イスラーム勉強会ブログ

主に勉強会で扱った内容をアップしています。

預言者伝39

2013年01月16日 | 預言者伝関連

126.アブー・ルバーバの後悔、そしてアッラーの彼に対する赦し:
  包囲されて苦しみが限界に達したクライザ家(ユダヤ)の人々は、アッラーの使徒(祝福と平安あれ)に使いを送り、イスラームに帰依していたアブー・ルバーバという、アル=アウス族と協定関係にあった男を連れて来てほしいと願い出ました。アブー・ルバーバに、自分たちがどうしたらよいか相談したい、とのことでした。その依頼に応え、アッラーの使徒(祝福と平安あれ)はアブー・ルバーバをクライザ家(ユダヤ人たち)に送りました。しかしアブー・ルバーバが彼らの前に現れると、男らは彼に群がり、女性と子ども達は大声で泣き出しました。その様子を見たアブー・ルバーバの心は、同情の気持ちでいっぱいになってしまいました。クライザ家(ユダヤ人)の人々は言いました:アブー・ルバーバよ!ムハンマドに攻め入るのが良いと思うか?
同情により彼らに肩入れしてしまったアブー・ルバーバは、「その通り」と言って、自分の手で喉を切る仕草をし、つまりムハンマドを殺せ、と示したのでした。

  アブー・ルバーバは言っています:まだ自らの両足がその場にあった時、私は確実にアッラーとその使徒(祝福と平安あれ)を裏切ったと自覚しました。
その瞬間、アブー・ルバーバはその場を立ち去ると、アッラーの使徒(祝福と平安あれ)が戻られる前に、マスジドの柱に縄で自分の身体をくくりつけました。
アッラーが私の醜行を赦して下さるまでここから離れない!私は、クライザ家(ユダヤ人たち)の土地に二度と足を踏み入れないことをアッラーに誓う!自分がアッラーとその使徒(祝福と平安あれ)を裏切った場所に行くことはないことを誓う!と叫びました。

  アッラーが彼を赦し給うたしるしとして、次の節が啓示されました。:
  「一方、自分たちの罪を認めた他の者たちは、正しい行いに悪いものを混ぜ合わせた。
   きっとアッラーは彼らの許に顧み(かえりみ)戻り給う。」(クルアーン 悔悟章102節)

  この節が啓示されると、人々はアブー・ルバーバを縛り付けている縄を解こうと一斉に駆け寄りましたが、彼は、アッラーにかけて、アッラーの使徒様(祝福と平安あれ)が解いてくださるまでは私はこのままでいる、と言いました。そして早朝の礼拝に出かける時にそこを通りかかったアッラーの使徒(祝福と平安あれ)は、彼を解き放ちました。結局、アブー・ルバーバは20夜の間、木の幹に縛り付けられたまま過ごし、礼拝の時間が来る度に、彼の妻がやって来て、彼が礼拝するために縄を解いては、終わるとまた縛り付ける、ということを繰り返したのでした。

127.非難者の悪評を恐れないサアドの決意:
  クライザ家(ユダヤ人)の人々は、アッラーの使徒(祝福と平安あれ)の決定に反発し、アル=アウス族も背後から続けてこう言いました。:アッラーの使徒様!クライザ家(ユダヤ人)は、アル=ハズラジュ族と違い、私たちとは信頼関係にあります。またあなた様が、かつて私たちの兄弟(カイヌカーゥ家)に為したことについては、あなた様がよくご存知です。
アッラーの使徒(祝福と平安あれ)は答えて言われました:「アル=アウス族の人々よ、あなた方の同族の誰かが決定を下すのであれば満足かな?」人々は、はい、と答えました。アッラーの使徒(祝福と平安あれ)は、ではサアド・イブン・ムアーズに任せよう、と言われました。命令を受けて姿を現したサアドに向かって、アル=アウス族の人々は言いました:ムアーズ様!どうかあなたの仲間(クライザ家)に良い処置を。アッラーの使徒様(祝福と平安あれ)は、あなたが彼らに最善を成すために、あなたに決定を委ねたのです。
人々が次々にこうした意見を口にし出すと、サアドは言いました。:サアドはアッラーにまつわる決まり事において、非難する者らの悪評を恐れない。決定は次の通りである。男らは殺され、富は分けられ、女性と子ども達は捕虜となる。
アッラーの使徒(祝福と平安あれ)は:「サアドよ、確かにあなたはアッラーの裁定により裁きました。」と言われました。
  
  サアド・イブン・ムアーズの裁定がクライザ家(ユダヤ人)に実施されたことで、マディーナは、ユダヤ人によるすべての陰謀や敵対行為を恐れる必要のない土地となりました。信徒らが背後からの不意打ちを恐れる必要はなくなり、内部から内乱が起きる不安からも解放されました。
  アル=ハズラジュは、ムスリム達に敵対する連合軍を組んだサッラーム・イブン・アビー・アル=フカイクというユダヤ人を殺し、アッラーの使徒(祝福と平安あれ)に敵対心をむき出しにし、彼に逆らうよう率先して人々を煽(あお)っていたカアブ・イブン・アル=アシュラフという男も成敗しました。こうして信徒らは、イスラームと信徒たちに対する陰謀を企てた首謀者達からようやく救われ、休息することができました。
  
  またアッラーの使徒(祝福と平安あれ)がクライザ家(ユダヤ人たち)に成したことは、戦いの戦略、アラブ部族とユダヤ部族の経緯がもたらした結果でした。協定や約束を破る全ての者にとっての訓戒となるよう、当時は、厳格な処罰が必要だったのです。

(参考文献:「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P261~265など)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿