。

私がこの活動について知ったのは、車いす着付師の資格を取るにあたり、福祉についての勉強を自身でしていた時でした。その時は漠然と、いつか私もそのような活動に参加し、誰かを笑顔にできたらな、と思いました。しかしながらその当時の私はいつも、肩にかかるようになると髪の毛を切りに行くという、ショートボブのヘアスタイルでした。

さて、いつものようにそろそろ切って欲しいと思った時に、諸事情で切りに行かれなくなる出来事が重なり、そうこうしているうちに更に髪は伸びました。良い加減切りに行きたいと思った矢先にコロナ禍となり、美容室に行くこと自体躊躇するような事態となりました。
その時、
『あ、これはドネーションの活動に参加しろということなのかも』
と自分なりに思い、それから伸ばすことを決意しました。
そして先日の6/14、ついに40㎝ほどをカットしてもらい、団体に発送することができました。伸ばす決意をしてから3年は経っていたでしょうか。

実は、私自身が今月の27日に右肩の手術をすることが決まっており、術後右手が暫く使えなくなれば、左手だけでは長い髪の毛を洗うのも、乾かすのも、ブローするのも、大変だと思ったということも切ることになる大きなきっかけとなりました。今回の髪の毛のカットは、手術、治療に自らが向き合う大きな決意表明の証でもあります。

私の髪の毛が誰かを笑顔にすることが出来ますように、そして、私の手術も無事に成功して自身が笑顔になれますように。







川口着付個人教室
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肩腱板部分断裂の手術をすることになりました

2023-06-15 16:50:32 | 腱板断裂
去年の夏頃から右肩が痛くなりました。

主人がコロナウイルスに感染して自宅療養をすることになり、私自身の仕事が全く出来なくなった時でした。急に暇になったので、人気を避けてウォーキングをしたり家ではストレッチなどをして過ごしていました。
そのやり過ぎでしょうか…? 今まで色々なところで痛みを感じたことはありますが、今回のこの肩の痛みは、皮膚の表面ではなくて、奥の、奥の方からの痛みです。
「ここが痛い」
と指で指し示すこともできない感じです。こんな痛みを感じたことは今までありません。また、特に夜間に痛みを感じ、睡眠障害まで起こりました。肩の内部でおかしなことが起こっていると正直思いました。

主人のコロナが完治し、私の健康観察期間も無事に過ぎるや否や整形外科に行き、レントゲン、後日MRIでの診察を受けました。その結果、
「棘上筋(きょくじょうきん)の腱板が少し傷んでいるということ、そしてインピンジメント症候群である」
という診断をされました。
原因は長年の使い過ぎと加齢とのこと。
「手術するほどではありません。肩を動かす時、肩にある4つの筋のうち、傷んだ棘上筋を使わずに、傷んでいない他の3つの腱が上手に使えるようにインナーマッスルを鍛えて、傷んだ腱が修復されていけば痛みは取れます。温存療法です。」
と言われ、リハビリが始まりました。

定期的に整形外科に通って医師に診察をしてもらい、また病院の理学療法士さんと一緒に、また家でも自分で出来るリハビリを一生懸命続けていきました。肩の動かす角度によって痛みが出たり出なかったりするのですが、
「痛みが出ない角度であれば動かして良い」
ということでしたので、その角度を探りながら日常や仕事も自分なりに気をつけながら過ごしていました。

ところが、8ヶ月ほど経過しても痛みが取れないので、再度MRIと超音波の検査をしていただいたところ、何と、棘上筋の部分断裂が認められました。前々からインターネットでも、腱板が少しでも断裂をしてしまうと自然に治ることはほぼ無いこと、放置していると進行していくことなどを情報として知っていたので、正直
「えらいことになったなあ」
と思いました。医師からは、今後の治療として、
「手術せず、これ以上傷が広がらないよう温存治療(これは今まで散々やってきたことですね)を今後も続けていくか、手術で断裂部分を塞いでからその後回復するようなリハビリを続けていくか」
の、2つの案を提案されました。

その後色々考えましたが、以下の理由から、手術をしてしっかり断裂部分を塞いでもらってから、リハビリできちんと治していくことが、私にとって前向きで希望が持てる答えであるとの結論に至りました。
1. 何より現在も痛みがあること
2. 今までさんざんやってきたリハビリでは効果が出ないばかりか悪化させてしまったこと
3. 年齢があがると手術が出来なくなる可能性があったり、術後の治りが遅かったりするリスクがあるらしいこと
4. 私の着付けの仕事を今後も続けていきたい気持ちが強いこと

そして医師に、
「手術をお願いしたいです」
と申し出ました。すると、
「やはり、川口さんにはその方が良いかもしれませんね」
と言われました。

現在受けている6/24までのお仕事を終えたら一旦区切りをつけ、その後の仕事はお受けしないか、もしくはお弟子さんたちに全面的にお任せすることにしました。そして、6/26の入院、27日の手術、来月7/3に退院というスケジュールが決まりました。そういう訳で、暫し治療に専念します。今は現在受けているお仕事を終えること、そして無事に手術日を迎えられることを目標に、そしてその後はしっかりリハビリをして、早く日常生活が取り戻せるように努め、お仕事にも早く復帰出来るようにしたいと思います。

可能であれば治療中の出来事や奮闘記などを、この場でアップしたいと思っています。同じ症状でお困りの方に向けて少しでも参考になれば幸いだと思っています。

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雨の日でも安心して着物が着られるには

2023-06-14 17:42:04 | 着付け
先日、朝から晩まで雨風強い一日がありました。

前々からこの日は結婚式に参列されるご予定の方から訪問着の着せ付けを頼まれていましたが、この悪天候の中ではキャンセルになるかもしれないな、と内心思ったりしていました。絹製品は水に濡らしてしまうと生地が縮んだりシミになることがあり、自分では修復ができないようなことが起こる可能性があるからです。ですが、キャンセル連絡も入らず、念の為こちらからも連絡を取ってみましたが、
「予定通り着物で行くので宜しくお願いします」
とのことでしたのでお客さまのご自宅に伺いました。

この大雨のなか、着物で出かけられるのであれば、雨コートなどの雨対策グッズを用意されていらっしゃるか、着付けのあと雨に濡れないよう、ご自宅の玄関先に車を横付けされるのかな、と思っていました。
でも伺ってみるとそういうご準備も無く、ご自宅から駅まで、そして式場の最寄り駅からも普段通り傘をさして歩いて行かれるとのことでしたので、ご衣裳やお草履のことを考えると大変心配になりました。
「着物を購入したお店では5年間、着た後のメンテナンスは無料でやってくれることになっているから大丈夫」
と仰るので、そんなサービスもあるのね、と思いつつ、それでも草履や足袋は濡れますし、鼻緒や台は絹の帯地で作られた高価なものと思われましたので、思わず持ち合わせた草履カバーをお貸しすることになりました。私自身、着付けを終えて帰りしな、お客さまのご自宅から駅に向かうまでの間だけでも大分濡れたので心配していましたが、その日の夕方、
「結婚式に行ってきました。お借りした草履カバーのお陰で草履も無事で、食事も沢山食べられて着崩れもなく過ごせました」
とメールが届いて安堵しました。

私は雨のなか着物(晴れ着)を着る場合は、必ず雨コートを着て草履カバーを草履に装着して徹底的に濡れないように防御します。
でも正直暑い季節を迎えた時には、雨の中コートを着用して過ごす道中は本当に大変なものです。そう考えると、やはり着物を購入された時に後々のメンテナンスを無料でしてくれるサービスをつけておくことや、防水、防汚加工などをしておかれることは一時はお金がかかりますが、長い目で見た時には良いのかもしれません。
或いは、何より「現地で自分で着ることが出来る」という選択肢かあることは最強です。これなら大雨が降ろうと、炎天下であろうと道中は気にせず快適に動くことができます。結婚式場などではほとんどの場合更衣室がありますから、冷暖房の完備されたお部屋で着替えれば良いのです。

やはり、自分で着られると色々なところで融通が効いて便利だな、と改めて思いました。

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音符、ピアノの鍵盤柄の帯を作成しました

2023-06-14 17:14:52 | 和裁
先日、声楽家の生徒さんから、ご自身が出演されるコンサートに招待されました。
私は音楽が大好きですし、大変嬉しく思いました。コンサートには着物を着ていこうといつものように漠然と思い、何を着ていこうかな、とそちらもウキウキと過ごしました。

前々から実はトライしてみたいことがありまして…、それは帯の制作です。
ある着物好きのYouTuberの方が、使わなくなった帯の上に手拭いを縫い付けたり、レースの布を縫い付けたりして素敵な帯に変身されている様子を拝見していて、私も時間が取れたら是非ともやってみたいと思っていたのです。
大分古く柄も私には派手になってしまって、そろそろお役御免かしら…と思っていた帯に、お気に入りの生地を探してその方のように貼り付けようと思いたちました。コンサートに行くのだから、音符とか、楽器とか、楽しい柄の布は無いかと探していましたら、インターネットで音符やト音記号、ヘ音記号、ピアノの鍵盤などがデザインされた楽しい柄の布を発見したのです。しかもかなりリーズナブルだったので(1,000円くらいでした)思わずポチりました。
生地は注文して2日後の午前中には届き、その日の午後からはお仕事がたまたま無かったので、
「よし!作ってみよう!」
と早速始めました。

要らない帯の上に購入した布を乗せて、物差しや定規で測ったり、印をつけたりすることもなくフリーハンドでジョキジョキと裁断し、ただ帯の上からザクザクとまつりつけていきました。布はニ巻き目でお腹の部分に来るところと、お太鼓になるタレの部分だけでも良いですが、生地が余ったのでお太鼓の中に通る手先部分も40㎝ほど、計3箇所縫い付けました。そして、テレビを見ながら、あっという間に帯は完成しました。実は私、ちゃんと帯地と帯芯も用意して一から帯を作ったこともありますが、結構時間がかかったのを覚えています。それに比べて、何とこの帯、簡単なことか!おまけに、また縫いとめた糸を切れば元の生地、元の帯に戻ります。エコですよね。
こんなに手軽に帯に仕上がるなんて、嬉しい限りです。

思わず出来上がった帯を生徒さんたちに見せびらかしました。
生徒さんの中には大変興味を持ってくださった方も居られて、
「私もやってみます!」
と仰っていました。着物も、洋服と同じでコーデを考えたりするのは楽しくなくっちゃですよね。
この帯をどのような着物に合わせるのか、半衿、帯揚げ、帯締めをどのようにテーディネートするか…、色々考えてはウキウキ、そして久しぶりに生徒さんの活躍を拝見するのだと思って過ごすのもウキウキでした。

着物を着るのは冠婚葬祭時だけじゃないですよ、着物が着られたら洋服+αのコーデが楽しめます。


↑仕上がった帯

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