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預言者伝30

2012年01月10日 | 預言者伝関連

102.信徒たちが持ち場に戻る:

  亡くなったと思っていた預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)を戦場に見つけた信徒たちは士気を取り戻しました。そこに多神教徒のウバイ・イブン・ハラフが現われ、「ムハンマドめ!おまえが無事である限りおれは無事ではない!」と吐き捨てるように言いました。預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は、「皆、彼を放っておきなさい」と周りの人たちに言いました。しかし、ウバイがさらに彼に近づき襲って来たため、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は教友の一人から槍(やり)を受け取り、それをウバイの首元に刺し成敗しましたが、それは馬から何度も転げ落ちそうになるほどの一撃でした。

  そこからアリーは出て行き、自らの楯(たて)に水を汲んで、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)の顔に付いていた血を洗い流しました。預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)の娘ファーティマが、彼(平安と祝福あれ)を洗い、アリーが水をかけるのでした。流血が酷くなっていることに気付いたファーティマは、ござの一部分を燃やして、その灰を血の出ている部分に押しつけ、やっとのことで止血したのでした。

  アブー・スフヤーンの妻、ヒンド・ビント・ウトゥバは女性らと死んだ敵たち(ムスリムたち)の体を傷つけに来ていました。死人の耳や鼻を切り取り、ヒンドはハムザ(御満悦あれ)の腹を切り裂いて肝臓を取り出し、憎悪の念を込めてそれを噛み潰しましたが、飲みこめずに吐き出してしまいました。

  敵の長、アブー・スフヤーンは退散を決めると、山頂に移動し、出来る限りの大声で叫びました:「まことに戦争は時に我が勝ち、時に負けるもの。さあ、フバル(重要な位置を占めている偶像神)を高めるのだ!」預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)はウマルに次のように言うように命じました。「アッラーこそがいと高くにおわし、尊い御方である、決して同じではない、われわれの戦死者たちは天国に入るが、おまえたちの戦死者たちは火の中にある」と。アブー・スフヤーンは続けます:「われわれにはウッザー(偶像神の一つ)がついているが、おまえたちにウッザーはないのだ」預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は誰か応答してやりなさい、と命じたところ、「何と言い返せばよいでしょう?」と皆が答えました。「アッラーはわれわれの守護者であり、おまえたちには守護者はいない」と言い返しなさいと言いました。

  アブー・スフヤーンが去ると信徒たちも去って行きました。そして叫びました:来年、またバドルで決着をつけようじゃないか、と。それに応えるようにと預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は教友の一人に言いました:「承知した。われわれとおまえたちの間の約束としよう」と。

  人々は戦死者たちを見て非常に悲しむのでした。そして預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)はおじであり乳兄弟であったハムザの死を悲しみました。

 

103.信仰心篤き女性の忍耐:

  そこへハムザの姉妹であるサフィーヤが兄弟の亡き骸を確かめに現れましたが、預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)はヒンドたちに加えられた傷を彼女は見るべきではないと判断し、サフィーヤの息子アッ=ズバイル・イブン・アル=アワームに、彼女を連れ戻すよう命じました。アッ=ズバイルはサフィーヤに言いました:お母さん!アッラーの使徒さまが戻るようお命じです。サフィーヤは答えました:「どうして?弟が傷つけられたと聞いたのよ。そのことについてアッラーに報奨を求め、忍耐しましょう。」そしてハムザの遺体を見ると、彼のために祈りを捧げました。それから預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)の命令のもと、ハムザは埋葬されました。

 

104.ムスアブ・イブン・ウマイルとその他の殉教者たちはどのように埋葬されたか?:

  アッラーの使徒(平安と祝福あれ)から旗を受け取っていたムスアブも殺されました。彼はイスラームに改宗する前、クライシュの中でも優雅な生活を送っていた一人でした。彼はブルダという衣服で巻かれたのですが、頭を覆えば足が露わになり、足を覆えば頭が露わになってしまいます。そこで預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は言いました:「ブルダで頭を覆い、露出した足には草をかけなさい」

  また預言者ムハンマド(平安と祝福あれ)は、ウフドの戦死者たちの中から二人の男性を一枚の布で包み、言いました:「どちらがより多くクルアーンを覚えているか?」どちらかが指されると、その者を墓に入れて、言いました:「私は審判の日、彼らに対して証人となります」そして血が付いたままの状態の彼らを埋めるよう命じ、彼らには祈りを捧げず、彼らにグスル(清め)を施すこともありませんでした。

 

(参考文献:「預言者伝」、アブー・アルハサン・アリー・アルハサニー・アンナダウィー著、ダール・イブン・カスィール出版、P237240


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