あまっている写真を並べて
今日は創作物語。
小雨の中を散歩していたら
呼び止められました。
傘立ての中にいた小さなワンちゃんです。
「もしもし、Cocoさん。
公園の象さんのことで、
おかしな噂を聞いたのです。実は・・・」
「えっ。公園の象さんがおかしいだって」
Cocoさんはびっくり。
公園の象さんといえば
初めて会ったときは、
大きくて怖かったものでしたが
顔が怖いだけの
ただの造り物だとわかってからは
平気で近づけるようになったのです。
今ではちょっぴり
親しみさえ、感じています。
その象さんの一大事とあっては
放ってはおけません。
Cocoさんは話を全部聞かずに
飛び出していってしまいました。
「慌て者だねぇ」
「ほんとだねぇ」
うさぎの親子が、あきれています。
公園に向かう途中で、
レインコートを着たお地蔵様を見かけました。
象さんがもし、
雨にぬれて困っているのだったら、
このレインコートを借りてあげましょう。
ところが、公園についてみても
象さんに、おかしな様子は見られません。
雨にぬれてはいますが
特に困ってはいないようです。
おかしいねえ。
そう思いながら公園を後にすると
今度は別の置き物ワンコに声をかけられました。
「公園の象さんは、雨に困っているわけじゃないよ。
足元を、よく見てごらん」
足元だね。わかった。
Cocoさんは急いで、公園にとってかえします。
Cocoさん・・・
がんばれよ。
置き物ワンコはCocoさんの奮闘を
やさしく見守っています。
教わったように、
象さんの足元を見てびっくり。
前脚の後ろに、大きなくぼみができていたのです。
昨日までは、なかったものです。
この穴はいったいなんでしょう。
少し考えて、気づきました。
これは象さんの足跡!!
造り物だとばかり思っていた象さんが
一歩前進していたのです。
「象さんが、動いた~!!」
「Cocoさん。とうとう私の秘密を知ってしまいましたね」
象さんは、しゃべることもできるようです。
「知られてしまったからには、もうこの街にはいられません。
さようなら。さがさないでください」
象さんはゆっくりした足取りで
Cocoさんから離れていきました。
「待ってください。象さん」
Cocoさんは、慌てて引き止めます。
「私は誰にも言いません。
このことを知っている、ほかの造り物のワンちゃんたちも、
みんなきっと秘密を守ってくれますよ。
だからここで仲良く暮らしましょう」
「本当ですか」
「本当ですとも」
「ありがとうCocoさん。
お礼に私の足跡のこの穴は
Cocoさんのために、いつでもあけておきます。
『穴があったら入りたい』ときには
ぜひ使ってくださいね」
「それはどうも、ご親切に」
そんな日が来なければいいなあと、
こっそり思う、Cocoさんでした。
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