私は、毎年11月~翌年1月はメチャクチャ忙しい。
今年は10月までコロナ禍で開店休業状態だったが
11月ようやくコロナ禍初のロケができ
12月は編集に忙殺されている。
そういう時は疲れも相まって何かしらしでかしてしまう。
今回は会社のエレベータの隙間に車のキーを落としてしまったのだ。
それは12月某日のこと。
この日のロケは社用車もふさがり
機材も少なかったのでカミさんの車を借りた。
ロケ終了後、相当疲れていたが私はひとり帰社した。
荷物が気になっていたからだ。
とはいえ僅か1~2分で終わる。
車を会社前に停めてダッシュで5階に。
荷物を会社に納め、ドアを閉め、
予めエレベータのボタンを押して、会社の鍵を閉める。
これぞ効率的退社のルーティーン。
鍵を掛けてエレベータへと踏み出した時
手に持っていた車のキールがスルリと落ちた。
キーは踏み出したツマ先に当たり
ちょうど開いたエレベータのドアの隙間に。
カラーン、カラーン。
落下音が次第に遠ざかっていく。
憐れ、キーは5階から
まっ逆さ~まに♪落ちてディザイヤ♪ゲタ、ゲタ、ゾーリヤ♪
▲この隙間にキーは取り込まれた・・・
ここで慌ててはならね。
監督人生40年。幾多の修羅場をくぐってきた。
時には役者が遅刻したり、時にはカメラのバッテリーがなくなったり。
そのたびに機転を利かせてここまできた。
まずはエレベータ会社にエマージェンシーコールだ。
エスカレータ会社とは異なりエレベータ会社は年中無休のはず。
慌てふためく脳の奥から天の声がそう私に呼び掛ける。
さすがエレベータ会社。
1時間ほどでレスキューが来てくれる。
あっヤバイ。
車は会社前でキーロック、
携帯や財布を拉致したままハザードランプ点滅中だ。
このまま1時間待てば車のバッテリーが上がってしまう。
しかも会社前は4車線道路。
仮にキーがレスキューされてもバッテリーの
上がった車を留め置くと駐禁、レッカー移動だ。
慌てふためく脳の奥から再び天の声。
念のためJAFにも連絡し、万一に備えキー解除と
バッテリー交換の手配をする。こちらも1時間ほど待ち。
何事も命の重さがレスキューの早さに比例する。
「1時間ほどで」と告げられていたエレベータ会社の兄貴が
40分後にはチャリを飛ばしてやって来た。
「お待たせしました」
いやいや、本当に申し訳ない。
「まっすぐ地階まで落下ならいいのですが
もし途中でキーが引っ掛かっていたらオオゴトですが」
いきなり脅かすなよ。
私はキーに降下訓練はしていない。
だがそこは監督人生40年、最悪を想定してJAFにも依頼している。
すでにレスキュー二股作戦を決行しているんだぜィ。
兄貴は、エレベータを2階に移動させ停止。
頑ななドアを開けて、ヘルメットに付いたライトで地階を照らす。
とあら不思議。
ライトの先にキーを発見。
降下訓練もしていないのに、賢いキーは5階の隙間から
途中で引っ掛かかることなく、
まっ逆さまに♪落ちてディザイヤ♪ゲタ、ゲタ、ゾーリヤ♪
着地も無事成功。
只今の記録98.3。
▲私の手に戻ったキー。
油汚れも無しなしナシ。
スリスリ頬擦りしたくなる気持ちを抑え、無線で車のキーを解除。
ガチャ。開いたよ。
てことはバッテリーも上がっていない。
キーON。エンジンもかかった。
拉致された携帯でJAFに連絡し無事開放されたことを告げ
レスキューをキャンセル。
「何よりです。また何かあれば連絡下さい」
こう優しく返すこの娘をデートに誘いたい。君にロックON。
と目線の先には、報告書へのサインを待つ兄貴。
ここはデートの誘いより兄貴を優先せねば。
オッといけねー。
拉致監禁40分の間に、二人の人間に
私の不安を共有したことを思い出した。
ひとり目は拉致された携帯の中に眠るカミさんの
携帯番号を知るため連絡した弊社・森田社長。
その折「とりあえず会社に車で向かいますよ」
と温かい言葉に「来て」と発してしまった。
ふたり目はカミさん。「スペアキーがあればチャリで来て」と告げた。
この二人に顛末報告。
幸い二人はまだ自宅にいた。
こうして私のしでかしは幕を閉じた。
「気をつけよう、心のスキに忍び寄るサギとエレベータの隙間」
今日は寝よう。とにかく睡眠だ。
ご迷惑をおかけした皆様、本当にごめんなさい。そしてありがとー。
愛してるゼイゼイはぁはぁ。
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