2013年8月も終わる頃、まだまだ夏の暑い盛りに
新人女性ナレーターの勉強会の講師を2日間、
2週に渡って行なうことになった。
1回目は8月24日、2回目は8月31日。
サウンドシードの山城 日出男氏が、仕事を求めてスタジオに集まってくる
若いナレーターの成長を願い、私設勉強会を企画したのだ。
ナレーター事務所で行っている勉強会は、講師が先輩ナレーターなので、
ナレーション術が中心になり、新人にはややハードルが高い。
そこで、できれば作品論や作品におけるナレーターのポジション、
役割などについて作品全体が見える「監督」に講師を依頼し、
大きな観点から教育したいという壮大なテーマを掲げ、
あろうことかアホ仲間の私に白羽の矢を立てたのだ。
最初は忙しいし「自分でせ~よ」と断わろうと思ったが、
なかなかこれといったアホが見つからないようだし、
山城氏の日頃のスケベさに免じて受けた。私もスケベだしね。
(狭い船上で練炭を使ったバーべQパーティーでアホ振りを発揮する
グラサンのアホ2号の私と、中央に陣取るアホ1号の山城氏)
2時間を2日間、都合4時間。人に教える、
しかも20歳やそこらの新人を4時間教えるとなると、
こちらもかなりネタを練らなければならい。
そもそも講師となるのは、あくまでも業界への恩返しであり、
けっしてギャラではないが、いくら多田とはいえただでやると
受講生も身が入らないので、一応、一人3000円×2日間とし、
参加人数もできるだけ絞って、3名のマンツーマンにした。
やる気があってこの世界に入ったかどうかもわからない。
しかし、うまくいけば使えるかもしれない。
もちろん教える私にとっても、
若いエネルギーを奪い取る絶好のチャンスである。
仕事も異性もワクワク感がなければ、身につかない。
彼女たちは仕事に、私はエネルギーにする上でこの授業は意味を持つ。
8月24日、私は準備播但線で、
1時間前に勉強会会場のサウンドシードに入る。
開始16時の10分前には集合し講義はスタートした。
まず名刺交換。
新人はナレーター以前に、人としてマトモかどうかから判断される。
「ナレーションが上手ければ、多少服装や化粧が飛んでても
個性的でいいじゃん!」は通用しない。
なぜなら、くそ暑いのにネクタイをいつも付け、
身だしなみ第一の背広軍団がお客さまだから。
服装、化粧、髪型、清潔感など第一印象に加え、
最低限の挨拶ができるかどうかで、採用か不採用かがほぼ決まる。
したがって、名刺交換時の受け答えで、第一印象と一般常識、
そしてどんな声質かまでを、一瞬で判断されてしまう。
読解力や表現力がある、
アドリブが効く、ナレーションをとちらず読める、
声量があり聞き取りやすい、などといったナレーター本来の良さ以前に、
名刺交換で約90%は決まってしまうのだ。
悲しいけれど「個性的」や「ナレーションがうまい」よりも、
まず一般常識の有る・無しかが、採用の大きなポイントなのだ。
その事をほとんどの新人は理解していない。
今回も私が名刺を出しても、名刺すらなく、
仮に持っていても「名刺もかえせないアホだ」と罵るつもりでいた。
ところがどうだろうか、名刺を返してきた。
しかも自分で作ったオリジナル名刺である。
さらに住所も電話番号もメールアドレスも所属事務所になっている。
なんと行儀のいい娘たちだ。
しかも笑顔で名刺を差し出し、名前を述べ「よろしくお願いします」だと…
自分を売り込まないと生き残れないと、理解していたのだ…
恐るべし、新人。
(彼女たちの個性的というかギャル風自家製名刺)
初日はナレーターとしての心構えや、
スタッフの一員としての立ち居振る舞いを中心とした座学にしたので、
たぶん居眠りする者もいるかと思いきや…さにあらず。
さらに商品説明の基本としてFABE手法を教えたが
「テレビショッピングのMCをした時に困ったことがある」と、
予想外の食いつき。普通、眠たくなるやろ~。
※FABE手法とは、製品の特長を購入者の利益に置きかえる分析手法
いまや専門学校だけでなく、公立高校まで声優科や演劇科があり、
ナレーターの業界は過当競争に突入している。
「君でなくても他に誰でもいる」ヘマをすればその一言が待っており、
言葉通り交替要員はいくらでもいる。
その現実を彼女たちはよく理解しているのだ。
今はアルバイトで生計を立てているが、いずれナレーターで飯を食う!
そう誓って身銭を切ってこの授業を受けにきている。
あっという間に2時間が過ぎた。
予定通り一人3000円ずつ、計6000円をいただき、
それを軍資金にして懇親会を開いた。
懇親会開催は私にとっては予定通りの行動だが、
授業料が食事代になることに彼女たちは驚いていた。
近くの酒場に繰り出し、主催者の山城氏と私、そして生徒2人で飲んだ。
仕事に対する熱い思いをなんと小娘達と共有してしまった。
こんな感じ…久方振りだ。
我々制作スタッフや撮影スタッフはどんどん高齢化し、
口を開けば「儲かってる?」「あのプロダクションはヤバいらしいよ」と
愚痴ばかりなのに対し、ナレーターは若いグループが次々出てくる。
仕事は同じように不景気なのにナレーターは後継者が出てくる。
しかも所属しているナレーター事務所の教育以外に、
外の教育も受けたいと、録音スタジオが主催した私設勉強会にも
身銭を切って参加している。凄いじゃないか。
(勉強会を主催した録音スタジオの㈱サウンドシード)
質問責めで、たちまち2時間が経ち、そろそろお会計。
足らずは4等分して「二次回に行くか?」と誘うと目を輝かせた。
本気や~、本気でナレーターになる気や~、ヤバい精気を吸い取られる~。
二次回はショットバーに。「BARは初めて…お洒落ですね」って、
そもそも最近になってようやく法的飲酒を認められたヒョコちゃんたちだ。
店内や棚に並んだ洋酒瓶などをキョロキョロ、キョロキョロ。
しばらくして慣れた頃にはまたまた質問責め。
終電車を気にして、私の鳴らした終礼チャイムでようやく解散となった。
支払いは私が済ませた。講師の私が身銭を切ったのだ。
ということは彼女たちヒョコちゃんを後輩と認めたことになる。
いやいや、まだ烏合の衆だ。いつやめるともわからない。
熱い思いを共有し、私もエキスをいただいたのでお礼をしたまでだ。
けっして後輩として認めたわけではない。断じてナイ。。。
店を出たが「三次会に行くか?」と声を掛けようものなら
繰り出しかねない勢いを、ようやくの思いで鎮めて彼女たちと別れた。
今日は久方振りの知恵熱を感じた。
いつから我々制作スタッフや撮影スタッフは、
身だけでなく心までも高齢化してしまったのだろうか?
好きだからこそ、好きな場所に身を置きたい。必ず俺が天下を取る!
そのためなら、がむしゃらに一生懸命生きる。
そんな知恵熱を身近なスタッフから最近ついぞ感じたことがない。
職業人たる前に夢追い人たれ。
夢追い人とは、心に描いた夢を一生懸命に追い続ける人をさす。
しかし、夢の表面ばかりを追い求める人や、
夢がかなった時の姿を夢想するだけの人が多く、
真摯に夢を追い求める人は少ない。
夢の実現には努力が必要不可欠なのだ。
彼女たちには、努力して夢を勝ち取って欲しい。
それでも自分が描いた夢とは違う方向になることがあったとしても
その努力が別の形になって、また新たな夢を思い描くことができる。
夢が破れたと嘆き悲しむことはないのだ。
そうして人間は前に進む。
本夕8月31日には2回目にして、最終回になる勉強会がある。
カリュキラムでは、ブースに入っての実学になる。
もちろん勉強会後には懇親会もする。
今夜も彼女たちは熱いのだろうか?それはまた明日のココロなのだ~。
新人女性ナレーターの勉強会の講師を2日間、
2週に渡って行なうことになった。
1回目は8月24日、2回目は8月31日。
サウンドシードの山城 日出男氏が、仕事を求めてスタジオに集まってくる
若いナレーターの成長を願い、私設勉強会を企画したのだ。
ナレーター事務所で行っている勉強会は、講師が先輩ナレーターなので、
ナレーション術が中心になり、新人にはややハードルが高い。
そこで、できれば作品論や作品におけるナレーターのポジション、
役割などについて作品全体が見える「監督」に講師を依頼し、
大きな観点から教育したいという壮大なテーマを掲げ、
あろうことかアホ仲間の私に白羽の矢を立てたのだ。
最初は忙しいし「自分でせ~よ」と断わろうと思ったが、
なかなかこれといったアホが見つからないようだし、
山城氏の日頃のスケベさに免じて受けた。私もスケベだしね。
(狭い船上で練炭を使ったバーべQパーティーでアホ振りを発揮する
グラサンのアホ2号の私と、中央に陣取るアホ1号の山城氏)
2時間を2日間、都合4時間。人に教える、
しかも20歳やそこらの新人を4時間教えるとなると、
こちらもかなりネタを練らなければならい。
そもそも講師となるのは、あくまでも業界への恩返しであり、
けっしてギャラではないが、いくら多田とはいえただでやると
受講生も身が入らないので、一応、一人3000円×2日間とし、
参加人数もできるだけ絞って、3名のマンツーマンにした。
やる気があってこの世界に入ったかどうかもわからない。
しかし、うまくいけば使えるかもしれない。
もちろん教える私にとっても、
若いエネルギーを奪い取る絶好のチャンスである。
仕事も異性もワクワク感がなければ、身につかない。
彼女たちは仕事に、私はエネルギーにする上でこの授業は意味を持つ。
8月24日、私は準備播但線で、
1時間前に勉強会会場のサウンドシードに入る。
開始16時の10分前には集合し講義はスタートした。
まず名刺交換。
新人はナレーター以前に、人としてマトモかどうかから判断される。
「ナレーションが上手ければ、多少服装や化粧が飛んでても
個性的でいいじゃん!」は通用しない。
なぜなら、くそ暑いのにネクタイをいつも付け、
身だしなみ第一の背広軍団がお客さまだから。
服装、化粧、髪型、清潔感など第一印象に加え、
最低限の挨拶ができるかどうかで、採用か不採用かがほぼ決まる。
したがって、名刺交換時の受け答えで、第一印象と一般常識、
そしてどんな声質かまでを、一瞬で判断されてしまう。
読解力や表現力がある、
アドリブが効く、ナレーションをとちらず読める、
声量があり聞き取りやすい、などといったナレーター本来の良さ以前に、
名刺交換で約90%は決まってしまうのだ。
悲しいけれど「個性的」や「ナレーションがうまい」よりも、
まず一般常識の有る・無しかが、採用の大きなポイントなのだ。
その事をほとんどの新人は理解していない。
今回も私が名刺を出しても、名刺すらなく、
仮に持っていても「名刺もかえせないアホだ」と罵るつもりでいた。
ところがどうだろうか、名刺を返してきた。
しかも自分で作ったオリジナル名刺である。
さらに住所も電話番号もメールアドレスも所属事務所になっている。
なんと行儀のいい娘たちだ。
しかも笑顔で名刺を差し出し、名前を述べ「よろしくお願いします」だと…
自分を売り込まないと生き残れないと、理解していたのだ…
恐るべし、新人。
(彼女たちの個性的というかギャル風自家製名刺)
初日はナレーターとしての心構えや、
スタッフの一員としての立ち居振る舞いを中心とした座学にしたので、
たぶん居眠りする者もいるかと思いきや…さにあらず。
さらに商品説明の基本としてFABE手法を教えたが
「テレビショッピングのMCをした時に困ったことがある」と、
予想外の食いつき。普通、眠たくなるやろ~。
※FABE手法とは、製品の特長を購入者の利益に置きかえる分析手法
いまや専門学校だけでなく、公立高校まで声優科や演劇科があり、
ナレーターの業界は過当競争に突入している。
「君でなくても他に誰でもいる」ヘマをすればその一言が待っており、
言葉通り交替要員はいくらでもいる。
その現実を彼女たちはよく理解しているのだ。
今はアルバイトで生計を立てているが、いずれナレーターで飯を食う!
そう誓って身銭を切ってこの授業を受けにきている。
あっという間に2時間が過ぎた。
予定通り一人3000円ずつ、計6000円をいただき、
それを軍資金にして懇親会を開いた。
懇親会開催は私にとっては予定通りの行動だが、
授業料が食事代になることに彼女たちは驚いていた。
近くの酒場に繰り出し、主催者の山城氏と私、そして生徒2人で飲んだ。
仕事に対する熱い思いをなんと小娘達と共有してしまった。
こんな感じ…久方振りだ。
我々制作スタッフや撮影スタッフはどんどん高齢化し、
口を開けば「儲かってる?」「あのプロダクションはヤバいらしいよ」と
愚痴ばかりなのに対し、ナレーターは若いグループが次々出てくる。
仕事は同じように不景気なのにナレーターは後継者が出てくる。
しかも所属しているナレーター事務所の教育以外に、
外の教育も受けたいと、録音スタジオが主催した私設勉強会にも
身銭を切って参加している。凄いじゃないか。
(勉強会を主催した録音スタジオの㈱サウンドシード)
質問責めで、たちまち2時間が経ち、そろそろお会計。
足らずは4等分して「二次回に行くか?」と誘うと目を輝かせた。
本気や~、本気でナレーターになる気や~、ヤバい精気を吸い取られる~。
二次回はショットバーに。「BARは初めて…お洒落ですね」って、
そもそも最近になってようやく法的飲酒を認められたヒョコちゃんたちだ。
店内や棚に並んだ洋酒瓶などをキョロキョロ、キョロキョロ。
しばらくして慣れた頃にはまたまた質問責め。
終電車を気にして、私の鳴らした終礼チャイムでようやく解散となった。
支払いは私が済ませた。講師の私が身銭を切ったのだ。
ということは彼女たちヒョコちゃんを後輩と認めたことになる。
いやいや、まだ烏合の衆だ。いつやめるともわからない。
熱い思いを共有し、私もエキスをいただいたのでお礼をしたまでだ。
けっして後輩として認めたわけではない。断じてナイ。。。
店を出たが「三次会に行くか?」と声を掛けようものなら
繰り出しかねない勢いを、ようやくの思いで鎮めて彼女たちと別れた。
今日は久方振りの知恵熱を感じた。
いつから我々制作スタッフや撮影スタッフは、
身だけでなく心までも高齢化してしまったのだろうか?
好きだからこそ、好きな場所に身を置きたい。必ず俺が天下を取る!
そのためなら、がむしゃらに一生懸命生きる。
そんな知恵熱を身近なスタッフから最近ついぞ感じたことがない。
職業人たる前に夢追い人たれ。
夢追い人とは、心に描いた夢を一生懸命に追い続ける人をさす。
しかし、夢の表面ばかりを追い求める人や、
夢がかなった時の姿を夢想するだけの人が多く、
真摯に夢を追い求める人は少ない。
夢の実現には努力が必要不可欠なのだ。
彼女たちには、努力して夢を勝ち取って欲しい。
それでも自分が描いた夢とは違う方向になることがあったとしても
その努力が別の形になって、また新たな夢を思い描くことができる。
夢が破れたと嘆き悲しむことはないのだ。
そうして人間は前に進む。
本夕8月31日には2回目にして、最終回になる勉強会がある。
カリュキラムでは、ブースに入っての実学になる。
もちろん勉強会後には懇親会もする。
今夜も彼女たちは熱いのだろうか?それはまた明日のココロなのだ~。
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