ナオ達が「本」を何冊も調べて、すこし休もうかと思った時。
後ろのほうで大きな音がしました。
ナオがふりかえると、何もいなかったはずの所に、
いきなり魔物があらわれました。
魔物はナオよりずっと大きく、肌の色は岩のようでした。
(ロック・デーモンだわ! どうしましょう、ナオ、
この敵はあなたでも勝てるかどうか……)
(………………ううん、キャリイ。ちがうよ)
(え?)
ナオは手から爪を伸ばし、トゲの毛並みを逆立てました。
近づいてきたデーモンに力一杯なぐるように、うごきました。
ところが、ナオの拳はデーモンをつきぬけました。
まったく手ごたえがありません。
つづけて、ナオは床のほうへ腕をふって、小さい何かを、
はじきとばしました。
そのとたん、デーモンのすがたは、消えてしまいました。
ナオの腕の先には、小さなネズミが一匹ころがっていました。
(何て事……。ネズミに「幻影」の魔法がかかっていたのですね)
(まほうは知らないけど。ネズミのニオイがしたから)
ナオ達は、あらためて「本」を調べ始めました。