かつてクルマ販売に従事していた頃
昭和50年代のジープJ30系を何台も販売したことがあります。
今のように塩カルを遠慮容赦なく道路に撒き散らすことなど
なかった時代ではあっても、製造から25年も経つと、鉄板の質の問題もあり
フレームやボディの鉄板には多くの錆や腐食が見られたものです。
錆はともかく、腐食部分は必ず穴が開いてしまうことは
その頃にイヤと言うほど経験していますが、正誤は不明にしろ
表面から進行するものを錆、内部からのものを腐食と
呼ぶらしいことは聞いたことがあります。
数十万円を掛けたレストア車を高額で販売する店ではなかったので
それでも何とかお金を掛けずに見た目をよくするために
穴を埋める方法を当時いろいろ試したものです。
その中で最も有効だったのが
下の画像の発砲ウレタンを内部に注入する方法でした。
この発砲ウレタンは、600円もしないで近所のホームセンターで
容易に手に入り、付属のノズルで適当に内部に注入すると
見る見る膨張して発砲スチロール状になって固まる優れものです。
ノズルから噴出した泡剤がかなりの膨張率で拡大しますので、壁面には
それなりの圧力が加わったまま数時間で意外と硬く固まるのです。
〔実際の大まかな流れ〕
1.300円ほどの1㎜厚のアルミ板を穴より少し大き目に切り取って内部に挿入
適当な隙間からノズルを入れてこの発砲ウレタン剤を注入する。
2.膨張した時にこのアルミ板がフタになり、多量にはみ出すことなく
かつ内部からアルミ板をフレームに押し付けてくれる。
3.半日待ってはみ出して硬くなったウレタン(薄緑部分)をカッターで切り落とす。
4.シリコーンシーラント(確か600円位・白部分)をアルミ板の上に厚盛りし
周囲の生きている元の面より若干低い程度にし2日程乾燥させる。
5.この穴がそっくり隠れる大きさにもう1枚アルミ板を切り出し
再度タップリとシリコンシーラントを追加してから
アルミ板を強く押し付けて貼り付けると端から
シーラントがはみ出るのでそれは除去する。
*少しくらいハンマーで叩かれても
それらしい音がするための追加の工夫
6.アルミ板をシーラント(黒部分)で覆い完成。
5月中旬から車検が出来るにしろまだ1カ月半もあるのに、万が一
この穴埋めが上手く行かず代替えせざるを得ない事態に陥ることを危惧して
一気にここまで作業を進めてしまいました。
数万円で手に入る軽の4WDがそう簡単に見つかるご時世ではないのです。
思いのほか首尾良く出来ましたので、時間をかけてしっかり硬化させた後
防錆塗装を施して周囲との境目を分かり辛くするつもりです。
ところで、車検ラインの検査官の対応について板金屋を営むK君から
「パテ等でも穴さえ埋めてあれば特に打音検査はされたことがない」
という嬉しい情報を聞きました。
念のためアルミ板を2枚にして硬い音が出るようにはしましたが
そうは言っても所詮アルミ、叩かれずに済めば御の字です。
ずっと以前から、検査場により、そして検査官により
合否の判断が異なる話はあります。
また業者である認証工場が持ち込むとキビシイ対応になり
個人ユーザーに対しては緩いという噂もありますが、当日はぜひ
甘い検査官に当たって欲しいと今から願って止みません。
*指定工場・・・自前の車検ラインを設備してあり、検査主任者がいる。
民間車検場とも呼ばれる。
*認証工場・・・車検ラインはないので国の車検場に持ち込む必要がある。
(続く)