生れ直すのにも 生き直すにも倦んだ月は
薄青い雲を従え 《その時》を待っている
告知された余命をも無邪気に振り払い
聴こえぬふりをして風に飛ばし
愚かにも ああ。
根拠もない奇跡を確信しているらしい
独り居の隠れ家は遺恨の杜の中で朽ちる
覗き込んでも何もない
日輪を追う暮らしを飾り ひたすら繁茂し続ける蔦の家は
いずれひとひらの霧のように消える筈
一病に由縁する鈍い痛み抱え
無辜の民の放浪にも付き合う
無涯の火焔は尽きず
灰を積みあげる地軸の生業に休みは無い
田を埋め
森を消し
流れをねじ曲げ
人を誘い込み 死の淵へとなだれゆく
酷い秋だった
薄青い雲を従え 《その時》を待っている
告知された余命をも無邪気に振り払い
聴こえぬふりをして風に飛ばし
愚かにも ああ。
根拠もない奇跡を確信しているらしい
独り居の隠れ家は遺恨の杜の中で朽ちる
覗き込んでも何もない
日輪を追う暮らしを飾り ひたすら繁茂し続ける蔦の家は
いずれひとひらの霧のように消える筈
一病に由縁する鈍い痛み抱え
無辜の民の放浪にも付き合う
無涯の火焔は尽きず
灰を積みあげる地軸の生業に休みは無い
田を埋め
森を消し
流れをねじ曲げ
人を誘い込み 死の淵へとなだれゆく
酷い秋だった