白い月

白い月

疑念

2017-04-15 11:56:49 | 心事ポエム
知りたくもない まっとうな嘘


聴きたくもない言い訳

 
脳裏からひと時も去らぬ疑心


冷気につつまれ 覚醒する美貌の鳥


当てどない幽かな気配かき分けつつ


蒼茫の悲歌を奏でている




とめどもなくそよぐ風 


うそぶく過去


纏わる歳月


遠のく思慕


行き詰まり塞がれた思念の壁


陽炎舞う夏の日々と幾星霜は


軽々とくずれ 声もなく 


匂い立つ深淵に墜ちて逝く


・・・覗き込む瞳が昏い 老いた月よ。



祥月

2017-03-11 21:46:13 | 心事ポエム
尋常では無い 

あの日の春の大雪
                  

残余の旅の始まりとも知らず

雪原を逃げ回るうさぎのようだったわたし


時の雫ふりほどきながら

白い息を吐き散らし

埋もれ木に爪をはがされ 

血を滴らせ

目を塞ぐ蒼い風に 

追いつめられ 

身をすくめ

ひたすら

百難と対峙する無碍の日もやがて終わる


薄墨色に滲む月翳を透して

今何が起きているのか

夜の闇に紛れ込み浮遊し続ける

ひとひらの雪片を捜している今日は

嗚呼  あなたの祥月


矜持 

2017-03-04 08:37:39 | 心事ポエム
終らない夢を見続ける


掬い取られ罅割れた日常は 灰にまみれたまま

あえてするルーテイン 

憐れみのまなこは開いたまま 決して閉じない・・・

暗闇から差し出された苦渋の盃も躊躇わず飲み干す

溢れる泪も拒絶しない 

素顔を晒す・・・ 

特別なことではない

人の世で繰り返されるありふれた茶飯事

シナリオは書き継がれ 拡散し 無為の壁が延々と延びる


拘りもなく あまねく地を照らし 

宙を巡り やがては翳り傾く日輪の正気


《再びの明日よ 約束の地よ平らかなれ》

正義はいつも血を浴びる 

傷ついた無辜のたましいよ

正道を行く人よ 斜陽目指して歩く人よ

間もなく美しい季節が来る筈と嘯く月




分別

2017-02-19 11:03:54 | 心事ポエム
瞳のない目を精一杯見開き

首の長い女が地下歩道に降りて行く


広場の一角を横切る風が冷たい

傾けた顔が何時までも白いまま


枯れない氷花見守りながら

一途な昼の月


回向の日だから・・・

ためらいながら 招き入れる無念


遺恨を貫き通すか?

忘れ去るか?



こんなにもかなしいのに

明るすぎる冬日に励まされています





善意

2017-01-07 10:00:41 | 心事ポエム
冬日の虚心持て余している下弦の月

加護の光り降り注ぎ

切り裂かれた恣意の闇を通り抜けた


不穏な一矢も放たず

沈黙で虚心を宥め

一切争わない事にしたのに

何故こうも苦しいのか凍る月よ



手から目に

眼から耳に

耳から鼻に

すり寄る移り気な 冬の薔薇の吐息



どうしても好きにはなれない

許せない節操にさえ目をつぶり

天啓をも願ってみた


老樹の泪は空涙かも知れないが・・・

ほだされて騙される 生きてする善意。