『所長』(byスワヴォーミル・ムロージェク)、読了。
ショートショートを読みたくて、図書館で借りた。
因みに1960年初出。
ムロージェクはポーランドの作家。
1968年チェコスロヴァキアでの「プラハの春」事件を機に、パリへ実質的亡命。
本作は、主にラジオ番組での話を活字にした物との事。
(巻末の解説より)
本作で扱われるのは、社会主義国家における(ブラック)ユーモアである。
……の、はずなのだが、どことなく何となく、日本の話に思える部分も実はあったり。
(特に昔の)日本の「お役所仕事」ネタが多いのだ。
タイトルにもあるように、本作にはほぼ毎回、何らかの施設だろう「所長」が出てくる。
その所長が理不尽な要望や提案をし、周りの部下は絶対さからえないというのが基本構造。
未処理の書類の山に挑んだ結果、書類の雪崩で死んじゃうとかが日常茶飯事。
ただ、日本だったら湿っぽくなりそうな話題なのに、雰囲気は明るい。
常に物不足、人不足、金欠に苦しんでいるものの、まあ困ったら取りあえずウォツカ飲んでれば何とかなるだろうという楽観主義。
(もっとも、そのアルコールさえ不足しており、靴クリームやら香水やらを摂取してる描写がある)
そんなぶっ飛んだ話が毎度、3ページくらいで次々に繰り出される。
身体障害者のネタとかも普通に出てくる。
読んでいる内に、なるほどコレは筒井康隆さん好きそうだなと、しみじみ感じた。
氏の短編『ムロジェクに感謝』の「ムロジェク」の元ネタを知れたという日記でした。
それでは。また次回。