株式会社プランシードのブログ

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その372.粗編集

2018-06-03 08:48:52 | 制作会社社長の憂い漫遊記
数年前までは編集スタジオで編集をすると
時間単価3~5万円もかかっていた。
それをケチるためにまず監督自らが
簡易編集機でカット編集でつないだものを作成する。
これを粗編集という。
編集効果なし、文字なし、音楽なし、効果音なし、
ナレーションは監督の声になる。
それをまずスポンサーに見ていただき、
狙い通りの構成になっているかを確認いただく。
これを粗編集試写と呼ぶ。
しかし、技術は進歩し、デジタル化により
粗編集の段階で文字や効果はつけられるようになった。
音楽もネットを開けばフリーユースの曲が拾えるので
仮に入れることもできる。
かなり完成品に近い形で粗編試写ができるようになった。
ただし粗編試写を見たスポンサーからは
必ず何かしらの修正が出る。
文字の修正とナレーションの修正は必ず出る。
従って粗編集の段階ではナレーターのギャラをケチるため
いまだに監督の声でナレーションが入る。
ナレーションが変われば
尺が長くなったり短くなったりするので音楽も入れない。
粗編試写で出た要望を踏まえて本編集を行なう。
商業ユースなので最終的には
録音スタジオでプロのナレーターの声と
版権クリアの曲や効果音をつけて完成品となる。

今回は、イメージ編は行田監督が行なうが、
10分ものの基本編は私が監督だ。
私の書いた基本編の台本では、
主人公の独白で展開するドラマ仕立てになっている。
それに加えて、
昨年取材したテスト導入時のインタビューも
そこここに散りばめた
ドキュメンタリードラマになっている。
昨年イメージ編を完成させた後に、
テスト導入風景を取材し、導入事例編を私自らが監督し
10分ものと7分ものの2作品を完成させた。
その時の取材素材を今回の基本編に挿入することで、
あたかも主人公が実在しているような
リアリティー感を持たせてみた。
ドキュメンタリーを得意とする
私ならではの構成だ(自画自賛!)。

もちろん基本編の編集は
監督である私がやるつもりだったが、
涙を呑んで弊社・川村チーフに任せることにした。
というのも、
この秋に応用編と応用編のイメージ版を
制作する機運が高まってきたからだ。
もしそうなるとイメージ編は行田監督が、
応用編の新監督には川村を起用し、
私が脚本・プロデューサー・チーフ助監督を行なうのが
理想的かつ効率的かつ費用的にもベストだ。
今回の川村編集はその試金石といえる。
しかしドキュメンタリー部分は
素材だけでも10時間以上ある。
もちろん私が取材監督をしたのだから
一番わかっている。
ということでドラマ部分は川村が、
ドキュメンタリー部分は私が編集することにした。

6月2日。午前3時半。
チャリンコで会社到着。
私の編集はいつも早朝から精々正午までと決めている。
基本編のドラマ部分は約7分で
大きくは3つのテーマで進行する。
その区切りにインタビューと
インタビューバックに活動風景を挿入する。

まず3つのテーマに合うインタビューを集める。
目標は1テーマ3名のインタビューで各30秒。
合計1分30秒だ。
台本構成時は、
完成した導入事例編に使ったインタビューの中から
記憶に残るものを挿入したが、
改めて素材を見直すと、他にもいいネタがワンサかある。

ドキュメンタリー監督の常識として、
インタビューを切り刻むことはしない。
なぜならインタビューを切り刻めば、
イエスをノーに改ざんすることも容易にできるからだ。
インタビューは切らない、
イーサートカットを無闇に挿入しない、
それこそがドキュメンタリーの基本である。
しかし、今回はドキュドラ
(ドキュメンタリードラマ)だ。
ドラマ部分とドキュメンタリー部分の
バランスが大切なので、インタビュー部分は
ウソのない範囲で切り刻み、特に間を詰めて尺を短くした。
あとで編集点を見ると、
非常に細かな編集をしていることがよくわかる。
開始から4時間。ようやく1分30秒が完成した。

これで終わりではない。
エンディング前に主人公の独白で、
本システムを継続することのメリットを
約1分30秒で紹介するシーンがある。
実はドラマ部分と差をつけたかったので
台本上は取材素材に文字をつけて
女性ナレーションを入れることにしていたが、
撮影現場で主人公の上司役がナレーションした方が
「おもろいかも」と思い、
声だけ宿泊ホテルの一室で読んでもらった。
半分ダメ元と収録することにしたが、
やるうちにマッチしていると確信した。
今こうして編集していると
「いいね」を押したくなる。
さらに2時間後、ついに完成した。
都合、3分に6時間を費やした。

てなことで、本日はこれで終わり。
えっもう?マジ?
はい、マジです。本日閉店。
微調整は明日のココロなのだ~。
明日の予定は、微調整に約2時間。
そのあと2時間で
ドキュメンタリー部分の台本を書き換えて終了。
川村にバトンタッチする。
ならば今日中にやればってか?
それはダメよダメ、ダメ。
熱くなった頭を一旦クールダウンして
見直した方が気付きが多い。経験がそう語る。
明日4時間で完成させて、
最終的にドラマ部分にドキュメンタリー部分を
くっ付けるのは川村に任せる。
どんな上がりになるのか心配もあり、ワクワクもあり。
11日が粗編集試写日だからそれまでに
一度私のチェックを受ける。
余りにも酷ければ
私がドラマ部分を編集し直すことになる。
何故なら私が監督だからだ。
まぁ恐らく最悪の事態はないだろう。
何故なら私が川村をチーフ助監督にしたからだ。
まぁ今から心配しても始まらない。
まずはグッスリ寝て、
明日のドキュメンタリー部分の
私自身の再チェックに備えるとしよう。
おやすみなさ~い。

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