昔むかしある国に二十歳を過ぎた王子様がいた。
二十歳過ぎといえばその国ではもう結婚を考えていい歳だ。
王子様には二人の結婚相手候補がいた。一人はA国の王女。もう一人はB国の王女。
どちらが自分の国の王妃にふさわしいか。王子は悩んだ末一つのテストをすることにした。
まず最初にB国の王女を自国に招いた。研修と称し、城にも何泊かしてもらった。
その際B国の王女のベッドには一粒の花の種を忍ばせていた。
王女は毎朝起きると「寝心地が悪いベッドだ」と世話係に文句をたれていた。
次にA国の王女を城に招いた。もちろん何泊かしてもらった。
その際A国の王女のベッドにも一粒の花の種を忍ばせた。
王女は毎朝起きると「気持ちよく眠れた。皆さんのおかげです」と世話係にお礼を言っていた。
十年後、その時の花の種は丘の上に立つ立派な大木になっていた。
風に吹かれながら街のみんなを、僕らを見守っているんだ。