ある朝、通勤電車で見かけた制服に目が止まりました。その制服には「博多織」のリボンが使われていたのです。思わず「どこの学校だろう?」と調べたものの、結局分からずじまい。もしかしたら高校ではなく、中学校や専門学校の制服だったのかもしれません。
しかしこの制服が、改めて博多織の価値を考えさせてくれました。博多織といえば「献上柄」と呼ばれる伝統的な模様が有名です。これは、一目見ただけで「これは(国指定伝統工芸品の)博多織」と分かるアイコン的存在。まるで世界の高級ブランドのモノグラム柄のように、その価値を主張しています。
考えてみると、日本には各地に素晴らしい伝統織物が数多くあります。しかし、柄を見ただけで「これはあの地域の織物だ」とすぐに分かるものは、意外に少ないのではないでしょうか。
今回見かけた制服がどの学校のものかは分かりませんでしたが、調べてみると、福岡の複数の学校で、博多織のネクタイやリボンが採用されているそうです。学生さんが大人になった時に「誇らしい気持ちになる模様だな」と思って下されば、この取り組みは成功なんだろうな、と思いました。