その２０６．田んぼの中のオアシス

徳島県吉野川市鴨島。
ここ数年、毎年２～３度は出張でこの地を訪れる。
ホテルは少なく、いつもお世話になるのが４階建てのホテル
アクセス阿波さんだ。
まだ新しく、部屋もゆったりとしていて、
掃除も隅々まで行き届いている。


アクセス阿波

ホテルの建つ位置は、まるで田んぼの中のオアシス。
ほんの一角だけ町で、その交差点にスーパー マルナカや
ファッションセンター しまむらなど、
大型店がこれでもかと集中している。

交差点から１００ｍも走ると田んぼや畑が広がる。
ただし大型店はあるものの連泊にたえられるような飲食店はなく
ホテルにもレストランがないため、宿泊客は車で走って夕食を取るか
スーパー マルナカで食材を買ってホテルで食べるかになる。
アクセス阿波さんもそれを承知しているのだろう、
１階の朝食ラウンジを夜は解放してくれている。
しかもスーパー買い出し組のサポートとしてレンジを常設しており
加えてポットでお湯を常時沸かしてくれている。
さらにドリップした本格的ＵＣＣコーヒーが飲めるし
各種ティーパックもある。
徳島県の情報誌や雑誌、新聞、スポーツ紙、パソコンまである。
下手なファミレスのドリンクバーよりも居心地がよい。
特に夜は酒を飲まないとすまないヤカラは、
車で夕食に出ると飲酒運転になるので、
スーパーで買い出ししたビールやワンカップで
喉を潤せるスペースがあるのはとてもありがたい。

私達御一行様（たいてい４名）は首謀者の私が呑兵衛なので、
鴨島出張の折りは非常識にもカセットコンロと鍋を持参し、
１階ラウンジで鍋パーティを開催する。
鍋は便利なアイテムで、呑むとアテだけしか食わない呑兵衛にとって
腹を適度に満たすだけでなく、
様々な食材を口にすることができるので酒量も進む。
呑まない人も、最後に麺やご飯を入れれば
腹を十分に満たしてくれる。
寄せ鍋だけでも具材を変えれば数種類できるし、
キムチやチーズを入れれば中華や洋風にもなる。
３～４泊なら鍋料理で十分変化のある夕食を取ることができる。


２日目夜は牡蠣土手鍋

しいて欠点を挙げるなら、鍋が生み出す匂いだ。
さすがにホテル中を焦げ臭くできないので、
カセットコンロでサンマを焼くなんて非道はできず、
今のところ鍋ですませているが、
それでもキムチ鍋などしようものなら、
エレベーターで臭いが運ばれて
４階建ての各階廊下はキムチ臭で包まれてしまう。
中には匂いに誘われて１階ラウンジまで覗きに来る宿泊客まででる始末。
しかしこの匂いによる気がね問題も、
食事開始数分だけで、呑兵衛は酒が入ると忘却の彼方。
それよりも気になるのは、買い出しした食材のゴミだ。
もちろん残飯は皆無だが、過剰包装から産まれる包装ゴミが相当出る。
そしてビールのアルミ缶やワンカップのガラスカップなどなど。
加えてホテルが提供してくれているグラスやコップ、
皿なども汚したまま返却口へ返すことになる。
匂いは目に見えないので酒が入れば忘却の彼方だが、
返却口を占拠した汚した食器の数々、
山盛りのゴミは見えるだけに反省、猛省、
アクセス阿波さん、本当にごめんなさい！


今回の出張では１日目は寄せ鍋、２日目は牡蠣土手鍋、
３日目はモツ鍋、４日目はトマトチーズ鍋で決めた。
４日目のシメはドリア風オジヤだ！

さて、全員で囲む鍋は、予算も酒代込み込みで、
お一人様千円～高くついても２千円までと大変リーズナブルだ。
人数が増えるほどに客単価は安くなる。
しかも全員でワイワイやるので、仕事の反省会もできる。
翌日の段取りを、反省を踏まえてより良きモノに組み替えることができるし、
作業の安全や徹底にも役に立つ。
若いスタッフの悩みや弱点も少し酒が入って話し出せば理解できる。
しかし最近は、かっての旅館の夕食付き相部屋スタイルから、
朝食のみ付きシングルになってしまい、
さらに夜飯も高くつくからと各自飯の傾向が強くなり、
監督としてはコミュニケーションの図り方に苦慮する。
それでも当社ではコミュニケーションを重視して
昔ながらの昼・夜共にスタッフ一堂で
食事を取るスタイルを頑なに守っている。
ただし、今回のような田んぼの中のオアシス的ホテルに宿泊すると
現場帰りの酒抜き夕食になり、腹を満たすだけで頭や心を満たせない。
しかし鴨島にはありがたいことにアクセス阿波さんがある。
アクセス阿波さんは、スタッフの長としての私の責務と、
呑兵衛としての満足感の両方を満たしてくれる、まるでオアシスだ。
これで仕事がうまくいかないハズはない。
さぁ今回も鋭気を与えてくれたアクセス阿波さんのためにも
ガンバルぞ！オー！！