~Words~

心に宿る言葉たち

灯火

2005-11-18 | essay

「萩原朔太郎」のこの詩集を読むと、途中で読みたくなくなってしまう。        孤独で、悲しくて、苦しくて、読むのを投げ出したくなってくる。             でも、この詩には生命力というか、力強さを感じる。暗闇を照らす                ひとつの灯火のように・・                                               この詩が他の詩を支えている。いや、もしかしたら、他の詩が「竹」を             支えているのかもしれない。脇役として存在しているのかもしれない。        そんな事を考えていたら・・・                                     「人間も、もしかしたら、一瞬の灯火を見たいが為に                          今日もこうして生きているのかもしれないな」と思った。

“萩原朔太郎” 詩集 「月に吠える」より――                                                                                          

光る地面に竹が生え、
青竹が生え、
地下には竹の根が生え、
根がしだいにほそらみ、
根の先より繊毛が生え、
かすかにけぶる繊毛が生え、
かすかにふるえ。

かたき地面に竹が生え、
地上にするどく竹が生え、
まつしぐらに竹が生え、
凍れる節節りんりんと、
青空のもとに竹が生え、
竹、竹、竹が生え・・・

(略)