好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

「屍の先にあるもの」第12話「戦士ハーレイ・3」

2014-01-08 | ゲームブック二次創作
北への道は上り坂がずっと続いた。
やがて坂は平坦になった。
右の壁に扉があるのが見えた。

扉はどす黒い色で染まっていた。おびただしいほどの血の痕だ。
ハーレイは扉を開けた。
そこは独房のような部屋だった。
ぼろぼろの服を着て、鎖でつながれた男がいた。
男はハーレイに怯え、鎖の長さが許す限り後じさった。
ハーレイは、斧で鎖を断ち切った。
男はひざまずいて頭を下げ、礼を述べた。

聞けば、男もかつてこの迷宮に挑戦した冒険者だったという。
落とし穴に落ち、迷宮を統べる「トライアルマスター」に救われたが、
死ぬまで迷宮の外に出すわけにはいかないと言われた。
迷宮で一生を過ごす人生に耐えきれず、脱走しようとしたが、
今度はオークに見つかり、拷問の末、この独房に入れられたのだと。

独房の囚人は、疲れきった顔でハーレイに言った。

「この迷宮から出るには、宝石を集めなければならないんだそうです。
理由は知らないんですが……」

それだけ言うと、もはや真っ当な神経を保てていないのだろう囚人は、
ふらふらとした足取りで、迷宮の奥へ姿を消した。

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