最近、子猫を拾ったり、もらったりして来院する方が多いですね。
授乳が必要な期間は生後一か月くらいなのですが、その間、子猫は自力で排尿も排便もうまくできないのです。
母猫がいるならば、ザラザラした舌でペロペロとなめとってくれます。
いない場合、トイレットペーパーなどで刺激して排尿・排便させるしかないのですが「オシッコは出せても、ウンチが出ないんです…」と来院されるケースが多いです。
そんな時、まず考えなけれならないのは授乳によって一日に必要なカロリーがきちんと取れているか?(購入したミルクのカロリー表示をよく確認して下さい)です。
診察していると、子猫に限らず老齢の病気のケースなどでも、食べてないことよりも「便が出ない」と言って来院される方がなぜか?多いのです(人は見えるものしか気づきにくい)。
でも食べてないのなら便は作られず、出ないのは当然であり、逆に必要なカロリーを取る食欲が毎日しっかりとあるのなら、便秘という出口をふさがった状態ではない可能性が高くなります。
便秘している場合、つまり方がひどければひどいほど吐くしかなくなってきます(つまった便をかいくぐって液状の便が出る、便秘なのに下痢状態となることも!)。
そんなわけで、人によってはあまり参考にならないかもしれませんが、ちょっといいかもしれない方法を思いついたので、説明してみます。
排尿・排便させる時、基本的に頭に入れなければいけないことは、皮膚ではなく、できるだけ粘膜面のみを刺激することです。
そこで、写真のように後肢を上にあげると、肛門奥にある粘膜面が露出しやすくなり、刺激しやすくなると思います。(もしかしたら、後肢を逆ハの字に開き、少しでも尾を背側にそらせると、より露出しやすくなるかもしれません)
この方法は、手が小さい人が片手でやるのはちょっと難しいでしょうから(私は手が大きい)、手伝ってくれる人がいる場合、子猫をおさえる人と粘膜を刺激する人に分かれてやってみるのも一つです。
子猫がニャーニャー鳴いて嫌がっているようでも、ある程度の厳しさをもってのぞまなければいけません。が、出ないからといって皮膚面をゴシゴシと力ずくでこすってしまうと、真っ赤にただれてしまうだけなので気をつけて下さい。
医療行為には厳しさと優しさのバランスを取ること――薬の与え方の時に書いたように、ソフトな鬼手仏心――が必要なのですが、表面的な優しさがいい商売になってしまう世の中なので、この厳しさの方がなかなか伝わりにくいと感じます。
時に少々傷つけてしまったりする中で、目の前にいる子猫独自の力加減やタイミングをつかんでいくしかないのです。
まあ、たいていの子猫はそんなに難しくはなく、食欲がしっかりとあるのなら、一回出すことができれば簡単なことが多いと思います。
一日に必要なカロリーを取る食欲がない場合は、信頼できる動物病院を探して下さい!
モデルとなってくれた涙目の子猫ちゃん、つい最近、ワクチンのために、こんなかわいい子になって来院してくれました!!