白い月

白い月

他力

2017-09-10 13:58:26 | 心事ポエム
陽に照らされて視る ひよどりのデジャブ

ひと群れの黄色い原野は

痛々しいほどに ゆっくりと枯れていく


本願を果たしたおまえの宙は

今涼やかな風を運んで来ようとしているが

故ないえにしも 遠い因果も関わりもない


巣を捨て 森を去り 熟柿を食まず 時をも断つ

無価値な過去と 飛翔するたましいの解放

抱え込む刻々のメランコリーは散華しよう



重い飛翔が痛ましいが 何時かは閉じる傷 癒える筈

わたしは未病のままに逝きたいから

清浄な風を荒野に送ろう


消えた足音

忘恩の鐘の音

爆ぜる花火の狂気

天空のプール 《さんざめく星々》

耳触りの良い電子音

病む人を看る人の憔悴
 

・・・夏が終わる      




方便             

2017-06-29 09:43:29 | 心事ポエム
凡てを疑ってかかっていた筈なのに

ぎりぎりの折り合いをつけながら 貴人の嘘を信じた


何を操るつもりか 不可思議な警告音

静かに しなやかに 侵入者はそば近くに寄ってくる


闇に君臨する魔界の支配者 漠々と流れ入る淵 

溶けこむ先に拡がる不可思議な慈愛


回廊を駆け抜け 逆走する風の躊躇い

メスキータ寺院の壁の中に 埋め込まれた神々の沈黙


削り取られた痕跡を 冴え冴えと照らし

明日を成り立たせる為の今日の手だてを探しあぐねる


一時しのぎの便宜に寄りかかり 喘いでいる利便性 

システムダウンが引き起こす混沌


とんでもない事を口走りそうで 

真夏の月は重い扉を閉ざした




夏を病む

2017-06-19 05:58:47 | 心事ポエム
かつては 

《甘い逸脱》に酔いしれて

放埓な視線を放ちながら 碧空を飛翔していた欝の月


いま

愉悦の花の時を迎えながら

際限もない眩暈に病み疲れ

吹き抜ける爽やかな風の中で 動けないでいる


梅雨の無いひんやり冷たい 居心地の良い六月

何もしないのにいつも疲れて いつも眠い

折り合いをつけながら待つ 不寛容な夜が明ける


突き崩して海に流してしまいたい 黒い塊ひとつ抱え込み      

故もない 果てしもない このさびしさは 

いったい何処から来るのかと肩を落としている


撃ちながら自らも傷つく相剋に終わりはない 

見えなかったから知らなかった・・・で押し通す憂鬱よ
 



 



長夜

2017-05-25 14:55:46 | 心事ポエム
夕食は アボガドのデイップ。 ステックサラダがいい。

セロリ、マッシュルーム、烏賊、牡蠣でアヒージョ

川辺からはセリを摘んでくる 

無添加の赤ワインと西瓜があれば良い。


ズンバで流した 大量の汗は洗い流す

トロリと甘いお気に入りの乳酸飲料を喉に 流し込む


即今の快楽 愉悦の極みの午睡

此処にしか生きられぬ この日の月



あてどなき煩悶の愚

未だ溶けない確執の塊り
 
梵庸な得心 恣意、身のこなし

様々に腐心した挙句の 冷えた眼差し 

電子音も消した。 


こころ閉ざした花の季も終わる

一向に睡魔が来ない火宅の憂鬱

うずくまる老女の背が丸い


他にて手だてはない移り気な月

今日も食べる、 動く、 眠る・・・

ひたすらこの一事に専念する。 



法雨

2017-05-11 15:05:41 | 心事ポエム
 左眼が重いのは 電子光のせい

 股関節が軋むのは 馴れないヨガのせい

 眠れぬ一夜に 恵みの雨がしとど降る


 捨て身の奉仕の挙句の宣告

 
 安直な献身は散華した

 
 渇愛を捨てる覚悟はある


 私心無きわたしの アーナンダ

 
 王台に座し 如才なき会釈を待つ強運に幸いを

 
 護るべき刻々の平安 安寧が今

 
 受容される天命


 
 乾き過ぎた地表に 待ち望んだ夜来の雨が止まぬ

 暫しは《このまま・・・》《いつもと同じ・・・》

 変わり映えのない一刻の幸福に浸る