警官待遇の低さも一因か
「警察官の資質と給与が改善されない限り、リオの治安は良くならない」―。
2014年のサッカー・ワールドカップ(W杯)と16年の夏季五輪を控えたリオは、当局による過去最大規模の麻薬組織掃討作戦で陸軍を投入し、州警察、平和維持警察部隊(UPP)、「トロッパ・デエリート」(特殊部隊)もそれぞれ増員して対応している。
「治外法権」とされるリオの麻薬組織は大量の銃器を持ち、いつ銃撃戦となるかわからない。警察部隊は命を懸けた危険な任務に就いている。それにもかかわらず、リオ州警の初任給は全伯で下から4番目だと5日付フォーリャ紙が伝えた。
リオ市が支給する月350レアルの「五輪手当」を含めた一般警察官の初任給は1450レアル。全伯では、南大河(1172レアル)、パラー(1215レア ル)、ペルナンブッコ(1331レアル)の次に低い。4千レアルスタートという連邦直轄地(DF)や、ゴイアス(2823レアル)とでは大きな開きだ。
こうした実情に鑑み、州政府は来年度から14年までに、州警察の給与全体を7割引き上げる方針。48の給与体系すべてで毎月、前月額の0・9%ずつを引き上げ、14年末には一般警官の初任給を1750レアルとする予定だ。
ただ、州財政には43億レアルの支出増となるため、実現が疑わしい。大統領はリオ五輪に向け、3200レアル以下の給与に最高1200レアルを上乗せする「五輪扶助」を承認したが、州政府が財政難を理由に渋り、支払開始時期も額も決定していない。
唯一の特別手当はリオ市財政から。一般警察官が350レアル、UPP500レアル、特殊部隊1100レアルだ。このため、同じ州警察で麻薬組織掃討作戦に参加していても、給与は所属により1450レアル、1600レアル、2600レアルと開いている。
社会経済学研究所のある研究員は、「リオの治安改善には警察官の昇給が不可欠。だが、不正を働く警官が多すぎて、民意の賛同を取り付けられないだろう」と指摘。また、第一線の警官らは人権など基本倫理を身につける必要があると話している。