自動車保険において
対物賠償で支払われる保険金は「市場時価額」が限度になります。
つまり法的に賠償責任が生じるのは、あくまで「車の現在の価値」が上限であって
これを超えた修理費用に対してまで賠償義務がないことは
過去の最高裁の判例で結論が出ています。
相手の過失が100%、こちらには何の落ち度もない被害者であるにも拘わらず
大切に乗っていたクルマの修理代を全額支払ってもらえないのですから
トラブルの元になることが少なくない話は耳にしていました。
そこで登場したのが「対物超過修理費用保証特約」のようで、保険会社によって
名称に違いはありますが、加害者が料金を加算してこれを付保していると
実際に修理する場合に限って、全額が支払われるというものです。
さて、転送してあった見積書と画像を確認した保険会社から連絡があったのは
年の瀬近くのことで、今回の二女の事故相手(加害者)Kさんが
この特約に加入していることを聞きました。
つまり242,828円の見積り通りに修理することは可能ということです。
ただ15年前のミラに対して新品部品を使ってまでの"現状復帰"は
こちらに何のメリットもなく、素人のちょっと見では分からないであろう
今回のこの破損は、二女と相談の上、全く修理はせずに、支払われる賠償金は
他で"有効活用"する気持ちはすでに固まっていましたので
この特約を使う必要がないことはこの時点で明確に伝えました。
こうすると当然、「市場評価額」までしか賠償金は支払われませんが
前回の3つの中の3番目、買い替えを要望した場合、Kさんの過失が100%ですから
買い替えに伴う諸費用を上乗せする交渉の余地があることは知っていました。
まずKさんのT保険会社から「市場時価額」の連絡があったのは
年の瀬のことでその額は14万8千円。
予想していた最低金額は新車価格の10%に当たる10万円でしたので
まあ、妥当な金額と言えるのでしょう。
一応算出の根拠を尋ねたところ「"レッドブック"によるもの」とのことですが
この回答に大いに疑問がある理由は、10年を経過したクルマの
市場価格は、私の記憶によると、すでに載っていないはずです。
その点を指摘してそれなりのプレッシャーを掛けた上で
「諸費用を加算して20万円で示談します」とこちらから具体的な数字を提案。
実はこの数字、全く根拠がないわけでなく
予め「ヤフオク!」と「gooネット」を検索した結果
同じ年式のほぼ同じ装備の2台の安い方の購入に必要な総額の数字でしたが
諸費用全額または一部を実際に負担してくれるかどうかについては
過去の体験はなかった話ですので、正直自信があったわけではありません。
そこで「諸費用を加算」でも「時価評価額を増額」でもその内容は問わないので
結果的に20万円にしてもらえればそれで良いと付け加えておきました。
もし特約を使って修理する場合のT保険会社の支払い額は
修理見積り額242,828円に代車料が加わって26万円は下らないはずですので
ほぼ市場時価額との間を取った形の20万円という数字は保険会社にとって
妥協し易いのでは、という思惑が私にはありました。
世の中、双方の提示金額に差がある場合は
"中を取る"ことが解決策としてよくある話ですから。
そして、年末年始休みが挟まったからでしょう、数日前の回答は
「諸費用や代車不要による増額をして希望金額の20万円で示談をお願いします」。
もちろん対人に関しては、立替えた検査治療費はすでに受け取ってあり
その後なんら身体に変調は出ていないので別途、二女が示談に応じています。
(続く)