これは、嘔吐と下痢(黒色便)で来院されたワンちゃんのエコー画像です。
少し背を丸め、お腹が痛そうにふるえていたのですが、触診しても強くは痛がりませんでした。
でも腹部に何かが触知され、得られたのがこの画像です。
2重マルの中に――よく見ると――小さなマルが見えます。
実際は、このように腸の中に腸が入り込んでしまっているんですね。
この状態を腸重積と言います。
細い回腸が太い結腸にもぐり込んでしまう回腸結腸重積が多いのですが、このワンちゃんは、空腸の重積でした(どちらにせよ、まれな病気です)。
腸炎による蠕動運動の過剰から起こるようですが、この子の場合、きっかけは砂肝ジャーキーを与えたことのようでした(とってもおいしく、食べなれていないオヤツは、体に悪い→おいしいオヤツ?)。
もぐり込んでしまった空腸を引き出してみると、このように壊死していました。
こんな状態ですから、痛がるのは当然ですよね。
こうなってしまうと、壊死した部分を切除して腸をつなぎ合わせなければなりません。
これは術後、元気になってからの写真です。
ちょっと臆病な子なんですが、腸重積でお腹を痛がっていたときよりも、穏かな瞳になりました。
Vet Emergency Surgery: Puppy Emergency - Small Intestinal Surgery - Intussusception
まれな病気ですが、わかりやすい動画があったので、参考にして下さい。
人間だと2歳以下の子どもに多いようで、この動画も子犬なのですが、上述のワンちゃんは8歳でした。
不安そうな瞳が、術後元気になって輝いてくれると、我々も元気をもらえますね!
手術したとは思えないほど、とても元気にしてます。
硬いものや変わったものは絶対にあげないと心に誓いました!
丁寧に傷口を縫ってくれたおかげで、こんな大きな命に関わる手術をしたとは思えないほど、縫った跡がわかりません。感謝しかありません。
本当にありがとうございました。
だいたいの子は、短期的には大きな問題を起こさずに済んじゃうのでしょうから?
クリスマスやお正月だから特別おいしいものを!…なんて考えている方たち!硬くて大きかったり、やわらかくても、大きさや形状から食道を通過するのに時間がかかりそうなものは、与えないか、小さく切って少しだけ与えるくらいにしてください!