株式会社プランシードのブログ

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その136.台本は思いやりの結晶だ(4)番外編

2014-04-15 07:02:00 | 制作会社社長の憂い漫遊記
わが社では販促用のPOPも製作している。
展示会などで商品をより効果的に見せる看板やツール、
展示台などの製作だ。
形も大きさも様々な販促商品があるので、
POPも平面から立体物まで様々な物を作るのだが、
私や社内スタッフが製作前にイメージ絵を書いてプレゼンする。
そうして「いいね~」となったものを製作するのだが、
ここからが大変である。
特に大変なのが立体物。
例えば車の展示台を作ったとする。
イメージ絵では高さ60センチの台に車が乗せて
下からライトアップする。
まず鉄工所に鉄の土台製作を依頼する。
鉄工所はイメージ絵を元に図面をひく。
この図面は鉄工所が鉄の土台を作るにあたって、
どんな部材をいくつ用意して、
どのように溶接するかを記したものだ。
あくまでも鉄工所側の論理で作ったものであり、
お客さまの立場で作ったものではない。
そこでこの図面を見て我々が出来上がりを想像して、
運搬のためにいくつに分割するか、
塗装はペンキ塗りなのか焼き付け塗装なのか、
簡単に組み立てられるようナット側は部材に溶接しておくとか、
展示した時に危険がないよう面取りしたり安全柵を着けたりと…
使う側、お客さま側に立って
愛溢れる思いやりを持ってオーダーを加えていく。
しかしこれくらいの思いやりはむしろ当たり前で、
こんなとこを手抜きして「安い!」をウリにすると、大事故につながる。
さらに、展示会にきたお客さまが、展示台に乗るとなると
強度計算をして部材を選び直す。
たいていは鉄工所が今までの経験と勘で選んだ部材でいくのだが、
人が乗るとなると安全第一。
強度計算をする専門業者に依頼して設計を見直す。
しかし、この費用がバカ高い。しかも部材費が1.5倍は膨れ上がる。
従って重量も重くなり、運搬費も高くなり設置費まで高くなる。
さらにさらに、組立図面を作り、ナットなどは予備を増やし、
部材を箱に仕分けて等々、思い付きで書いたイメージ絵が、
使いやすさや組み立てやすさ、
そして何よりも安全という思いやりにより図面がつくりあげられる。


  私に手渡された図面は油まみれ、追記だらけで
  クシャクシャになっていく。

安いに越したことはない。
むしろ安さだけで選ぶ方も多い。
「A社の方が安いので今回は…」
という断り文句でノックアウトは多々ある。
まだ
「A社と同じ価格になりませんか?」
と言われた場合は、
「うちの方がいいんだ」と思えるし、
価格闘争することもできる。

景気のいい時に設備投資し、
増員した会社は、不景気になった今、
「職人を遊ばすよりも、安くても仕事を受けた方がいい」
と仕事を安く受けることになる。こうなると体力勝負だ。
だから小さな会社は工夫して
体力のある会社に立ち向かわねばならない。

不景気の時代の苦労を、
たとえ景気が良くなっても忘れてはならない。
職人の父は「宵越しの金は持たねえ」と
自分の腕のみを信じて
ただひたすら一生懸命仕事をしていた。
母は入金と出金にいつも気を走らせて、
「現金がなければ、設備投資はできない」
とよく言っていたが、私にもようやくわかってきた。
モノづくりの会社には非常に厳しい時代だ。

図面はモノづくりのスタートであるが、
その製作過程でも職人さんの思いやりが
ふんだんに盛り込まれて、
ようやく物は完成する。
モノづくりは、使う人への思いやり、
愛なくしてありえないのである。
(完)

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