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悔い戻る者たちの道しるべ【3】-(1) 赦される罪について

2015年02月20日 | 悔い戻る者たちの道しるべ
賞賛がアッラーにありますように。そして最上の祈願と最上の平安の挨拶が私たちの指導者ムハンマド、彼の家族、教友たちすべての上にありますように。

人間のアッラーに対する罪とは?:
アッラーは私たちに礼拝、断食、巡礼、喜捨のような崇拝行為を義務とし給うたとともに、(見ることを禁じられたものから)視線を低め、舌をコントロールすることも義務とし給いました。罪(ザンブ)は、イスムとウドゥワーンという言葉でクルアーンに登場します。ウドゥワーンとは、兄弟の命、尊厳、財産に危害を加える形での罪、イスムは飲酒のように人間と主の間で犯される罪です。許されていない女性をじっと見たり、アッラーが満足し給わない言葉を話したりすることもイスムです。つまり人間の諸権利に関係しない、アッラーの諸権利に関係する罪のことをいいます。
 
では、ザンブとイスムに違いはあるのでしょうか。
アナス(アッラーの御満悦あれ)によると預言者様(アッラーの祝福と平安あれ)は言われました:《全てのアーダムの子孫は間違いを犯すが、その中の善い間違いを犯す者は悔悟する者である。》(アハマド、アッ=ティミズィー、イブン・マージャによる伝承)

よって、ザンブは間違いを犯すこと。
ではイスムとウドゥワーンの違い何でしょうか。

 ウドゥワーン:アッラーが定め給うた一線を超えてしまうことで兄弟である人間に危害を加えることです。被害者がムスリムであってもそうでなくても同じです。アブーフライラ(アッラーの御満悦あれ)によると預言者様(アッラーの祝福と平安あれ)は:≪騙す者は我々の仲間ではない》(ムスリム伝承)、《己に望むことを兄弟に望むようになるまでは、誰も真の信仰を得たとはいえない》(アル=ブハーリーとムスリム伝承)後者のハディースは、「己に望むことを、人類上の兄弟に望むまでは」にも解釈できます。

 ウドゥワーンとは、被害者がムスリムであろうと無かろうと、全ての人間に危害を加えることであると説明しました。実際には非ムスリムに危害を加える方がムスリムに危害を加えるよりもさらに罪深いのです。ムスリムがムスリムから害を受けた場合、「誰々に~~された」と言うだけですが、非ムスリムがムスリムから害を受けた場合、その罪がイスラーム全体を批判するきっかけになってしまうことが根拠です。あなたは数多くあるイスラームの裂け目の中にいるのです。ムスリム一人一人はイスラームの大使です。振る舞い、動き、静けさ、立場、売買の仕方などのすべてが顕微鏡にかけられ、大きく映し出されてその人のイスラーム度が示されます。
そのため、アッラーは次のように仰せです:
「民に対する憎しみがおまえたちを公平でなくなるように仕向けさせることがあってはならない。」(食卓章8節)
さて、信仰者にとっての第一の敵とは誰でしょうか?不信仰者です。しかし敵であっても不正に接してはいけないのです。
「公平にせよ。それが畏敬により近い。」(同上)

至高なるアッラーは不信仰者であっても虐げられた者、被害者の祈りに応じ給います。祈る者がどんな人物であるかではなく、アッラーの公正さによって、応じ給うのです。ドゥアーするのに相応しくない人物であっても彼が必要としているなら、アッラーは彼に応じ給います。被害者には公正の名のもとに応じ、必要としている者には慈悲の名のもとに応じ給うのです。そのため被造物がどのようなものであっても、それらに対する敵対行為は赦されない罪なのです。

代わってイスムとは、例えば人が部屋の中でアッラーに背く時、彼はアッラーに罪の赦しを乞う必要が生まれます。アッラーの権利に関係している罪の場合です。礼拝、断食斎戒、喜捨、巡礼などがそうです。この類の罪が犯され、アッラーがしもべの真面目な悔悟、悔悟における誠実さ、悔悟への執着を御覧になる時、アッラーは罪がどんなに多くても赦してくださります。

教友アナス・イブン・マーリクはアッラーの使徒(アッラーの祝福と平安あれ)が次のように言われるのを聞いたと言いました:祝福多き至高なるアッラーは仰せになった:≪アーダムの子よ、おまえがわれに祈り、願ったなら、おまえ(の罪すべて)を躊躇なく赦す。アーダムの子よ、おまえの罪が点の頂点に達して、そしておまえがわれに罪の赦しを求めればわれは躊躇なくおまえを赦す。アーダムの子よ、おまえが地球を埋める罪でわれのもとにやって来て、われに何者も配さずにいたなら、われはおまえにそれを埋める赦しを与える。≫(アッ=ティルミズィー伝承)

このハディースの意味は次のアッラーの御言葉が由来しています:
「言え、「己自身に仇して度を越したわがしもべたちよ、アッラーの御慈悲に絶望してはならない。まことに、アッラーは罪をそっくり赦し給う。まことに、彼こそはよく赦し給う慈悲深いお方。」(集団章53節)

しかし、「そしておまえたちの主の御許に悔いて帰り、」(同章54節)と続いている内容に注意してください。
まことに多くのムスリムが聖句の前半だけを理解する傾向があります。例えば:
「わがしもべたちに告げ知らせよ、われこそはよく赦す慈悲深い者であることを。」(アル=ヒジュル章49節
「そして、わが懲罰、それは痛苦の懲罰であると。」(同章50節)と続きます。

「言え、「己自身に仇して度を越したわがしもべたちよ、アッラーの御慈悲に絶望してはならない。」とアッラーは仰せの後、

「まことに、アッラーは罪をそっくり赦し給う。まことに、彼こそはよく赦し給う慈悲深いお方。(53)そしておまえたちの主の御許に悔いて帰り、彼に帰依せよ、おまえたちに懲罰が訪れる前に。そうなれば、おまえたちは援けられない。(54)」(集団章53~54節)

悔悟にまつわる意味、アッラーによる赦しと慈悲の約束はしもべがアッラーに帰ることと結びついているため、悔悟がない場合は慈悲に与れないことになります。アッラーの慈悲にはあなたがアッラーに帰ることが条件付けられているのです。

こんなたとえ話があります。師匠のいる青年がいました。師匠が青年に言います。「息子よ、凡ての悪行にそれぞれの罰があるのだよ。」この青年は、アッラーに対する罪の中に足を踏み入れたことで、ヒジャーブ(遮り)に陥ってしまいました。特に、普段からアッラーと関係が親密な者にとって最も大きな罰こそがアッラーが御自身を彼から遮ってしまうことです。それは、丁寧に育てられた男の子にとっての大きな罰が父親に批判されることであるのと丁度同じです。ですから、洗練された者の罰は繊細なのです。

さてこの青年はアッラーに対して罪を犯したためにアッラーから遮られてしまいました。そのために忍耐しきれないほどの苦しみに襲われてアッラーに嘆きました。「主よ、私はあなたに背いたのにあなた私を罰し給うていません。」この青年に対する罰は物質的なものではありませんでした。アッラーは仰せになります。「しもべよ、われはおまえを罰したがおまえは気づいていない。」アッラーに対して犯した罪には信仰者たちが知るいくつかの罰がありますが、その一つはアッラーがあなたを遮ってしまうことです。

アッラーは英知なる御方ですから、しもべを辱めるような罰は与えず、遮ることでしもべを罰し給います。アル=ハサン・アル=バスリーがこう言っています。「礼拝に立っても何も感じない者、クルアーンを読んでも何も感じない者、アッラーを念じても何も感じない者、これらの者は、アッラーに遮られた者である。」ヒジャーブ(隔たり)は信仰者にとって最大の罰であるどころか、最後の審判の日における最大の罰です。
「断じて、彼らは彼らの主(に見(まみ)えること)から、その日、遮られた者である。」(量をごまかす者たち章15節)
逆はこうです。
「その日、(信仰者たちの)顔は輝き、(顔は)その主の方を仰ぎ見る。」(復活章22~23節)

信仰者が現世でアッラーの道を志すとき、アッラーが彼を罰するなかでも最大のものは彼をアッラーから遮ってしまうことなのです。人の前では健康で元気ですが、礼拝に立っても道は閉ざされてしまっているのです。この罰は洗練された信仰者の罰、遮りの罰です。アッラーはその英知であなたのための教育的懲罰を選んで与え給います。ヒジャーブ(遮り)がその中のひとつです。不安、恐怖、心配もそうです。これらすべてはあなたがアッラーに対して犯した罪に対する罰です。

信仰者は何か痛みを感じるたび、自分が何を成したためにこうなったのだろうと自問するべきです。そうすれば正しい道を行くことが出来るでしょう。常に自分を責めるということです。これは最も進歩し上昇した魂の一つで、自責する魂です。その上にあるのは、安らいだ魂です。
「安らいだ(信仰者の)魂よ。」(暁章27節)
アッラーは自責する魂にも誓い給いました:
「復活(審判)の日に誓おうではないか。(1)そして自責する魂に誓おうではないか。(2)」(復活章1~2節)

ですから私はいつもフトバ後に、あなたたちが清算される前に自分自身を清算しなさい、あなたたちの行いが量りにかけられる前に自分自身の行いを量っておきなさい、と言っています。誰でも自分自身を現世で厳しく清算した者の来世の清算は楽なものになるでしょう、そして誰でも自分自身を現世で簡単に清算した者の来世の清算は厳いでしょう。

赦されるのはあなたがアッラーに対して犯した罪です。その中でも目立つのはイバーダート(崇拝行為)における怠慢です。しかしアッラーの慈悲、赦し、許容、恩恵のようなアッラーの御許からのものは信者が赦しを求めてアッラーに帰らない限り得ることは出来ないのです。

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