IBON財団によると、マニラ首都圏の最低賃金はインフレ率やフィリピン人労働者の生産性にさえ追いついていない。
IBON財団
1978年にシスター・メアリー・ソレダド・ペルピニャンによって設立されたIBON(タガログ語で鳥)は、フィリピン人の利益と願望に役立つ社会経済学の理解を促進することを目指し、フィリピン社会と世界が直面している最も緊急な社会、経済、政治問題を研究する機関。
IBON財団は、情報、調査、教育、アドボカシーなどの様々なプログラムを通じて、フィリピンの人々に貢献することを目的とした
非営利のNGO団体。
20年以上にわたり、IBON財団はフィリピン国内外で広く尊敬され、信頼されるデータソースであり、有力なシンクタンクとなっている。
IBON財団は、社会経済問題に対する新たな理解を促進し、自由貿易協定(FTA)、政府の社会サービス(教育、医療、住宅)の軽視、
債務負担、水道サービス、バイオ燃料、貧困、海外フィリピン人労働者の権利、石油、米、砂糖産業におけるカルテルなどの問題に
対するキャンペーンを通じて、特に人々の利益と福祉の一貫した立場を貫いている。
首都の地域三者賃金生産性委員会が来月の賃金引き上げの可能性について審議する中、研究・擁護団体は、
最低賃金の実質価値はアキノ3世政権下でのピーク時から下がっていると主張している。
これはインフレにより、特に最低賃金労働者の賃金の実質価値が目減りしたため。
IBON財団によると、マニラ首都圏の最低賃金は2016年6月に最高値を記録し、インフレの影響を除いた2018年の
定価で測定すると名目最低賃金491ペソが実質538ペソとなった。
しかし、2024年5月現在、名目賃金610ペソは実質501ペソの価値に過ぎず、8年前のピーク時より7%低い。
IBON財団は、フィリピン人労働者は家族の生活賃金に向けて大幅な賃金引き上げを緊急に必要としていると主張している。
「労働者とその家族は底賃金に苦しんでおり、商品やサービスの価格上昇から直ちに解放されるためには、
直ちに大幅な賃金引き上げが必要だ」とIBON財団は訴えている。
例えば、データによれば、610ペソの最低賃金は、5人家族に必要な1,197ペソの半分に過ぎない。
週5日勤務の場合、最低賃金は月額14,373ペソとなり、5人家族の貧困ラインである15,587ペソを8.5%下回る。
IBON財団は、少なくとも20年間にわたって賃金が労働者の生産性に追いつかず、雇用主に莫大な利益をもたらしてきた状況を是正するには、
実質的な賃金上昇が必要だと指摘している。
2000年から2023年にかけて、労働者の生産性は62%上昇したが、最低賃金は実質ベースでもインフレ調整後でもわずか9%しか上昇していない。
「これは、フィリピン人労働者が公平に報酬を受けておらず、雇用主が労働者の生産性向上を不当に利益として懐に入れていることを示している」
とIBON財団は報じている。
同擁護団体はまた、マニラ首都圏の企業には大幅な賃金引き上げを行うのに十分な利益があり、マニラ首都圏の企業全体の平均経費のうち
報酬が占める割合はわずか14%に過ぎないとし、就労者の半数が最低賃金以下であると仮定すると、IBON財団は最低賃金の150ペソの
引き上げは利益のわずか4%に相当すると計算し報告書を出している。
また、IBON財団は「雇用主は価格を上げたり、インフレを引き起こしたり、解雇したりすることなく、利益のこのわずかな部分を
労働者に与えることができる」と報告書に記載している。
先週、労働雇用省は、マニラ首都圏の最低賃金労働者の手取り額が7月中旬までに増加する可能性があると発表した。
マニラ首都圏が賃上げされると近接州はじめ全国的に賃上げが予想され、賃上げに乗じた物価高がさらにひどくなる要因にもなりそうです。
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