フィリピンりぱぶりっく狂笑国

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一滴の涙

2006-01-10 | Weblog
パパ オアハヨウ ヨロシクネ

応募者もそろい、会場がざわめいてくる。オーディション開始時間到来である。会場近辺はもとより其の施設にある階段まで人人で溢れ、近辺には異臭が漂う。安物香水と化粧品、或いはボデーローションの全ての臭いが混ざったオーディションでしか味わいない異臭である。現地スタッフに引率された招聘者が登場。待ち受けている応募者は口々に先制攻撃を始める。「パパオハヨウ」「クンニチワ」「シャチョ ヨロシクネ」精一杯の愛嬌を前を通る招聘者へ。
 この業界に携わる者の時間感覚が特異でもあるせいか、2時の開始でも、応募者への連絡は開始が1時と連絡する。中には時間を遵守、遅れることなく来場する者もいるが、応募者の殆どは遅刻者が多い。当然、2時開始であっても、応募者リストの準備等で開始が1時間以上も遅れる場合もある。猛暑の中、順番を待つ者。中にはあまりの時間のルーズさに応募を取りやめ帰宅する者も出始める。用意が整いいざオーディションが始まる。予定時刻から1時間遅延なんかは当たり前のように。会場は様々で、その代理店の社長室の一角、ガラスで仕切られたオーディションルーム、ショーの行えるスタジオ、レッスンルーム等その代理店により様相は様々。招聘者あるいはクラブ経営者が待つオーディション会場へ代理店担当者の案内で入室する。ほぼ5名単位くらいで入室する。待合室には整理番号を罵声のようにあびせ整列させている。当然、入室時には「スマイル」の掛け声をかけられ「コンイチワ」「オハヨゴザイマス」と発し、慢心の笑顔で入室、招聘者やクラブオーナーの顔を見て媚を売る。このような形態は、日本国内へダンサーシンガーが入国し始め、ある程度各地にフィリピン人芸能人が見受けられる頃から現在まで変わっていないかもしれない。担当者から整列した芸能人の経歴が簡単に説明される。招聘者たちは舐める様に入室した芸能人の容姿にみいり、希望に合った芸能人がいれば、用意された台紙に記号をつけ「サンキュー」で退室する。その時間およそ1分間かも。中には入室や否や「サンキュー」という招聘者たちもいた。この様な繰り返しで最終応募者まで終わった時点で、担当者が選抜された芸能人を、再入室させる。その中から再度選抜、最終的に好みに合った者を選び、簡単なミーティングみたいなことが始められる。芸能人選抜に関してはかなりかけ離れた質問が相次ぐ。「日本は何回目」「ラストブッキングはどこ?」「ワンウイークコミッションはいくら」「一週間の同伴回数は」「一週間の指名本数は」「恋人は何人」「子供はいるのか」どれをとっても芸能人には程遠い質問である。帰ってくる返事もこれまたユニークである。「私は23歳、ダンサーです。でも本当の年は19歳。だって20歳以下は行けないデバ?だからお姉さんお名前です。」この時点で、殆どこの業界は興行ではなく社交員募集と思って間違いない会話ばかりである。当然、フィリピン代理店は明らかに日本へ就労するのは専ら接待行為と分かっていても予約受付書に書名をもらったり内金を徴収し、早々に申請書類作成のための準備が始まる。
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