好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

食人植物によって、終わる世界。

2025-02-24 | 物語全般
『トリフィド時代』(byジョン・ウィンダム)、読了。

1951年作。
知ったきっかけは、とある漫画から。
「植物が襲ってくるホラー作品の一例」と目にして、図書館で借りた。

正直なところ、序盤は退屈だった
特異な状況に説得力ある設定を説明し尽くすための部分がなかなか長い。

タイトルにある「トリフィド」とは、人類に(当初は)有益な謎植物の名前。
その様相については文庫表紙のイラストが一番助けになる。
三本の根によってゆっくりと移動できる。
そして先端にある鞭状の触手で、補食する相手の弱点を的確に攻撃する。
つまり、何らかの形の知性を持つ(可能性がある)
主人公は、そのトリフィドを研究する学者。

だが、実を言うと、このトリフィドの脅威は、物語のアクセントの一つに過ぎない。
寧ろ大きい悲劇は、「一夜にして全世界の大半の人間が全盲になってしまう」という点だ。
主人公たちは偶然その悲劇を免れ、生き延び、文明文化を立て直そうと努力する。
有り体に言えばフリーセックスによって遺伝子の枯渇を防ごうとする新体制の団体と出会い、その後はキリスト教に則って慎ましい現状を保とうとする旧体制の団体とも出会う。

その日その日をしのぐ毎日を経て、さてこの作品の世界はどう移り変わったか……については、さして描かれずに終わる。
悲劇の原因についても、開発され過ぎた衛星兵器の暴走か?と匂わされるに留まる。
連載打ち切りのような形で終わってしまっているのは、個人的には残念だ。
今この私の生活は、薄氷の上に成り立っているという事を改めて考える機会にはなったと思う。

それでは。また次回。

この記事についてブログを書く
« ジャンプ(12号)私的雑感。 | トップ |   

物語全般」カテゴリの最新記事