株式会社プランシードのブログ

株式会社プランシードの社長と社員によるブログです。
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その519.好きなら腹くくってやれ!

2021-06-18 07:47:24 | 制作会社社長の憂い漫遊記

スポーツ選手は苦しい練習をつんで、その練習に堪えたことが

自信となり、試合でも緊張することなく挑める。

自信は苦しい練習をすればするほど大きな形で生まれてくる。

しかし、我々の仕事には練習がない、

お客様からお金をいただいて作品をつくっているのだから。

そうなると本番を繰り返して自信にするしかない。

 

私は40年、同じ仕事をしているが、構成案や台本を書く時は

「この仕事は向いていない」と己の非力に自己嫌悪に陥る。

しかし撮影が始まり、編集を終え、録音の段階になると

心の中はガッツポーズの嵐。「俺は天才かも」となり、

試写でスポンサーから「いいですね」と言われようものなら

鼻高々さんになってしまう。しかし、次の台本作成が始まると

「もう無理」と再び自己嫌悪に陥る。

毎回毎回違うネタゆえに今でも自信を持つことなく自己嫌悪と、

とてつもない自信家をいったり来たりしている。

この仕事で自信を持つ方法。

大前提はこの仕事が好きなこと。

さらにこの仕事でメシを食う覚悟があること。

この大前提があった上でやることは、

まず助手の間に基本を覚えることだ。

例えば、カメラ助手ならカメラの操作。

上手、下手などの業界用語を覚えることも大切だ。

さらにコミュニケーション能力をつけること。

例えば遅刻をしないこと。挨拶、返事をしっかりすること。

わかったフリをしないこと。などなどコミュニケーションの第一歩だ。

これらの基本を時には先輩に叱られながら、助手の間に習慣化する。

習慣化すれば、いちいちボタンを見なくても操作ができるようになるし

次々起こる予定外のことに対しても、感覚的に判断できるようになる。

この基本の習慣化が1年でできる人もあれば、5年かかる人もいる。

何年かかってもこの仕事が好きなら続けられる。

助手からすれば「メインスタッフは助手を見てくれていない」と

思うかもしれないが、実はしっかり見ている。

なぜなら任せて安心なのかが助手の選定基準なので

基本を習慣化していない者を自分の助手にしたくないからだ。

メインスタッフは誰でもが、足手まといは勘弁願いたいと思っている。

 

こうしてメインスタッフから、「誰でもよい」ではなく

「助手にしたい」になる。ただしこの段階では、

まだ助手の3番手(最下位助手)だ。助手のチーフになりたいなら

上司にあたるカメラマンや監督の気持ちで動けるかがポイントになる。

「自分が監督ならキャスティングは?どんなシーンにするか?

その時の台詞回しや動きは?衣装は?小道具は?」などを考えられるか否か。

いわゆる台本の行間を読み取る努力をすることだ。

国語で言えば読解力。

読み方がわからなければ、辞書で調べて読みだけでなく意味まで理解する。

こうして行間が読めるようになれば、時間が読めるようになる。

終わりの見えない仕事はツラい。「早く時間が過ぎてくれ」と願うようになる。

しかし、終わりが見えていれば頑張れるし、もう一工夫もできる。

なによりも現場が楽しくなる。いや、楽しめる。

結局チームでする仕事は、なんだかんだ言っても

読解力とコミュニケーション能力が基本の最上位にあたる。

日々の段取りや指示されたことだけに留まるのではなく、

自分がメインスタッフなら、どうしたいかを考える。

もう一歩先を読む。ただしスピードも大切になる。

だから感覚的判断、瞬間判断が求められる。

この訓練がいわゆるスポーツ選手の練習にあたるのだ。

助手時代に訓練ができているか、できていないかを上司はしっかり見ている。

日々の瞬発力から上司は部下を選ぶ。

例えばプロデューサーは監督を選び、監督はメインスタッフを選ぶ。

さらにメインスタッフは頼れる助手を選ぶ。

だから助手の間に基本をしっかり習得する。

腹くくってやるしかない。心の問題だ。



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