▶ストラスブールの「瞑想する男」は憧れの男性像でした。
❤ストラスブール・ノートルダム博物館 看板の左上に見えるのがその男性像です。
◆2019年8月6日(火)ケールからストラスブールへの往復
ここのホテルも朝食付きだったのでレストランに行って朝食を食べました。ここの食事内容は昨日の宿より豊かで満足しました。受付で嫌な思いはしましたが、それさえなければ駅前で便利ですし、この朝食付きで1泊94ユーロならリーズナブルです。またストラスブールに来ることがあったらやはりここに泊まることにするのだろうなと思います。
今日は順調にトラムを1回乗り換えて(工事中のため直通のラインが通れないのです)最寄りの駅に到着。お天気も良く、停留所からみた景色はスッキリ爽やかでした(写真・下)。
❤こちらはストラスブール大聖堂 側面
◆まず最初にストラスブール・ノートルダム博物館へ
上に載せた写真はストラスブール大聖堂の側面ですが、ちょうどこれを写している後ろ側にノートルダム博物館が建っています。10時少し前に着いたので開館を待つ何人かの人々と数分待ちました。受付の女性は品のある老婦人で、私がお金を渡そうとすると「カードは持っていませんか?」とにこやかに聞き、カード払いを促しました。昨日のスーパーでの会計もお札を機械でチェックし、お釣りも自動で出てくるようになっていたのを思い出して、フランスでは相当偽札を用心しているのだろうかと感じました。
以前ストラスブールに来たときにもこの博物館に入っているのですが、何人かの興味深い男性像があったことはおぼろげながら覚えていても詳細は記憶していませんでした。それがここ数年、中世の彫刻家に関心が広がってきてからはニコラウス・ゲルハルト・フォン・ライデン作の「瞑想する男」に憧れを感じるようになっていました。この男性像は中世に作られたという感じがしません。現代にもまさに生きていそうなダンディーで包容力のある男性像なのです。斜めに首をかしげて心持ち微笑んでいるような雰囲気が素敵です。連れ合いの三津夫は私以上にこの彫刻を大事に思っているようです。現在制作中の写真集第4巻にはこの作品を掲載しますが、裏表紙にも載せることにしました。この作品の掲載許可をいただくまでに、ちょうどコロナ禍でやりとりがなかなか進まず大変苦労したのですが、リービークハウスでお目にかかったシュテファン・ロラーさんがこの博物館の方と一緒にゲルハルトのカタログを作っているので、間を取り持ってくださったのでした。掲載許可が出たときに一番喜んだのは三津夫でした。彼にとってこの「瞑想する男」は締めくくりの写真集になくてはならない存在だったのです。
1階の部屋からずっと拝観しながらそのゲルハルトの部屋が近づいてくると段々ワクワクしてきました。やっと到着。やはり彼も力のある彫刻家だったのだなぁとつくづく思います。彼はこの「瞑想する男」だけでなく、「ある預言者の頭部」、「ある顔面麻痺の男の頭部」も制作しています(3作品とも第4巻に掲載します)。この3点が並んでいる部屋に入ると、しばらく動けないような気持ちになります。特に顔面麻痺の男性像は捻れた口元がシリアスに彫られていてちょっとギョッとするほどです。この彫刻でゲルハルトは何を表したかったのだろうと思います。もしかしたら病気の症状をリアルに表現したかったのだろうか、それとも病気があってもいきいきと生きている男性の様子を表現したかったのだろうか…。
三津夫に促されて「この男の人はどんな病気だったのですか」と監視員の女性に聞くと、(脳梗塞のというような感じでしたがはっきりと理解していません)麻痺でこのような表情になっているとの答えでした。彼女はドイツ語が通じなかったので英語も交えて尋ねたような気がしますが、一生懸命質問にこたえようと努力してくれている姿に、昨夕のホテルの不愉快なやりとりがスーッと消えていくようでした。イタリアやフランスでごく一部の人からそういう差別的な態度をとられたのは確かですが、やはり大半の人はそんなことはないのだろうと思い直すことができました。
この博物館を出たあとは大聖堂へ。
大聖堂内で見たい作品が一つ残ってはいたのですが、あまりにも長蛇の列でしたし、日差しは暑いし、昨日探して見つからなかった作品なので、今回はあきらめることにして、大聖堂の正面入り口にある彫刻を一眼レフで撮りまくりました。いつものことながら三津夫は撮影が終わるのを待つのは大変だったことでしょう。下に何枚か紹介しておきます。
早めの帰宿で、この日はゆっくり休むことができました。
❤ストラスブール大聖堂 正面入口の彫刻群
※このブログに掲載したすべての写真のコピーをお断りします。© 2015 Midori FUKUDA