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アーモンドにオーツ…「意識高い系ミルク」が健康管理とダイエットにお勧めな理由

2022-01-01 15:30:00 | 日記
ダイアモンドオンライン様のホームページより下記の記事をお借りして紹介します。(コピー)です。

牛乳、豆乳に続く第3のミルクとして注目されているのが、アーモンドミルク。大手コーヒーチェーンでも牛乳の代わりに選べるようになり、最近はヴィーガンや環境に配慮したミルクとしても注目されています。他にも、オーツミルク、ライスミルクといった植物性のミルクの種類が増えてきています。今回は、美や健康意識の高い方たちの間でも話題となっている植物性ミルクを5種類取りあげ、その特徴やおすすめの取り入れ方について解説します。(管理栄養士 岡田明子)

植物性ミルクにはどんなものがある?
近年、植物性ミルクが注目されている背景には、牛の飼育に関わるコストの高まりや環境への負荷が大きいということ、肉などを食べず植物性食品しか取らないヴィーガンの増加などがあります。そしてもう一つ、植物性ミルクは「栄養面でも優れているものが多い」ということもまた注目を集めている理由です。

身近な食材からスーパーフードを使ったものまで、植物性ミルクの種類はさまざま。ここでは代表的なもの5種類について、特徴と使い方を詳しく見ていきましょう。
(1)豆乳(ソイミルク)
植物性ミルクの代表で、すでに広く親しまれています。大豆を原料としているため、タンパク質、食物繊維、ミネラルも取ることができます。特に造血に関わる鉄や銅を多く含んでいます。

(2)アーモンドミルク
アーモンドを水に浸し、砕いて搾ったもので、香ばしい風味が感じられるミルクです。カロリーが低く、食物繊維、ビタミンEが豊富なのが特徴です。ビタミンEには抗酸化作用があるので、美容効果も期待できます。

(3)オーツミルク
大麦をすりつぶして水を加え、繊維質を取り除いたもので、さらっとした味わいが特徴です。食物繊維やカルシウムが多いので、牛乳が苦手な方のカルシウム補給飲料としても重宝されています。

(4)ココナッツミルク
ココナッツの種子にある胚乳が原料で、料理やお菓子作りなどに広く活用されています。脂質が多いためカロリーも高めですが、カリウムや鉄、マグネシウムも多く含まれています。

(5)ライスミルク
玄米や白米をすりつぶして水を加えたものや、発酵させてつくられたものなどがあります。米が主原料になるので炭水化物が多く、脂質が少ないためあっさりとした口当たりが特徴です。玄米からできているライスミルクは、食物繊維やビタミンB群も白米のものより多く取ることができます。

このように特徴はさまざまですが、これら五つの植物性ミルクに共通していることは

・乳糖が消化できない乳糖不耐症の人でも飲める
・牛乳アレルギーの人でも飲める
・ヴィーガンの人でも飲める
・常温保存できる(開封前)
・賞味期限が長い
という点です。アーモンドミルクや穀物ミルクのような植物性ミルクがあることによって、牛乳や大豆にアレルギーを持っている方は選択肢が増えるので、食事の楽しみを広げることができますね。
牛乳(動物性)との違いは? どんな人におすすめ?
植物性ミルクは、食物アレルギーを持っている方だけにおすすめなのかというと、そうではありません。栄養の面から植物ミルク5種類を牛乳と比較してみました。

植物ミルク5種類と牛乳の栄養を比較(100mlあたりの含有量、筆者作成)
カロリー、炭水化物ともに一番低く、食物繊維もたっぷりなのがアーモンドミルク。糖質を抑えたい方や、不足しがちな食物繊維を手軽に補いたい方におすすめです。食事からタンパク質がとりにくく、不足しがちな方には豆乳がおすすめ。カルシウムは取りたいがカロリーは抑えたいという方にはオーツミルク。ライスミルクは脂質を抑えたい方におすすめしたいミルクです。
いずれも植物由来なので、乳糖が含まれません。牛乳を飲むとおなかの調子が悪くなる体質(乳糖不耐症)の方でも、安心して飲んでいただけます。

牛乳が悪いというわけではなく、牛乳もタンパク質がとれたり、植物性ミルクに比べカルシウムの吸収率が良かったりとメリットもあるので、うまく使い分けていきたいですね。

おすすめのとり入れ方
同じ植物性ミルクでも、フレーバーの入ったものや砂糖入り、無糖タイプ、パウダーなど種類はさまざまです。おやつ替わりに飲むなら砂糖入りもOKですが、牛乳の代わりに普段使いするなら無糖を選びたいですね。牛乳と同様にたくさん飲むのではなく、毎日カップ1杯程度を続けてとるのがよいでしょう。

ダイエット中の方なら、夜は糖質や脂質の少ない植物性ミルクに替える、普段牛乳を使うお菓子や料理に植物性ミルクを使うなどするだけで、カロリーを抑えることができます。

植物性ミルクの存在は知っていてもなかなか手が出なかったという方、ぜひこの機会に新しいミルクと出合ってみてください。自分の体の状態やライフスタイルに合わせて選んで、より健康な体をつくっていきましょう!

牛乳(動物性)との違いは? どんな人におすすめ?
植物性ミルクは、食物アレルギーを持っている方だけにおすすめなのかというと、そうではありません。栄養の面から植物ミルク5種類を牛乳と比較してみました。
植物ミルク5種類と牛乳の栄養を比較(100mlあたりの含有量、筆者作成)
カロリー、炭水化物ともに一番低く、食物繊維もたっぷりなのがアーモンドミルク。糖質を抑えたい方や、不足しがちな食物繊維を手軽に補いたい方におすすめです。食事からタンパク質がとりにくく、不足しがちな方には豆乳がおすすめ。カルシウムは取りたいがカロリーは抑えたいという方にはオーツミルク。ライスミルクは脂質を抑えたい方におすすめしたいミルクです。

「光免疫療法」保険適用で“がん撲滅”に光明 副作用がほぼゼロ、デメリットは?

2022-01-01 13:30:00 | 日記
下記の記事はデイリー新潮オンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

日本人の死因ナンバー1「がん」。数多の治療法がこの病に挑んできたが、現在、最注目なのが「光免疫療法」である。9月末、日本で承認され、実用化への扉が開いたばかりのこの最新療法について、ライター・芹澤健介氏が開発者にインタビュー。その可能性を探った。(「週刊新潮」2020年10月29日号掲載の内容です)
***
9月29日、ホテルニューオータニの記者会見場で発表された内容をどれほどの人たちが待ちわびていただろうか。
この数年、革新的ながんの治療法として注目されていた「光免疫療法」で使う医薬品が、厚生労働省からいよいよ正式に薬事承認されたのである。
会見を主催したのは、楽天メディカルジャパン株式会社。実業家の三木谷浩史氏(55)が代表取締役会長を務めるバイオベンチャー企業である。実父の膵臓がん闘病をきっかけにして、三木谷氏は、光免疫療法の開発初期段階から個人的な支援を申し出て、これまで数百億円規模の私財を投入してきたことが知られている。
「残念ながら私の父の治療には間に合いませんでしたが、世の中のためにも、自分の資産を使う価値のあるプロジェクトだと思って挑戦してきました。世界でがんに苦しんでいる人々にとっては、非常に大きなマイルストーンになったのではないかと思います」
三木谷氏が言うように、まさに世界中のがん患者が注目する光免疫療法だが、今回の厚労省の承認を受け、年内にも保険が適用され、世界で初めて実用化される見通しだ。
しかし、実際にはどれほどの効果があるのか、今後、どのように発展していく可能性があるのか? 会見の翌日、光免疫療法の“生みの親”である小林久隆医師(59)にじっくりと話を伺った。なお、以下の内容については、小林医師個人の見解であり、楽天メディカルの公式見解やデータではないことを付け加えておく。
小林氏は、世界最高峰の医療機関のひとつ、米国の国立衛生研究所(NIH)で主任研究員を務めるがんの研究者だ。2014年には、光免疫療法に関する論文でNIH長官賞を受賞している。数年後にはノーベル賞候補になる可能性のある日本人科学者だ。
改めて今回の承認内容を見てみると、対象となっているのは、「切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部がん」とある。
「頭頸部(とうけいぶ)がん」というのは、首から上にできるがんの総称だ。たとえば、ミュージシャンの忌野清志郎さん(享年58)が罹った「喉頭がん」や、つんく♂さん(52)を襲った「咽頭がん」、歌手の堀ちえみさん(53)が克服した「舌がん」も頭頸部がんの一種である。
「それらのうち、今度、光免疫療法の対象になったのは、手術が難しいがんや局所再発した進行がんです」
と小林氏。また、ほかにも条件があり、担当医から「標準的な治療の選択肢が残されていない」と判断された患者だけが対象なのだという。つまり、わかりやすく言えば、現段階では、医者がサジを投げたような末期の「頭頸部がん」の患者にとって、最後の希望の光となる治療が光免疫療法というわけである。
「今回の承認で対象となる患者さんは決して多くはありませんが、光免疫療法が現実の医療として届けられるようになった。これは大きな一歩だと思っています」
実際の効果は、どのようなものだろうか。
これまで海外で行われた治験では、余命数カ月とみられる局所再発の頭頸部がん患者が対象になっているが、第2a相試験(第1相で安全性が確認された範囲内で、用法や用量を確認する試験)の30例のうち、腫瘍が完全に消えた人が4名(13・3%)、腫瘍が小さくなった人が9名(30・0%)。これらを合わせた奏効率(治療効果が現れた割合)は43・3%である。
条件が限られた中でのこの数字は十分に立派なものだが、小林氏は「現在行われている第3相試験(治験薬の有効性を調べる試験)の奏効率はもう少し上げられるはずです」と自信を覗かせる。
「今回の承認は、記念すべき最初の一歩で、一部の『頭頸部がん』に限られますが、すでに国内では『食道がん』や『胃がん』の治験も進んでいます。今後は、もっとほかの部位のがんや早期のがんまで対象を広げて、数年以内には固形がん(『白血病』などの血液のがん以外の、臓器や組織で腫瘍をつくるがん)の8~9割を治せるようにするのが当面の目標です」
つまり、完治確率の低い「膵臓がん」を含むほとんどの固形がんを、近い将来、治せる可能性があり、それを目指していく、というのだ。もし、これが実現すれば、がん医療の枠組みが完全に変わってしまうほどの大事件である。
焼き餅のように
従来のがん治療といえば、いわゆる“三大療法”が中心であった。すなわち、手術による「外科治療」、抗がん剤による「化学治療」、それから重粒子線治療や陽子線治療を含む「放射線治療」である。近年はこれにオプジーボなどの「免疫治療」を加えて“四大療法”と呼ぶことも多い。だが、光免疫療法はこれらのどれとも違う。いわば“第五のがん治療法”である。
「これまでの治療法は、三大療法のように直接がんを叩きにいくか、免疫力を上げることで間接的にがんを抑えるか、そのどちらかでした。でも、光免疫療法はその両方をやる治療法です。がんへの攻撃と防御を同時に行う治療法なんです」
光免疫療法は、その名の通り、「光」と「免疫」でがんに対抗する。
「光」でがんを治すとはどういうことだろうか。
光免疫療法で使われる光は近赤外線光である。近赤外線は、テレビのリモコンに使われるような、私たちの生活にも身近な光だ。手にかざしても熱くないし、当然、人体には無害。紫外線のように細胞を傷つけることもない。
鍵になるのは、その近赤外線に反応する「IR700」という化学物質だ。
「IR700」という名は、「Infrared(赤外線)700」の略。可視光に近い700ナノメートル前後の波長で激しく応答することを示している。
「実際、その波長付近の近赤外線光を当ててやると、それまで水によく溶ける性質だったのが、瞬間的に不溶性に変わる。そのため、『IR700』ががん細胞と結合しているときにパーッと光を当ててやれば、『IR700』の化学構造が変わるのと同時に、がんの細胞膜があちこちで引っ張られて破れる。計測したところ、ひとつのがん細胞に約1万個程度の傷がつきます。そして、その傷口から周囲の水が細胞内に入り込んでいくと、がん細胞はちょうど焼き餅のようにパンパンに膨れて、最後には壊れてしまうという仕組みです。物理化学的にがん細胞をボーンとぶっ壊してやるわけです」
しかし、「IR700」という化学物質は、そもそも単体ではがん細胞と結合することはない。
では、どうやって「IR700」とがん細胞をくっつけるのか。小林氏は、「IR700」が狙ったがん細胞までたどり着けるような“乗り物”に乗せてやればいいと考えた。
「すでに市販されている抗体に目をつけました」
抗体は、本来はヒトの体内で作られるタンパク質で、ウイルスや何らかの異物が体内に侵入してきたときに、その異物とドッキングして、毒を中和する働きがある。
「ヒトの抗体は、ありとあらゆる異物(抗原)に対応するために、もとから体内で何万種類も作られていますが、1990年代の後半以降、特定のがん抗原だけに対応する抗体が人工的にいくつも作られて、抗がん剤の一種(分子標的薬)として使われています。それらを『IR700』をがん細胞に届ける“乗り物”として使えば効率的だと考えたのです」
細胞を壊す「IR700」と特定のがん細胞だけにたどり着く抗体を化学合成してやれば、狙ったがん細胞をピンポイントで攻撃できる。光免疫療法が“がんを狙う誘導ミサイル”とも言われるゆえんである。
今回、厚労省から薬事承認された「アキャルックス(一般名:セツキシマブ サロタロカンナトリウム)」という新薬は、「IR700」と「セツキシマブ」という人工抗体の複合体だ。
セツキシマブがターゲットとする抗原は、多くのがん細胞表面に出現している「EGFR」というタンパク質である。
「EGFR」はがん細胞の増殖に関わる因子なので、抗体と結合させれば、ある程度がん細胞の増殖を抑えることができる。だが、「アキャルックス」はがん細胞と結合した後に近赤外線を当てることで、いとも簡単にがん細胞を破壊してしまうのだ。
「光免疫療法は、大雑把に言えば、特殊な薬剤を点滴で打って、患部に近赤外線を当てるだけの治療です。体の表面に露出しているがんに対しては、そのまま光を照射してやる。体の奥深くに巣食ったがんは、光ファイバーを差し込んで光を届けてやります。もちろん、医師による取り扱いのトレーニングは必要ですが、施術に多少の誤差があっても、がんがなくなるようにしたかった。たとえば、1回目で『あまり効きがよくないな』と思ったら、医師が躊躇することなく、2回、3回と試して効果を上げられるような、そんな柔軟性を持たせたかったのです」
オン・オフのスイッチ
「今回適用が認められた『頭頸部がん』は、がん細胞の表面に『EGFR』が発現している割合も高くて、全体の80%以上に過剰に発現しています」
つまり、80%には何らかの効果が期待できるということだが、残りの20%にはどう対応するのか。
「そのときは別の抗体の出番です。たとえばHER2(ハーツー)と呼ばれるがん抗原があります。これは一部の『乳がん』や『大腸がん』などに多く発現している抗原ですが、これに対応する抗体もすでに市販されています。ですから、そういった抗体と『IR700』の複合体を新たに作ってやればいい」
新しい抗体を使った実験は、動物実験ではすでに有意な結果が出ているが、人間を対象にした治験はこれからである。このように、「IR700」と複合させる抗体を今後数年で増やしていく、というのが光免疫療法の目指す道筋である。
では、従来の治療と比べて、光免疫療法は何が画期的なのか?
患者として一番のメリットは、抗がん剤治療などに見られるような、全身に作用する副作用がほとんどないということだろう。
現在、光免疫療法の治験で報告されている副作用としては、患部周辺のむくみや皮膚の炎症がある。
「治験の結果は今後も丁寧に見ていく必要はありますが、重篤な副作用にはつながりにくいと考えています」
従来の抗がん剤治療や放射線治療が、通院治療でも患者の日常生活に支障を来すような重い副作用を引き起こすのは、がん細胞と同時に正常な細胞も傷つけてしまうことが原因だった。
たとえば髪の毛などの脱毛は、細胞分裂を妨げる抗がん剤が分裂の盛んな毛母細胞も殺してしまうからであり、強烈な吐き気に襲われるのは、胃腸の粘膜細胞が抗がん剤の影響を受けるからである。
従来のがん治療は、一部の分子標的薬を除いて、がん細胞と正常細胞とを正確に分けて対応することができていなかったのである。
「一方の光免疫療法は、抗体を使って狙う細胞をきっちりと選択した上で、医師が自分のタイミングで意図した範囲に光を当てることができるので、便利なオン・オフのスイッチを手にしたようなものです。この選択性の高さも従来のがん治療法にはなかった大きな特徴です」
効きすぎる
以上が、光免疫療法の「攻撃」のシステムに当たる。そして先に述べたように、この療法は「防御」の機能も併せ持つ。
すでに説明したように、光免疫療法はがん細胞の細胞膜だけを破壊する治療法だ。これが免疫の作用にも重要な意味をなしていると小林氏は言う。
「がん細胞の細胞膜が破れて壊れるというのは、がん細胞の“中身”がフレッシュな状態のまま外に出ることを意味しています。これは専門的には、『免疫原性細胞死』という特殊な死に方なのですが、がん細胞のさまざまな目印がほとんどそのままの状態で提示されて免疫細胞に伝わるのです」
がん細胞の“中身”が晒されることがトリガーとなり、周辺の免疫細胞が活性化しはじめるのである。
「このとき、患者さんの体内でどういうことが起こっているかというと、提示されたがん細胞の“中身”を、周囲の免疫細胞がぱくぱく食べてるんですね。すると、どのがん細胞を攻撃すればいいかという情報がいろいろな免疫細胞に伝わって、免疫システムが一斉に起動するのです」
つまり、光免疫療法は、近赤外線を使って直接がん細胞を攻撃した後に、免疫が活性化し、残ったがん細胞にも免疫細胞が攻撃を加えるという“二段構え”の治療法なのである。
「どのがん細胞を倒すべきかしっかり教育された免疫細胞は、ワクチン効果を有しているので、再発を防ぐ効果もあるという実験結果も出ています」
さらに現在、小林氏が考えているのは、がん細胞を破壊するのと同じ考え方で、腫瘍周辺で免疫システムにブレーキをかけている「制御性T細胞」を「IR700」で破壊してやることだ。2016年に米医学誌に論文が発表され、大きな反響を呼んだ。
「これは言うなれば、免疫を局所的にブースト(後押し)する方法です。すでに動物実験では成果も出ていますが、これがうまくいけば、根治の期待値がぐんと上がるだけでなく、なかなか抗体が合わないがんに対しても有効だと考えられます」
光免疫療法は、治療のために長期入院する必要もない。患者にとってはメリットばかりの治療法のようにも思えるが、果たしてデメリットはないのだろうか?
あえて挙げるとすれば、効きすぎることだろう。たとえば、頸動脈などの大血管と癒着したがんに光を当てて1回で治そうとすれば、血管が破れて大量出血しかねない。
「大きながんは無理に1回で治そうとせず、患部周辺の正常細胞の再生を待ちながら、2回、3回と試していけばいいと考えています。光免疫療法は、抗体ががん細胞にくっつけば、効果を弱くしても必ず効きますから」
最後に気になるのは薬価だ。近年は、「オプジーボ」に限らず、超高額な治療薬が増えており、一部の白血病などに有効とされる「キムリア」は1回の投与で3千万円を超える。財政が逼迫する一方、年々、膨張の一途を辿る医療費。この新しい治療法にも高額な値が付くのか。光免疫療法の薬価については、年内にも開かれる中央社会保険医療協議会の決定を待つしかないが、本当の意味で、私たちの身近な治療法になってくれることを期待したい。
芹澤健介(せりざわけんすけ)
ライター。1973年、沖縄県生まれ。横浜国立大学卒。編集者、構成作家として活動し、NHK国際放送の番組制作にも携わる。著書に『コンビニ外国人』、『血と水の一滴 沖縄に散った青年軍医』、『死後離婚』(共著)など。

「老化とがんは関係しているのか」東大教授の最新研究で分かってきた"老いの正体"

2022-01-01 12:00:00 | 日記
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

老化を防ぐ治療薬の開発が進んでいる。東京大学医科学研究所の中西真教授は「老化の原因となる『老化細胞』のメカニズムを解明し、老化細胞を除去するための薬の開発に成功した。この薬が一般に向けて実用化されれば、老いのない社会が実現するかもしれない」という――。(第1回/全2回)
※本稿は、中西真『老化は治療できる!』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。
老化の原因を特定することに成功
私たち、東京大学医科学研究所などの研究チームは2021年1月15日、アメリカの科学誌『サイエンス』に次のような論文を発表しました。
〈老齢のマウスに、GLS-1という酵素の働きを阻害する薬剤を投与したところ、老化細胞の多くが除去され、老年病や老化が改善した〉
私たちは、「老い」の原因となる「老化細胞」が生存するメカニズムを読み解き、そこから「老化細胞」を選択的に除去するための薬を導き出しました。今、私たちは、この薬の実用化に向けた研究を進めています。この薬が広く一般に向けて実用化されれば、「老化」を防いだり改善して、老いずに歳を重ねるということができる社会が到来するかもしれません。
本稿では、「老化細胞」とは何か、私たちが発見した老化細胞の生存に必要なGLS-1とは何か、そしてなぜGLS-1阻害薬を投与すると老化細胞を殺すことができるのか、そして、そもそも「老化」するとは何なのか、ということを一つひとつ説明していきたいと思います。


身体に残った「老化細胞」がさまざまな疾患を引き起こす
まず、人間の肉体というのも、最初は受精卵ひとつから始まるのは、みなさんご存じのとおりです。それがどんどん細胞分裂していって成長し、内臓なり筋肉なり骨なりをつくっていきます。
人間の体は60兆個もの細胞によってつくられています。細胞のなかには、不老不死に近い幹細胞というものもあります。たとえば、血液系であれば、赤血球や白血球、血小板やリンパ球などの血液系細胞の大元になる「幹細胞」というものがあります。この幹細胞の数はそれほど多くありません。
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多くの細胞は、そこから分化して分裂していったもので、この細胞は不老不死ではありません。人間であれば、50~60回ほど分裂したら、もうそれ以上は分裂できなくなります。こうして、完全に活動を停止してしまった細胞が「老化細胞」になってしまうのです。つまり、全身にある60兆個の細胞のうち、一部の幹細胞を除いた多くは、いずれ老化細胞になっていくということです。
これらの老化細胞は、本来であれば免疫細胞であるマクロファージ(白血球の一種)などが食べて除去してくれるのですが、生き延びた老化細胞が残ってしまい、体内のあちこちに蓄積されていきます。それらの老化細胞が炎症物質を誘発して、臓器や皮膚などにさまざまな炎症を起こしていきます。それが内臓疾患やシワなど、いわゆる加齢が原因のさまざまな疾患や症状として現れてくるのです。
過剰なストレスによって老化細胞に変化する場合も
老化細胞のなかには、そうやって分裂の上限に達して寿命が尽きた細胞のほかに、過剰なストレスなどによって、そこまで分裂を繰り返していないにもかかわらず、活動を完全に停止して老化細胞になってしまうものもあります。ストレスの多い生活をしている人が老けてみられるのは、そういう理由もあるかもしれませんね。
ストレスは細胞を酸化させて老化細胞へと誘導し、老化スピードを加速させてしまうのです。あるいは、がん遺伝子が活性化することで細胞老化が誘導されることも判明しました。このことは、細胞老化が、がん細胞の増殖を抑える役目もあるため、一概に老化細胞を悪者だと言い切れない部分もあります。
これらストレス性の老化細胞は、細胞分裂の上限を終えて自然に老化した細胞と、結果としてとくに違いはないと考えられます。ストレスといえば、紫外線や放射線なども細胞にとってストレスのひとつです。
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これらを浴びると遺伝子に傷がつき、細胞の老化を早めることがわかっています。屋外の仕事で年中日焼けしている方の皮膚と、常に日焼けに注意して日焼け止めを塗るなど、UV対策をしている女優さんのような方の皮膚を比べると、どちらも70歳くらいになった時の老化具合には大きな差が出ています。
皮膚のシワというのも、その部分に溜まった老化細胞によって、微小ながら過剰な炎症が起きていることの表れとも考えられます。蓄積された老化細胞が、さまざまなかたちで人の見た目や臓器を老化させているのです。

老化と薄毛は関係ない可能性が高い
シワなどの老化現象は、蓄積した老化細胞によって誘発された炎症が原因ですが、一方で、老化細胞と関係の低いであろう老化現象もあります。その代表的なものが薄毛です。
薄毛は、毛母細胞の働きが抑制されることで毛周期という毛の生え変わりのサイクルが乱れて、毛が太くならず、十分に成長する前に抜け落ちてしまうことで進行します。この毛母細胞の働きを抑制する原因になってしまうのが、男性ホルモンであるテストステロンの存在。
テストステロンは酵素によってジヒドロテストステロンへと変化しますが、このジヒドロテストステロンが毛母細胞の働きを抑制することが知られています。つまり、薄毛自体は、老化細胞の蓄積による炎症が主な原因というわけではなく、男性ホルモンの影響が大きく関与しているのです。
実際、若くても薄毛が進行している人もいれば、年をとってもフサフサの人もいますね。薄毛が進行している人は老化が進行しているかというと、そういうわけではありません。遺伝的に男性ホルモンの影響が強く出ているための症状と考えられます。ですから、老化細胞を除去することで薄毛が改善するかというと、残念ながらその効果は、現状ではわからない、ということになります。
白髪も老化との関係性はまだわかっていない
また、薄毛と同様に見た目年齢を大きく左右するのが白髪ですが、白髪もたしかに老化現象ではありますが、老化細胞による炎症と関係があるとは証明できていません。髪の毛が白くなるのは、毛母細胞にある毛母メラノサイトの働きが低下して、メラニンという黒い色素の産生能力が低下していくためです。
写真=iStock.com/Neziha Kali Ertugrul
※写真はイメージです
このメラニン色素の産生能力は個人差が大きいものです。褐色や金髪などの髪の色を持つ人たちは、もともとこのメラニン色素の産生量がそれほど多くないため、髪の毛が黒くならないのです。金髪や赤毛、栗毛など、髪の毛の色は遺伝的要素が大きく、それはメラノサイトによるメラニン色素の産生能力によって決まると考えられています。つまり、メラニン色素の産生の能力は、必ずしも老化によって左右されるものではないということです。
とはいえ、なぜメラノサイトの働きが低下していくのかということについて、はっきりとしたメカニズムは解明されていませんから、細胞老化の可能性を完全に否定するものではありません。老化細胞を除去することで白髪がなくなるかどうかは、薄毛と同様に、わからない、ということになります。

なぜ老化細胞は蓄積されてしまうのか
ここでは、老化細胞がなぜ死ぬことなく生き延びて蓄積されていってしまうのか、というメカニズムについて説明していきましょう。人間の細胞の中には、リソソームという細胞小器官があります。リソソームは古くなったタンパク質を取り込んで分解するための器官で、その内側は強力な酸性になっています。
細胞が老化してくると、リソソームの膜に傷がついてしまい、そこから内部の酸性物質が染み出してきて細胞全体が酸性に傾いてしまいます。細胞全体が酸性化してしまうと、本来の細胞であれば死んでしまうはずなのですが、老化細胞はGLS-1という酵素を活性化し、大量に発現させて生き延びてしまうということが私たちの研究でわかってきました。
なぜGLS-1という酵素が出てくると老化細胞が生き延びるのか─。
GLS-1はグルタミンをグルタミン酸に変換する酵素なのですが、この代謝の過程でアンモニアをたくさんつくり出します。アンモニアはアルカリ性の物質のため、酸性化していた老化細胞を中和してしまい、老化細胞を延命させてしまうのです。老化細胞は、酸化してしまった自分を中和することで生き延びるべく、GLS-1酵素を大量に発現させていると考えられます。
老化細胞が分泌する炎症性タンパク質が疾患の原因
細胞老化のカギを握っているのが“P53”という遺伝子です。その一方で、“ゲノムの守護神”との異名を持っており、損傷したDNAの修復や細胞分裂の調整などにも携わっているという特異な遺伝子なのです。
傷ついたDNAを修復する一方で、修復できないほどにDNAがダメージを受けた場合には、細胞の老化をうながし、老化細胞として排除する。まさにゲノムの守護神、正常な細胞を守る司令塔といえるでしょう。
このゲノムの守護神を特定の期間、活性化させることで、細胞を均一に老化させるという方法を私たちは開発したわけです。この人工的な老化細胞があったからこそ、老化細胞を延命させる特定物質、GLS-1を見つけ出すことに成功したといえます。
老化細胞は、もう細胞分裂はしないため増殖はしませんが、SASP(Senescence-Associated Secretory Phenotype=細胞老化関連分泌現象)を起こして炎症性タンパク質を分泌します。このSASPによって臓器や組織に引き起こされた慢性炎症が、加齢性の疾患の原因となってしまうのです。
たとえば、脳の神経細胞での慢性炎症はアルツハイマー病などの認知症の原因のひとつとなります。目の組織においては緑内障や白内障などの加齢性の眼病の原因となり、あるいは血管の老化は動脈硬化のリスクを高めます。

老化細胞にはがんを防ぐ機能もある
そのほかにも、呼吸器系の臓器においては心不全や心筋梗塞の原因となったり、肺の線維化が進んで弾力性を失い機能低下につながったりします。あるいは、血中のインスリンに対する感受性が低くなることで血糖値のコントロールがうまくいかなくなり、糖尿病のリスクも高くなります。
さらには、加齢によって筋肉量が減少して筋力が低下する、いわゆるサルコペニアの症状も一部は老化細胞のSASPによって進行すると考えられます。加えて、このSASPによって分泌される炎症性タンパク質は、細胞の遺伝子自身をも傷つけてしまい、細胞組織を“がん化”させてしまうということもわかっています。つまり、正常な遺伝子を傷つけることで、異常な“がん細胞”を誘発してしまうのです。
写真=iStock.com/image_jungle
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老化だけでなくがんリスクも高めると聞くと、心中穏やかではいられないという方も多いと思います。とはいえ、人間の体というのは非常に複雑なプログラムで成り立っており、老化細胞には完全にマイナスの面しかないかというと、そうとも言い切れないのです。
というのも、老化細胞は、異常な増殖を繰り返すがん細胞を、その周囲の細胞とともに老化させて、増殖を抑え込むという役割も果たしているからです。繰り返しになりますが、老化細胞はもう細胞分裂しません。増殖しない細胞です。がん細胞を老化させることによって、その異常増殖を防ぐ、つまりがんを防ぐことが老化細胞のプログラムのひとつであると考えられるのです。
老化細胞を適切に除去できれば、老化の進行は止められる
老化細胞ががん細胞の異常増殖を防ぐのであれば、GLS-1を阻害して老化細胞の命綱を断ち、除去してしまうことが、がんの異常増殖につながってしまうという懸念はないのか、と思われるでしょう。しかし、そんなことはありません。なぜならば、「細胞老化のプロセス」と「老化した細胞」は、切り離して考えるべきものだからです。
中西真『老化は治療できる!』(宝島社新書)
細胞を老化させるプロセス自体は阻害すべきではありません。役割を終えた細胞はどんどん老化していく。これ自体は細胞分裂に限界がある以上、必要なプロセスです。一方で、GLS-1は、細胞を老化させるプロセス自体にかかわっているわけではありません。
すでに老化し酸性化した細胞を、GLS-1がグルタミンを代謝する過程で産生するアンモニアによって中和させるというのが、GLS-1による老化細胞“延命”のプロセスです。つまり、GLS-1を阻害したからといって、細胞の“老化自体”がストップするわけではないのです。老化した細胞に、正しく退場してもらう、ということです。
細胞の遺伝子の異常が生じてがん化したとしても、細胞をも老化させることで自身の異常増殖を防ぐ。考えてみれば、よくできた人間の防御プロセスだといえるでしょう。あとは、老化細胞を適切に除去し、新しく健康な細胞が増えていけば、老化の進行は止められるというわけです。

  • 中西 真(なかにし・まこと)
  • 東京大学医科学研究所癌防御シグナル分野教授
  • 名古屋市立大学医学部医学科卒業、名古屋市立大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)。自治医科大学医学部助手、米国ベイラー医科大学留学、名古屋市立大学大学院医学研究科基礎医科学講座細胞生物学分野教授を経て、2016年4月より現職。


「富士山噴火と巨大地震」リスクが巨大になると人は思考停止に

2022-01-01 11:30:00 | 日記
下記の記事は日経ビジネス様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

20年後の未来はどうなるのでしょうか? 元日本マイクロソフト社長の成毛眞氏は、年金・社会保障・医療などを筆頭に暗い未来がやってくると予想します。その中でも、あまりにも巨大すぎるがゆえに、正面から向き合えていないもののひとつが天災です。果たして、私たちは災害をどう考えればよいのでしょうか。『2040年の未来予測』(日経BP)を上梓した成毛氏が、地震学と火山学に詳しい、京都大学大学院人間・環境学研究科の鎌田浩毅教授と考えます。
成毛眞氏(以下、成毛):老人だらけになり、年金ももらえず、経済成長がゼロに限りなく近づく。2040年はそうした世界になるのが現実的になってきました。ただ、未来を予測する上で、みなさんが見落としがちで絶対に避けられそうもないのが災害リスクです。
鎌田浩毅氏(以下、鎌田):それは間違いありません。2035年から前後5年、つまり、2030年から2040年までの間に、南海トラフ巨大地震というとてつもない災害がかなり高い確率で起き、その合間に富士山噴火と首都直下地震が加わるのではと私は考えています。
成毛:私も同意見ですが、多くの読者には新年早々、重い話ですね。まず、巨大地震から伺います。2040年までに南海トラフはどの程度の確率で起きますか。
鎌田:私は限りなく100%に近いと思っています。『2040年の未来予測』にも書かれていますように、国ですら、今後30年で南海トラフは「70~80%」で発生すると試算しています。それも、この数値は18年2月にそれまでの「70%程度」から引き上げられています。発生確率は確実に高まっているわけです。
鎌田浩毅氏 プロフィル
1955年生まれ。東京大学理学部地学科卒業。通商産業省(現・経済産業省)を経て97年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。理学博士。専門は地球科学・火山学・科学コミュニケーション。京大の講義は毎年数百人を集める人気ぶりで教養科目1位の評価。「世界一受けたい授業」「情熱大陸」などに出演しテレビ・ラジオ・雑誌で科学を明快に解説する「科学の伝道師」。週刊エコノミストに「鎌田浩毅の役に立つ地学」を連載中。著書に『首都直下地震と南海トラフ』(MdN新書、2月4日発売予定)、『富士山噴火と南海トラフ』『地学ノススメ』(ブルーバックス)、『京大人気講義 生き抜くための地震学』(ちくま新書)、『地球の歴史(上)(中)(下)』『理科系の読書術』(中公新書)、『火山噴火』(岩波新書)、『日本の地下で何が起きているのか』(岩波科学ライブラリー)、『新版 一生モノの勉強法』『座右の古典』(ちくま文庫)など。 ホームページ:http://www.gaia.h.kyoto-u.ac.jp/~kamata/
成毛:厄介なのは、南海トラフは東海・東南海・南海の3地震が同時に発生する連動型の地震で、関東から九州まで広域の大災害になる可能性が濃厚ですよね。
鎌田:はい。太平洋ベルト地帯を直撃することは確実で、全人口の半分近い約6000万人が深刻な影響を受けます。
国のシミュレーションでも犠牲者の総数は約23万人、全壊または焼失する建物は約209万棟です。また、土木学会は地震発生後20年間での直接間接の経済損失は約1400兆円と試算しています。日本どころか世界の経済が停滞する引き金になります。大きすぎて実感がわきませんが、これが私たちが直視しなければいけないリスクなのです。
成毛:『2040年の未来予測』でも書きましたが、地震で亡くなるリスクは正直、交通事故や未知のウイルスで亡くなる確率よりはるかに高い。小学生でも分かります。けれども、試算されている数字があまりにも大きい上に、いつ起きるかが分からないのでイメージがわかない人が多い。結局、いつ、どの程度かがはっきり分からないと人は動きません。多くの人が締め切りがないと仕事が進まないのと同じですよね。
鎌田:はい。ですから、私はことあるごとに、「あと15年で東日本大震災の10倍以上の被害をもたらす巨大地震が日本を襲う」と訴えてきたわけですが、いまいち浸透していません。
成毛:そして、恐ろしいことに、首都圏は首都直下地震のリスクもあります。首都直下も国は30年以内に起きる確率を70%程度と試算していますが、鎌田先生は「明日起きてもおかしくない」と常々公言されています。危機をいたずらにあおられているわけではなく、明日か明後日起きてもおかしくない地殻変動が日本では起きています。
鎌田:正直、私に言わせれば毎日が「ロシアンルーレット」のような感じです。
首都圏の地下には4枚のプレートと呼ばれる厚い岩板がありますが、2011年の東日本大震災以降、ひずみが生じています。そのひずみを解消しようとして、地震が頻発しています。「ここ10年ほど地震が多い」と感じている人は多いかもしれませんが、震災前に比べて内陸地震は3倍に増えています。私は「大地変動の時代」に入ったと言っているのですが、約1100年前にも日本は今と同じような地殻変動を起こしています。
869年に東北沖の震源域で貞観地震が発生しました。これは東日本大震災(マグニチュード9)に匹敵するM(マグニチュード)8.4と推定されますが、この地震以降、地震が頻発しました。そして、9年後の878年に関東南部でM7を超える地震が発生しました。現代に置き換えると東日本大震災の9年後は2020年です。単純に足しただけなので、もちろんその通り起きるわけではありませんが、地殻の状況は1100年前と似た不安定な状況にあります。
今、富士山は「噴火スタンバイ」状態
成毛:2つの巨大地震がいつ起きても不思議ではないわけですが、忘れてはいけないのが富士山の噴火です。私はこれが日本が抱える最大の気候変動リスクだと思っています。前回噴火したのが1707年。約300年前の江戸時代ですね。これほどの期間、富士山が噴火しないことは歴史上ありません。そして、巨大地震との連動も予想されます。
鎌田:まさに富士山は「噴火スタンバイ状態」です。いずれ噴火する火山から、近い将来、必ず噴火する火山に日々近づいています。地殻がこれまでにない変動を起こしている日本では、直近数十年間の常識は通じません。事実、終戦後から1995年の阪神大震災までの日本は、地殻変動の「静穏期」にありました。ちょうど高度成長期に地震が少ない幸運が重なったのですね。そして富士山が前回噴火したときの状況としては、当時の南海トラフ地震で富士山地下のマグマが不安定になっていたため、大噴火となりました。まさに、今、これと似た状況にあります。
成毛:政府も2020年に富士山が大規模噴火した場合の被害想定を初めて公表しました。放置できないリスクとして認識しはじめています。本に詳しく書きましたが、富士山が噴火すれば日本のインフラは壊滅します。数ミリ火山灰が積もっただけで電気系統や通信機能は破壊され、電車も動かなくなり、水道や道路設備も止まります。農作物への影響も甚大です。
鎌田:富士山の噴火と聞くと、「東京にいるから関係ない」と考えるかもしれませんが、火山を甘く見てはいけない。江戸時代の噴火では江戸に5センチ、横浜に10センチ積もっています。ご指摘の通り、数ミリでインフラがまひするわけですから、江戸時代のような噴火が起きれば、首都圏はしばらく廃虚と化します。
成毛:仕事どころか暮らしもままなりませんよね。政府の試算では、噴火から3時間で首都圏に火山灰が降る。みんな右往左往して買い占めているうちに、灰だらけになってしまう。どこかに逃げようとしても時間もありません。
鎌田:東京以外に拠点を持っておくことは、精神的にも物理的にも有効かもしれません。例えば、私が住んでいる京都は天災リスクには強い。湧き水があるから水には不自由しないし、観光客が多いので食料の備蓄もあります。
日本人は、揺れる大地に住みながらも生き延びてきた
成毛:本では不動産についても言及していますが、2040年に住宅の世界は一変しています。例えば空き家も増え、定額で全国住み放題のようなサービスがもっと活性化するはずです。そういうのを利用すれば、会社員でも多拠点を構えるのは決して非現実的ではないですよね。
鎌田:重要なのは「不意打ちを食らわないこと」です。現在の最先端の地球科学でも地震や噴火が起きる日付を特定するのはまったく不可能です。日本地震学会も地震予知に白旗をあげました。ただ、これまでお話ししたように、災害が起きる場所と期間の範囲を示すことは可能です。実は、2035年±5年に南海トラフ巨大地震が起きるというのは、本当に「虎の子」の情報なのです。そして教科書的ですが、平時から危機を想定して備えるしかありません。
成毛:リスクはゼロにはできませんが、個人の取り組みでも減らせますからね。そうしたヒントを得るためにも、あらゆる分野に対するアンテナの感度を良くしておくことが欠かせませんよね。
鎌田:はい。最後に明るい話をしますと、2040年の日本は復興の途上にあると思います。巨大地震が起きて、富士山も噴火して大変だと思われるかもしれませんが、どん底を経験すれば、上向くしかないわけですから。南海トラフは約100年周期で起きましたが、歴史を振り返るとひとつの時代の区切りになっているんですね。時代がガラガラポンされています。
成毛:確かに、前回起きたのは1946年ですね。太平洋戦争が前年に終わり、日本は人類史上、まれに見る経済成長をとげました。その前は1854年、黒船が来航して、明治維新に向かって走り出した頃ですね。痛みは伴いますが、南海トラフで旧世代が一掃されて新しい時代が始まっています。
鎌田:そうなんです。日本人はこんな揺れる大地に住みながらも、必ず生き延びてきたわけです。完璧主義に陥らず「減災」の発想で被害を可能な限り抑え、新しい時代に備えることが求められているのではないでしょうか。
成毛 眞
元日本マイクロソフト社長、HONZ代

「不安な気持ちがスッと消える」人生の"幸せスイッチ"を入れるためのアタマの使い方

2022-01-01 08:30:00 | 日記
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

人生に不安を感じたときは、どうすればいいのか。心理カウンセラーの中島輝さんは「いま悩んだり不安を感じたりしていることの逆の方向へと、意識的に思考を振り切る“逆説志向”が有効だ」という——。
※本稿は、中島輝『あなたは、もう大丈夫。「幸せスイッチ」が入る77の言葉』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

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生きづらいコロナ禍は大戦後に似ている
いま、ふだんの生活を送るなかでふと生きづらさを感じたり、自分に自信を持てなくなったりする人が増えています。
これまで自分が描いてきた夢や目標を見失いがちになり、コロナ禍を経て人生の歯車が狂ってしまった人もいると思います。
「これからどのように新しい人生を歩んでいけばいいのだろう?」
そう考えてはみるものの、この先どんな選択をするのが正解なのかもわからない。
そんな漠然とした不安のなかで、「自分にはたいした才能も価値もないんじゃないか」と、ネガティブな感情にとらわれてしまう人もいるかもしれません。
しかし、生きる困難と将来への不安が増しているいまのような時代は、人類がはじめて経験するものではありません。歴史を振り返れば、それこそ疫病をはじめ戦争や飢餓など、人類は数多くの苦しみを経験してきました。
わたしはこれまで、「自己肯定感」について独自の視点から研究と臨床経験を積み重ね、多くの人にカウンセリングを行ったり、講師としての活動を行ったりしてきました。
そんなわたしが大きな影響を受けたのが、オーストリアの精神科医であるヴィクトール・フランクルが提唱した「フランクル心理学」です。
そしてわたしは、いまという時代は、フランクルが自らの心理学を打ち立てた時期、つまり第二次世界大戦という衝撃的な出来事を経たあとの状況ととても似ているのではないかと考えています。
フランクルは大戦中に強制収容所に送られた経験を持ちますが、この時期は同じように過酷な運命にもてあそばれた人たちが世界中にたくさんいました。
いま、コロナ禍で多くの人が打撃を受け、振り回されているこの状況は、ある意味では第二次世界大戦後の状況と似ている面があると感じているのです。
実際に、生活の基盤である雇用や就業に大きな影響があり、若者や女性を中心に自殺者も増加しています。
人が生きていくための、まさに“土台”が脅かされているのです。
生活のなかで感じる不安が増しているためか、わたし個人の感覚でも、カウンセリングを依頼される人たちにはうつ傾向にある人が多く、「ネガティブな感情に覆われている」ような人が急激に増えていると感じています。
人間はもともと不安になる生き物
不安の正体とは、いったいなんでしょうか?
「不安になる」「心配する」という状態はけっして心地いいものではなく、ネガティブな状態としてとらえる人がほとんどだと思います。
しかし、不安になるという“機能”がわたしたちに備わっている以上、それは本来人間にとって必要な力なのだと考えるべきです。
その力とは、不安が持つ「危機察知能力」です。
もし一切の不安を感じない人がいたとしたら……? 例えば、道路を歩くときに「車なんて来るわけがない」と思っていたら、その人はいずれ事故に遭うはずです。
でも実際は、わたしたちは「車が来たらどうしよう」と、無意識下であっても不安を感じています。
つまり、不安という危機察知能力を働かせるおかげで、事故に遭う可能性を減らし、大切な生命を守っているのです。
驚くべきは、この不安になる回数です。人間は1日に6万回もの思考をしているといわれますが、そのうち75%にあたる4万5000回の思考が、「もしこうなったらどうしよう……」というネガティブな思考だというのです。
人間は本質的に、「不安になる生き物」といっていいのです。


意識を不安の正反対に振り切る「逆説志向」
ただ、そうはいっても、やはり不安を感じ過ぎることは問題です。
不安を感じ過ぎるあまり、自信をどんどん失って将来に対する希望も見えなくなってしまえば、それこそ心身の疾患を招きかねません。
ましてや、そのときサポートしてくれる人がそばにいなければ、社会生活を営めなくなる可能性があり、うつ病になってしまうこともめずらしくはないのです。
そんな不安が増した状態に向き合うにはどうすればいいでしょうか。
もともとの生育環境などは変えがたいものですが、その事実を認めたうえで、自分で変えていける面を探すことはもちろんできます。
そのひとつとして、わたしはフランクルが編み出した心理療法である「逆説志向」が有効だと考えています。
これは簡単にいえば、いま悩んだり不安を感じたりしていることの逆の方向へと、意識的に思考を振り切る方法です。
赤面症の人には「顔が真っ赤でもいい」
わたしも、漠然とした不安を感じたときに、たびたびこの思考法を使います。
「講座のお客さんが少なくても1カ月くらいはなんとかなるよ」「失敗しても一文無しからまたはじめればいいじゃないか」と、自分で自分に問いかけてみる。
いったん正反対のことを考えてみると、そこからいまの自分の状態へと、自然と逆算の方向で思考が導かれて、「意外と大丈夫かも」と安心感を得られたり、「こんな方法があるかも」と、見えていなかった可能性に気づけたりできるのです。
不安を感じると、体の症状として現れる人もいます。例えば、顔が真っ赤になって汗が止まらなくなる赤面症という症状は、いったん「真っ赤になると恥ずかしい」と思ってしまうと、「どうしよう、どうしよう……」とますます不安がつのり、とめどなく不安が重なっていく状態です。
そんな少し大変なときでも、「別に顔が真っ赤でもいいや!」「汗をどれだけかけるか挑戦してみよう!」くらいに正反対に思考を振り切っていき、いまの自分の状態をとらえ直してみる。
そうすることで、不安と正面から向き合いながらも、プレッシャーは確実に軽減されていくはずです。
逆説志向は、実際にセラピーとして広く行われており、赤面症や高所・閉所恐怖症、人間関係の恐怖症(特定の人と会うのが怖いなど)を治療するためによく使われている方法です。

写真=iStock.com/SDI Productions
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振り切った思考を書き出すのも効果的
逆説志向をするには、かなりの勇気が必要ではないかと思う人もいるかもしれませんね。
確かに、不安から逃げるのではなく、むしろ不安と正面から向き合う方法なので、ハードルが高く感じる人もいると思います。

中島輝『あなたは、もう大丈夫。「幸せスイッチ」が入る77の言葉』(プレジデント社)

そんなとき、わたしは頭のなかだけでするのではなく、文字に書き出して行うこともあります。最悪なケースを頭で想像するだけでも、漠然と不安を感じているよりはよほどいいのですが、振り切った思考をノートに書き出し、文字のかたちで可視化すると、さらに冷静に自分を見つめることができます。
そうして少しずつステップを踏んでいくと、「意外と平気かもな」と思えるようになり、最終的には、「なるようになるさ」「大丈夫だよ」と思えるところまで意識的に自分を持っていくことができるのです。
すでに重いうつ症状の人には難しいかもしれませんが、そうでないなら、人は不安を感じるのがふつうなので、効果的なアプローチになると思います。
いずれにせよ、あいまいな不安を、あいまいな状態で抱えておかないことが大切です。人は案外、あいまいな不安につぶされてしまっている面があるのです。
たとえ先が見えなくても、逆説志向を活用しながら、「最悪の場合、自分になにが起こるだろう?」「そうならないために、いまなにをしておけばいいかな?」と考えてみる。
それだけで、自分の人生をコントロールしている感覚が芽生えてくるはずです。

  • 中島 輝(なかしま・てる)さん
  • 心理カウンセラー
  • 自己肯定感アカデミー代表、トリエ代表。困難な家庭状況による複数の疾患に悩まされるなか、独学で学んだセラピー、カウンセリング、コーチングを10年以上実践し続ける。「奇跡の心理カウンセラー」と呼ばれメディア出演オファーも殺到。
下記をご参考
https://self-esteem.or.jp/