着付けの気づき

着付けの個人教室を行っている先生が、着付や着物に対するこだわりの思いを中心に語ります。

まずはきちんと鶴を折りましょう

2024-11-12 15:04:15 | 着付け教室

10月に入り、これから七五三シーズン。また来年1月には成人の日を迎えるので、現場に入られる予定の生徒さん達は技術磨きに一生懸命です。


着物の形は昔と変わらないとは言え、「装うもの」という意味ではファッションなので、衿合わせの角度、帯位置、また帯結びや帯揚げ、帯締めの整え方のアレンジ方法は微妙に変化、進化していたりします。
ですから、今のお嬢さまたちはどんな装いを好まれるのか、アンテナを高く張って、お客さまに喜んでいただけるようにしっかり対応出来るようにしたいと思います。


ある生徒さんには、
「先生〜、私、もしお客さまがこんなふうに整えて欲しいとか、こんな帯結びをして欲しいとか画像を見せられてもとっさには出来ない気がします…」
と言われました。
確かに、
「なんじゃこれ?一体どうなってるの?」
と思うようなアレンジを見ることもありますが、私としてはそれを再現できた時の喜びは、まるで学生の頃、難しい数学の問題が解けた時のような達成感を感じて、それらのやり方を読み解くのも好きなのです。しかし、限られた時間内で出来るようになるにはやはり相当練習しなければならないのだろうな、と正直思います。


でも、それらの難題を解くことが出来ないと着付けの仕事ができないのか?と言われればそれはちょっと違います。
例えば日本人で大人であれば折り紙で
「鶴を折ってください」
と言われて出来ないのは恥ずかしいかもしれませんが、
「カマキリを折って」
「ネズミを折って」
などと言われたとして、それらが折れなくても恥ずかしくはないですよね。折り紙を折るのに相当精通している方々が例えそれらを折れたとしても、仕上がりは折る人によってきっとさまざまだと思われます。
着付け師たるものも、出来ないと恥ずかしいという、昔ながらの「王道」の着方の「基本」をしっかり押さえて、それが当たり前に出来ることがまずは最も大切です。そしてその上の応用は感性や練習によるところも大きいと思います。


先程の例では、折り紙の大きさや色、素材によって、きっと「カマキリ」や「ネズミ」もそれぞれ違うものが出来ることが推測できるのと同じで、着せ付けの仕上がりも、着付け師によって、またお客さまのご衣装や小物の素材感によっても全く同じにはならないのだと割り切ることも大切です。
自分がお客さまにとって最良のデザイナーになるという意識と自信を持って、また、お客さまの気持ちに最大限寄り添うことが出来るように対応できることが大切なのではないかと感じます。
でも言葉で言うは易しで、常に研究していくことはやはり大切です。


「継続は力なり」
生徒さんも、私自身も、現場はしんどいことも多いですがお互いお客さまから喜ばれる仕事をして、楽しみながら精進していきたいと思っています。

 

川口着付個人教室
 http://www.wbcs.nir.jp/~yoko

 

 


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