我が社の妹尾 孝樹は私以上の我流で、映像制作の世界で、
しかも弱小プロダクションを転々としながら
したたかに生き残ってきた猛者だ。
大学の同級生だが映像プロダクション淘汰の煽りを受け、
10年ほど前に所属プロダクションを離脱し、
懲りることなく弱小プロダクションである当社に転がり込んできた。
弱小プロダクション出身だけあって、様々な知識を幅広く持ち、
演出だけでなく、台本も書くし、絵コンテやイラストも書く。
カメラマンもするし、編集もする。PCにも詳しい。
我が社唯一のマルチプレーヤーだ。
(写真左端。社員旅行でちくわ作り体験でニギニギする妹尾)
現在、会社での私の役割はいわば「ブルドーザー」で、
道なき道を突っ走り、社員が後ろから整地しながら進んでくる。
そんな土建屋構図の我が社では、私が監督をする映像作品の内、
商品PRについては私の負担を減らすため脚本と現場演出を私がして、
妹尾が編集をしてくれる。
この分業システムはフィルム作品では一般的だが、
かってまだ緒についたばかりのビデオ作品では、
低予算化の煽りを受けワンマンになりつつあった。
最近の劇映画では、北野 武監督のように
編集までする監督が増えているが、
一般的には編集マンが脚本にしたがってまず編集をし、
監督が口を挟んで、あーでもない、こーでもないと
チャチャを入れて精度を上げていく。
監督自ら編集すると切るに切れないこともあるが、
編集マンならブッツリバッサリ平気で切れる。
ちなみに北野監督の場合、新人監督にマジメに組みしてくれる
編集マンがいなかったから兼務したのではないかと推測する。
今では映画監督として世界に名だたる監督に昇格したので
編集マンについても縷々考慮して、
完全に編集マンを排除するのではなく、
北野流にアレンジを加え自分の思いを最もカタチにできるやり方を
しているのではないかとこれまた推察する。
閑話休題、それはさておき。
私はフリー時代、フィルム作品の編集マン任せのシステムに抵抗があった。
というのも撮影日数が減り、編集時間も短縮化されていた中では
そもそも編集マンとコミュニケーションを取る時間がなく、
分業しても大きな効果が得られないばかりか、
編集時間はかえってかかってしまう。
それでも時間をかければ良さは出るが、
予算縮小化の波が押し寄せる中ではメリットを出し切れなかった。
悲しいかな、むしろワンマンシステムの方が
監督の思いが形になりやすかった。
そこで私はまだ緒についたばかりのビデオ作品に、
いちはやく粗編集のシステムを導入した。
粗編集とは、タイムコードと呼ばれる時間データを入れながら
VHSテープにコピーして、VHSテープで事前編集をすることだ。
その後、編集スタジオの編集マンにタイムコードのデータを渡し、
若干の微調整はしつつも、ほぼそのタイムコード通りに編集してもらう。
さらにシーン変わりの部分に効果編集も付け加えてもらい
「マザーテープ」として完成させる。
従って本編集は粗編集のトレース作業という位置付けになる。
粗編集は監督が自ら行なうので演出意図をカタチにしやすく、
VHSで編集するので機材費が安く済み、安く済む分、
納得するまで時間をかけることができた。
しかし監督一人で編集するのでわかっているのは己だけ、
岡目八目ということもある。また何よりも辛いのは、
時間をかければかけるほど監督の時給は落ちる。
ギャラはアップするわけでもなく、ただいいモノを作りたいという
監督のワガママを達成できるにすぎない。
粗編集は監督の時給を下げはしたが、単価の高い編集スタジオの使用料が
抑えられるのでプロデューサーには歓迎されたし、
監督も粗編集で熟考しているので本編集では余裕が生まれ、
さらなるアイディアが出やすい。よっていい作品にまた一歩近づくことになり
次のオーダーも頂きやすくなるというメリットもある。
まぁ監督としては粗編集が終われば8割方完成したも同然だ。
(かってはン億円も機材投資しなければならなかった編集システムも、
現在では高級?パソコンでもできるようになった)
ブルドーザーの多田としては、さすがにドキュメント系作品については、
監督自ら編集しなければ狙いが伝わらないので妹尾任せにせず、
ワンマンシステムで行っているが、商品PR作品は撮影終了後、
台本さえしっかり書けばフィルム作品時の分業スタイルを導入しても大丈夫だし
何よりも岡目八目にならずに済む。勿論、演出意図と違う部分や、
カットの使いどころ、つなぎ順などイマイチな部分は手直ししてもらうが
逆に予想外の編集をしてくれることもままある。
またハイビジョンで撮影しているので、
編集でズームアップしても劣化が見た目ほとんど変わらないので、
撮影時しなかったズームインを編集でするという破廉恥な編集をし
視聴者に分かりやすくしてくれたりする。
むろん私が切りきれなかった箇所をバッサリブッスリ切ってくれもする。
その一方でギリギリ許容範囲内であれば、
我慢して一歩引かねばならず鬱積することもある。
しかしトータルでみると商品PR作品に関しては妹尾に編集を任せて、
編集後に監督である私がチャチャを入れる分業スタイルの方が
作品として良くなるので、一概に分業スタイルが悪いと罵るわけにはいかない。
むしろ使い分けるべしと思う。
かくして「その48.今週はロケ続きで忙しいど~」で紹介した
灼熱の筑波ロケ敢行の商品PR作品は
私の台本で妹尾が編集してくれ
私はチャチャを入れて気分良く録音に挑めた。
録音はサウンドシード山城兄貴、
ナレーションは梅野 真由美嬢にお願いした。
完成時間5分だからといって録音時間が5分で終わるというわけではない。
山城氏のように手練手管の手に掛かっても、
ナレーション入れ、選曲、整音などをして完成、
つまり完パケ(完成パッケージ)までは何だかだしていると1日仕事になる。
監督からみると編集をしっかりやればやるほど録音は楽しい時となる。
録音は最終作業であり、もはやジタバタするような段階ではない。
映像のみの試写はすでに受けているのでナレーターと確かめ合いながら
音と戯れればよい。そして一気に昇華する。
「俺って天才や、こんな監督はそんじょそこらにはおらんぞ」と
自画自賛する最高の一時なのだ。
兎にも角にも商品PR作品が1本完成した。
5分だが見てわかる作品に仕上がった。
つまり梅雨に降って土用に照り込んだのが影響し
作品の出来がよくなったということだ!?
スタッフの皆さん、ありがとう。祝完成、ばんざ~い!
次は岡山の入社案内だ。
こちらは私がワンマンシステムで編集する。
極力自分を視聴者の位置にして、
岡目八目にならないよう編集しなければならない。
撮影前に山内 隆弘カメラマンに
「貴殿の最高傑作になるから、カメラマンをして」と
オルグした通りに果たしてなるのか?
現在まだ2日しかロケをしていないが、
予想的中路線を驀進中であることは間違いない。
次回ロケを10月3~4日に控えている。
乞うご期待!
※最近ブログのアップが少ないのはメチャ忙しいからです。
社長はすること多くって…
しかも弱小プロダクションを転々としながら
したたかに生き残ってきた猛者だ。
大学の同級生だが映像プロダクション淘汰の煽りを受け、
10年ほど前に所属プロダクションを離脱し、
懲りることなく弱小プロダクションである当社に転がり込んできた。
弱小プロダクション出身だけあって、様々な知識を幅広く持ち、
演出だけでなく、台本も書くし、絵コンテやイラストも書く。
カメラマンもするし、編集もする。PCにも詳しい。
我が社唯一のマルチプレーヤーだ。
(写真左端。社員旅行でちくわ作り体験でニギニギする妹尾)
現在、会社での私の役割はいわば「ブルドーザー」で、
道なき道を突っ走り、社員が後ろから整地しながら進んでくる。
そんな土建屋構図の我が社では、私が監督をする映像作品の内、
商品PRについては私の負担を減らすため脚本と現場演出を私がして、
妹尾が編集をしてくれる。
この分業システムはフィルム作品では一般的だが、
かってまだ緒についたばかりのビデオ作品では、
低予算化の煽りを受けワンマンになりつつあった。
最近の劇映画では、北野 武監督のように
編集までする監督が増えているが、
一般的には編集マンが脚本にしたがってまず編集をし、
監督が口を挟んで、あーでもない、こーでもないと
チャチャを入れて精度を上げていく。
監督自ら編集すると切るに切れないこともあるが、
編集マンならブッツリバッサリ平気で切れる。
ちなみに北野監督の場合、新人監督にマジメに組みしてくれる
編集マンがいなかったから兼務したのではないかと推測する。
今では映画監督として世界に名だたる監督に昇格したので
編集マンについても縷々考慮して、
完全に編集マンを排除するのではなく、
北野流にアレンジを加え自分の思いを最もカタチにできるやり方を
しているのではないかとこれまた推察する。
閑話休題、それはさておき。
私はフリー時代、フィルム作品の編集マン任せのシステムに抵抗があった。
というのも撮影日数が減り、編集時間も短縮化されていた中では
そもそも編集マンとコミュニケーションを取る時間がなく、
分業しても大きな効果が得られないばかりか、
編集時間はかえってかかってしまう。
それでも時間をかければ良さは出るが、
予算縮小化の波が押し寄せる中ではメリットを出し切れなかった。
悲しいかな、むしろワンマンシステムの方が
監督の思いが形になりやすかった。
そこで私はまだ緒についたばかりのビデオ作品に、
いちはやく粗編集のシステムを導入した。
粗編集とは、タイムコードと呼ばれる時間データを入れながら
VHSテープにコピーして、VHSテープで事前編集をすることだ。
その後、編集スタジオの編集マンにタイムコードのデータを渡し、
若干の微調整はしつつも、ほぼそのタイムコード通りに編集してもらう。
さらにシーン変わりの部分に効果編集も付け加えてもらい
「マザーテープ」として完成させる。
従って本編集は粗編集のトレース作業という位置付けになる。
粗編集は監督が自ら行なうので演出意図をカタチにしやすく、
VHSで編集するので機材費が安く済み、安く済む分、
納得するまで時間をかけることができた。
しかし監督一人で編集するのでわかっているのは己だけ、
岡目八目ということもある。また何よりも辛いのは、
時間をかければかけるほど監督の時給は落ちる。
ギャラはアップするわけでもなく、ただいいモノを作りたいという
監督のワガママを達成できるにすぎない。
粗編集は監督の時給を下げはしたが、単価の高い編集スタジオの使用料が
抑えられるのでプロデューサーには歓迎されたし、
監督も粗編集で熟考しているので本編集では余裕が生まれ、
さらなるアイディアが出やすい。よっていい作品にまた一歩近づくことになり
次のオーダーも頂きやすくなるというメリットもある。
まぁ監督としては粗編集が終われば8割方完成したも同然だ。
(かってはン億円も機材投資しなければならなかった編集システムも、
現在では高級?パソコンでもできるようになった)
ブルドーザーの多田としては、さすがにドキュメント系作品については、
監督自ら編集しなければ狙いが伝わらないので妹尾任せにせず、
ワンマンシステムで行っているが、商品PR作品は撮影終了後、
台本さえしっかり書けばフィルム作品時の分業スタイルを導入しても大丈夫だし
何よりも岡目八目にならずに済む。勿論、演出意図と違う部分や、
カットの使いどころ、つなぎ順などイマイチな部分は手直ししてもらうが
逆に予想外の編集をしてくれることもままある。
またハイビジョンで撮影しているので、
編集でズームアップしても劣化が見た目ほとんど変わらないので、
撮影時しなかったズームインを編集でするという破廉恥な編集をし
視聴者に分かりやすくしてくれたりする。
むろん私が切りきれなかった箇所をバッサリブッスリ切ってくれもする。
その一方でギリギリ許容範囲内であれば、
我慢して一歩引かねばならず鬱積することもある。
しかしトータルでみると商品PR作品に関しては妹尾に編集を任せて、
編集後に監督である私がチャチャを入れる分業スタイルの方が
作品として良くなるので、一概に分業スタイルが悪いと罵るわけにはいかない。
むしろ使い分けるべしと思う。
かくして「その48.今週はロケ続きで忙しいど~」で紹介した
灼熱の筑波ロケ敢行の商品PR作品は
私の台本で妹尾が編集してくれ
私はチャチャを入れて気分良く録音に挑めた。
録音はサウンドシード山城兄貴、
ナレーションは梅野 真由美嬢にお願いした。
完成時間5分だからといって録音時間が5分で終わるというわけではない。
山城氏のように手練手管の手に掛かっても、
ナレーション入れ、選曲、整音などをして完成、
つまり完パケ(完成パッケージ)までは何だかだしていると1日仕事になる。
監督からみると編集をしっかりやればやるほど録音は楽しい時となる。
録音は最終作業であり、もはやジタバタするような段階ではない。
映像のみの試写はすでに受けているのでナレーターと確かめ合いながら
音と戯れればよい。そして一気に昇華する。
「俺って天才や、こんな監督はそんじょそこらにはおらんぞ」と
自画自賛する最高の一時なのだ。
兎にも角にも商品PR作品が1本完成した。
5分だが見てわかる作品に仕上がった。
つまり梅雨に降って土用に照り込んだのが影響し
作品の出来がよくなったということだ!?
スタッフの皆さん、ありがとう。祝完成、ばんざ~い!
次は岡山の入社案内だ。
こちらは私がワンマンシステムで編集する。
極力自分を視聴者の位置にして、
岡目八目にならないよう編集しなければならない。
撮影前に山内 隆弘カメラマンに
「貴殿の最高傑作になるから、カメラマンをして」と
オルグした通りに果たしてなるのか?
現在まだ2日しかロケをしていないが、
予想的中路線を驀進中であることは間違いない。
次回ロケを10月3~4日に控えている。
乞うご期待!
※最近ブログのアップが少ないのはメチャ忙しいからです。
社長はすること多くって…
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