広島への旅、
海軍兵学校(第1術科学校)見学記・第三編。
前記事(第2編)のかつての海軍兵学校・生徒館(↓)
現在の海上自衛隊幹部候補生学校を見学する前のこと・・・
ガイド氏(ベテラン現役自衛官)が
「皆さんの中で、海上自衛隊幹部候補生学校の卒業生と
写真を撮りたい方がいらっしゃいませんか?」とおっしゃる。
聞けば、
前日が海上自衛隊幹部候補生学校の卒業式だったそうで、
とっても珍しいことながら、今日は現役の卒業生が
生徒館を案内してくれる。
そのうえ写真撮影にも応じてくれるという。
突然のこともあって、誰も反応できず。
ガイド氏は、たたみかける。
「いらっしゃいませんか?
今、お申し出がなければ、撮影はありませんよ」
・・・「幹部候補生」
つまりは海軍兵学校時代ならば士官候補の生徒が
卒業したのと同じこと・・・
その方達と写真・・・そりゃ、お願いしたい!
「はいっ!」と、勢いよく手を上げた。
ガイド氏は、見学者をぐるりと見まわすと、
「では、あとで、そちらだけに写真撮影を認めます」と
おっしゃると、一言。
「すぐに判断しなければいけません」
おそらく、他の見学者の皆さんは、
誰かが手を上げたら、自分も乗ろう、と思っていたのだろう。
こういう場面は、よくある話。
ところが、ガイド氏は、私が手を上げたらすぐに、
話を打ち切ってしまった。
(皆さんは撮影などしたくなかったのかもしれないが・・・
いや、絶対にそうじゃないな)
徳川宗英『江田島海軍兵学校』によると・・・
海軍兵学校には、「3S精神」があったという。
「Smart(スマート) Steady(ステディ) Silent(サイレント)」の
三つのSを全て遵守すべしと強調されていた。
Smart(手際が良く、柔軟に対処、素早く行動)なだけではなく
Steady(着実)でなければ意味がない。
SmartかつSteadyな行動のためには、発令者以外はSilent(静粛)を
保つべきである。無駄口や雑音は思わぬ事故につながる。
さらに「スマートで目先が利いて几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り」の
モットーもあったそうだ。
「スマート」は機敏、「目先が利く」は先を見通せること。
「几帳面」とは「Steady着実」に物事をなすこと・・・
3S精神も「スマートで目先が利いて几帳面」のモットーも、
「軍人としてでなく、一人の人間として生きていくうえの
指針として、海軍士官の合理的精神を育てることに役だった(33頁)」
と言われているという。
そして、「これらの教えは、今でも充分に通用するのでは」と
著者は投げかけていた。
さすれば、先の写真撮影の一件は、これと同じこと。
ガイド氏にも受け継がれている「海軍士官の合理的精神」を、
まさに垣間見た一幕だ。
わたしの機敏で目先の利く判断が、記念の一枚につながったw
(現代に、海軍はないけれどね)
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おつきあいいただき、どうもありがとうございます。
冒頭画像は、教育参考館です。
以下の本を参考に記事をまとめましたが、
間違いや勘違いもあるかと存じます。
素人のことと、お許し下さいませ。
◆参考・引用
徳川宗英『江田島海軍兵学校 世界最高の教育機関』角川新書