夜、リビングに1人でいるとき、突然、大きめのクモに遭遇した。
脚の長さよりも、ちょっと恐怖したのは、胴体の肉厚感。ビックリして、反射的に思わず手近にあった掃除機で吸い込んでしまった後、さらに恐ろしくなった。
掃除機に吸い込まれたクモはどうなるのか。中のことを想像すると、本当に怖い。
そこで、ネットで検索してみると、実は同じようなことをしている人が案外いることがわかった。
YouTubeに掃除機を使ったクモ捕獲動画も
例えば、Twitterでは、巨大な「アシタカグモ」を発見し、慌ててダイソンの掃除機で吸い取ってしまった当時20歳の女性が、外から見えるゴミ部分にハマっている巨大グモの恐ろしい光景をアップ。「家族誰も知らなかったからいまは掃除機の中で飼ってるよ、、、、、、」と呟く事態になっていた。
ネットの質問掲示板では、こんな質問が見られる。
「掃除機で生きた蜘蛛を吸ったら、中で繁殖するという話は本当なんでしょうか?」
また、「掃除機で潰そうとして、うっかり吸い込んでしまったらしい→いずれ掃除機から出てくると思うと今すぐにでも家出したいくらい→吸い込み口を袋でぐるぐる巻きにしている」なんてものもある。
さらに、「掃除機でクモを吸い取る方法」として、ごみとりネットやビニール袋を利用した捕獲方法を紹介しているサイトがあるほか、YouTubeにも「蜘蛛(クモ)の正しい捕らえ方」「巨大蜘蛛を掃除機で吸うてみた」などの動画がアップされている。
さらに驚いたのは、千葉市のHP内「住居衛生相談事業のページにて、保健福祉局健康部保健所環境衛生課による情報として「クモの生態と防除方法」の3つ目にこんな記述があること。
「目の前にいるクモを退治するにはハエタタキ等で叩く、掃除機で吸ってごみといっしょに捨てる、ホウキや長い箸、ピンセットなどを使って家の外に追い出す…などの方法があります」
そして、この記述の下には「クモには直接素手で触らないようにしましょう」とある。
自分も含め、多くの人は、突然遭遇したクモに対して「思わず」「慌てふためき」「恐怖心から」、とりあえず手近にあった掃除機で吸い込んでしまっているようだが、実はこのやり方自体は、恐怖心にかられたトンデモ捕獲法どころか、専門家により推奨されているようだった。
掃除機で吸ったクモを取り出すと……
さらに、サイト「蜘蛛退治の方法.com」にも、クモを掃除機で吸った場合について、こんな記述がある。
「掃除機で吸い取ると直接手に触れる必要もありませんし、捨てる時も蜘蛛を見なくてよいので楽です。また、多くの場合は掃除機に吸い込まれた衝撃で死んでしまいます」
ここまで読んで、少し自信が出てきた。
いつ掃除機からクモが這い出てくることか、できれば知らない間にこっそり出てきて、知らない間に家から外に出て行ってくれれば良いなあなどと思いながら、勇気を出して掃除機のごみを新聞紙にあけてみた。
何事もない。ああ、良かった……と思った矢先、黒いモノが埃の中からモソモソ。
残念ながらクモはご健在。3泊4日、掃除機内で案外快適に過ごしていたらしい。ちなみに、吸い込んだつもりがないのに、掃除機のごみを片付けたらクモが這い出てくるというケースもあるようだ。
とはいえ、「掃除機でクモを吸い込む」のは正しい対処法の一つであり、素早くごみをビニール袋などに入れて処分すれば恐れるに足りないようです。
(田幸和歌子)