着付けの気づき

着付けの個人教室を行っている先生が、着付や着物に対するこだわりの思いを中心に語ります。

いざという時に着物が着たい

2019-05-24 17:24:44 | 着付け
最近、着物を日常的にとか、普段のちょっとしたお出かけにとか、かしこまらない場で着てみたいと思われる方が増えているように思います。
木綿やウール、小紋や紬などの着物の下にタートルネックのシャツやパーカーを着てみたり、わざと着物の丈を短めに着て長いスカートやホムシュヘム(綺麗な色の生地で出来た裾よけ)を着物の裾から出してみたり、ハイヒールやブーツ、スニーカーを合わせてみたり、ベレー帽やリュックを合わせてみたり…。和洋折衷というようなコーデをインスタやYouTubeでも本当に良く見るようになりました。
カジュアルの場のそれらの着こなしの写真を見ると、
「かわいらしいなあとか、逆に、粋だなあ、とか…、それぞれに工夫されて似合っていて素敵だなぁ、サイズの小さい古着の着物もこういうふうに着たらいいのねー」などと感心して見ています。

さすがに50才を越えたオバサンの私がそれらをやりたいとは思わないけれど、こういう素敵な着方を是非もっと発信して欲しいし、これによって着物を日常に着る方がもっと増えたらいいな、と思います。

フォーマルな場での着物の着こなしとなるとそういう楽しみ方が出来ないケースが多く、
「余分なシワが無いように綺麗に」とか「しきたりやマナーを重んじなければ」と気を遣わなければならないことが、「着物を着ることを躊躇する」ことに少なからず繋がっていると思っています。

さて、そうは言っても依然として、いざという時(冠婚葬祭など)に自分でさらりと着物を着たいと思われている方が多くいらっしゃることも事実ですが、その為には普段から「着物を着ることに慣れている」ことが肝要だと思っています。
それは実は日常に「どれだけ着物を着るか」ということに大きく関わっているのです。
「着物を着る」ことは「車の運転をする」のと同じようなもの。普段全く運転していない方がいざという時にだけ車を運転しようとしてもなかなか上手に運転出来ないように、着物も普段全く着ていない方がいざという時にだけ着ようとしても上手に着られないのは当たり前かもしれません。

有り難いことに古着に限れば着物や帯、その他の小物は、とてもお安く手に入れることが可能な時代です。これらを上手に利用して、いざという時に着物が着られるようになるためにも、日常で着物を着ることをもっと楽しんでみてはいかがでしょうか。


川口着付個人教室
 http://www.wbcs.nir.jp/~yoko/
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帯幅について考える 「小学生が卒業式に袴姿で臨むことは悪いのか?」

2019-05-17 16:38:46 | 
前に当ブログで、半幅帯について最近のものは幅がありすぎるということに触れましたが、小学生の卒業袴の着せつけをさせていただいた際には、尚更それを痛感しました。

女性が帯を締める際、帯の下線(下のライン)は通常腰骨位置より上にしか締められません(それより下だと落ちてしまいます)。
今どきの半幅帯をお持ちになられたお嬢様の場合、帯の下線を腰骨位置に決めたところ、上線(帯の上のライン)はアンダーバストよりも必ず上の位置に来てしまいました。
今どきの半幅帯の幅が広すぎるからです。
これは痩せていてお肉のないお子さんや、背の小さいお子さんにとって、苦しくない訳がありません。
おまけに必然的に袴の位置も上過ぎることになりバランスもよろしくない仕上がりになってしまいました。

帯を適当な幅になるように折りたい気持ちにもなりましたが、帯に本来は付くはずがない位置に折り皺が入るのは良くありません。
何とも釈然としない気持ちになりました。

卒業式に小学生が袴姿で望まれることについては、華美である、お金がかかる、和服に慣れていないお子さんにとって所作が難しい(難しくないんですけど…)などの理由から問題視される方がおられます。しかしながらきちんと和装の知識を持った親御さんが、お母さまご自身やご親戚、お友達のお持ちの着物や帯など(勿論あればですが)をお子さんに用意してあげることができたならば、その日のために洋服を買い揃えるよりも実は余程安く済ませることが出来るのです。

私は着物の知識が無い方が増えて、何を(どんなものを)用意したらよいかも分からず、折角色々とお持ちであったとしても利用できるのかどうかの判断もつかず、様々な商業ラインに乗せられてしまうことこそが大きな問題なのではないかと思っています。

日常着としても着物が着られていた時代の人はお金がある人も無い人も着物を着ていた筈ですし、装う時もそうでない時も和服でした。
知識が無いがために日本の伝統的な民族衣装である着物が敬遠されたり果ては禁止されたりするのはとても残念なことです。(日本の)自分ちの衣服を否定することにもなりかねず、そちらの方が大問題だと思います。

日本人はもっと和服の構造やその着用の仕方についての基本を若い頃からもっと学ぶべきなのではないでしょうか。
そうすればもっと着物が身近なものとなり、日本の伝統も洋服と同じようにファッションの一部として根付き、賢く使うことが出来るのではないのではないかと思います。


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