株式会社プランシードのブログ

株式会社プランシードの社長と社員によるブログです。
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その28.言葉と行動

2012-07-17 06:08:27 | 制作会社社長の憂い漫遊記
1996年 私は会社を興すまで約10年間フリー監督として
多くのプロダクションで仕事したが、
PRでありながら、その7割は取材物であった。
モノのPRではなく、例えばトップセールスマンを追いかけ
そのセールス法を伝授したり、会社社長を追いかけ企業理念を
社員に伝播したり、政治家の選挙用理念ビデオであったりと、
もっぱら人を追いかけ行動を撮り、インタビューをしてその思いを撮ってきた。
おそのらくは、PRでありながら人を題材にしてきた監督としては
関西でもトップクラスに君臨しているのではないかと、自負している。
エッヘン!


(田野瀬 良太郎 衆議院議員の選挙応援用ビデオの取材)

インタビューをして、その言葉から、
その人の日常までわかるという人はめったにいない。
「言霊」という言葉もあるが、何の先入観もなく
その人の言葉を聞くだけで、人となりがわかるものではない。
せめて顔を見ながら話さなければ声でけで伝わるものではない。

女性はよく「男性は言葉ではなく、行動よ」というが的を得ている。
男の私から言えば「女性は甘く囁く言葉ではなく、
その女性のさりげない行動に全てが現れる」となる。

その人の発する言葉だけで、その人を信用したり信頼はできない。
もちろん言葉が下手よりは上手い方がいいのだが…
となると信頼に足るのは、その人がどのような行動をとっているかである。
人を追いかける場合大切なのは、インタビューが単なる
「ええかっこ」なのかを見極める「行動観察」にある。
ただし、カメラという非日常なので、
被写体はいつも自分の行動を意識している。
そのため意識しないようになるまで撮り続けて被写体の日常にするか、
そんな時間がない場合は、
インタビューで怒らせるなどして本性を曝け出させるという方法になる。
しかし後者の場合、スポンサーを怒らすわけだから
相当の覚悟を持って挑まねばならない。
「所詮PRなんだから、ええとこだけ撮ればいい」と
素人みたいな事を言うプロもいるが、視聴者はそんなに甘くない。
見ている所はチャンと見ているんですよ。
行動を見てある種の信用をするからこそ、その人の発言を聞く姿勢が生まれる。
逆にいえば行動観察なきインタビューは
どのようなきれいな事を並べ、きれいに着飾った言葉に加工しても、
何一つ価値を持たない。


(トップセールスマンの行動観察をすると
 いつも「なるほど!」と感じる・兼安 滋氏の取材より)

したがってビデオ化する場合、
行動を如実に表した事件が必要になってくる。
事件は、待てど暮らせどタイミングよく起こらないので
監督が事件を起こす仕掛けを作らなければならない。
事件に対してどう行動できるか、リスクをどう回避するのか、
そして仲間がいれば仲間と協力し、恐れずに行動しているかなど、
カメラによる「行動観察」でその人をあぶり出さなければならない。
おおよそ言葉は行動に起因するのだが、
利口な人ほど、言葉ばかりで行動できない、
あるいは意図的に言葉のみで行動しないという事もままある。
感じるべきは、言葉ではなくて行動なのである。


(ここ10年ほど私のよきパートナー
 イケてるフリーカメラマン 小沢 隆氏とその配下たち)

国会議員や知事のインタビューも、著名人のインタビューも
社長インタビューや売れないセールスマンインタビュー、
トップセールスマンインタビューも
行動を見ずして、言葉だけならあまり変わらないものだ。
その人が岩波文庫や日経文庫などのビジネス書を
愛読しているなら、なおのことである。
しかしその人の行動を見たとしたら、その後の一言は違って聞こえる。
なぜなら、その語りによって、自分の信頼(先入観)が加わるからだ。
このことを我々作り手は肝に銘じておかねばならない。
己でドキュメンタリーだと言い張ってみたところで
所詮は己のフィルターで都合のよい所だけを切り取っているにすぎない。
カメラマンは自分の感じた範囲でフレームを決め、
監督は編集で都合のよいように切り刻んで貼り付けていく。
悪意を持って編集すれば悪意になる。
本人の実像以上にデフォルメすることもできる。
だからこそ我々はいつも自分に厳しく
被写体に向かい合わなければならない。
まちがっても面白半分にバラェティー感覚で人を撮ってはならない。


追記
今週は長期出張のため私のブログはお休みします。
続きは7月23日!乞うご期待!!


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