好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

『ラスト・ビジネス』第20話「義憤の引き金(トリガー)」

2018-04-14 | ゲームブック二次創作
俺たちは、エリュテイアの手元を覗き込んだ。
透明な円盤に、液体――水?――が詰まっている。
中の水は、円盤を二つに分けるようにゆっくりと流れている。
対流しているように、ずっと一定の方向へ。

「この円盤には、カシュオーンの水が入っていますの」
「って事は……この水の動きに付いて行けってわけか」
「そうか、これが羅針盤という物なんですね」
「……本当は、特殊な石を使った道具の意味なんだけどな」

4人それぞれ頷き合いつつ、森の奥へ分け入って行く。
木々の向こうに、大岩が見えた。
迂回しようとしたら、何故か岩がガタガタ動き、6方から太い枝が突き出した。
亀だ、コレ!

「これが、番人の言っていた『試練』ですわ!」
「皆さん下がって! ここは僕が!」

アジュアが毅然と啖呵を切って斬りかかる。
ところが亀、そそくさと首や手足を引っ込めて、甲羅に引きこもった。
コレをやられたら斬れるわけがなく。がご、と妙な音が鳴るだけだ。

「……こいつは、アダマンタイマイだ。普通には斬れないぞ」
「おいおい、アダマンつったら最強武器の代名詞だぞ!?」

セーブルの言葉に焦る俺は、確かに聞いた。
アジュアが、「ちっ」と舌打ちした音を。

「ああ、そういう事ですか。ならば、こちらも対応を変えます。
 ヴァイス、セーブル。手伝ってもらえますか?」

そこからは大仕事だった。
俺は、亀の下の地面に穴を掘らされた。
その穴にセーブルが、運ばされた石を差し入れて。
それから、アジュアは白銀の長刀(!)を穴へ突っ込んで。

「せー……のっ!と」

長刀を下へ押し込んだら。何と。亀がごろんと引っくり返った!

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