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「幻聴・幻覚でひきこもった20代長男を"15年ほったらかし"」70代親の死ぬまで続く悔恨

2022-01-18 15:30:00 | 日記
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

就活時に面接官から自己否定されるような発言をされ続け、心が折れた長男は自室に閉じこもった。「自分はダメ人間。みんなそう思っている」。人の視線が気になり、物音にも敏感に。そのうち、窓の外から監視されているという妄想にも襲われた。その症状を訴えたにもかかわらず、親は「放っておけばよくなる」と病院での診察を受けさせなかった。その後、約15年。40歳になった長男は診察の結果、統合失調症で認知機能の低下も認められた――。
写真=iStock.com/bee32
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70歳母の苦悩「42歳長男はもう一生働けません」
「長男は42歳、もう一生働くことはできないでしょう」
そう言い切る母親の顔には疲労の色が濃く浮かんでいました。しかし、長男は40代前半。まだまだ挽回できる年齢です。そう感じた筆者は次のような質問をしてみました。
「正社員でフルタイム勤務は難しいかもしれませんが、パートやアルバイトの就労はどうでしょうか? 49歳までなら就労支援などのサポートも充実していますし、諦めるのは早いかもしれません」
それに対し母親は首を小さく左右に振るだけ。長男の就労はかなり厳しそうだ、ということが伝わってきました。
現状を把握するため、筆者は家族構成などから伺うことにしました。
【家族構成】
母親 70歳
長男 42歳
父親は2年前に死亡【家族の収支と財産】
母親の老齢年金および遺族年金 月額約18万円
生活費など 月額約18万円(※)
※年金収入の範囲内生活するよう努力しているが、赤字が出る月もあるとのこと
預貯金 400万円
自宅の土地 1200万円
母親は今回の相談内容について語りだしました。
「長男は働いて収入を得ることが難しく、わが家にはお金に余裕もありません。親子ともお金に不安を抱えています。そこで長男の通院先の医師に相談したところ、障害年金を請求するよう勧められました」
医師に勧められたとおり、障害年金を請求しようと思ったが…
筆者が黙ってうなずくと、母親は話を続けました。
「最初は自分たちだけで何とかしようと頑張りました。でも障害年金は提出すべき書類が多く、それぞれの書類にどのような記入すればよいのか素人の私たちにはよくわかりません。中途半端な状態で提出してしまうようなことは絶対に避けたいと思っています。そこで専門家の方に依頼することに決めました」
「なるほど。ご事情はよくわかりました。私でよければご協力いたします。ですが、専門家が関わったからといって必ず障害年金が受給できるものではありません。その点はご理解ください」
「はい、その点は大丈夫です。それでも専門家の方にサポートいただけるというだけで大変心強いです」
母親は鞄の中に手を入れ、書類の束を取り出し机の上に置きました。
障害年金の請求には医師の診断書の他、さまざまな書類をそろえる必要があります。特に母親の頭を悩ませている書類は「病歴・就労状況等申立書」というもの。この書類には発病(体調を崩した頃)から現在までの状態を記載していきます。長男はとても記載できる状態ではないので、母親が代わりに記載することに。
写真=iStock.com/Guilherme Ruiz
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しかし「一体何をどのように書けばよいのか」がわからず、一歩も動くことができませんでした。母親には「早く請求しなければならない。でもどうすることもできない」といった焦りの気持ちが大きくのしかかり、夜もあまりよく眠れない状態が続いていたそうです。
筆者は書類の束から病歴・就労状況等申立書を探し出し、手に取りました。
「この書類には医師の診断書には書ききれないお子さんの症状や様子をできるだけ詳細に記載していきます。診断書と同じくらい重要な書類なので、ポイントを押さえて簡潔に記載する必要があります。もちろんこの書類は私が代筆しますのでご安心ください」
筆者はそう説明し、母親から長男の症状や様子を聞き取ることにしました。
2浪で入学した大学、就活で面接官から自己否定の言葉を浴びた
当時高校生だった長男は、有名私立大学に通うことにこだわっていました。といってもその大学で学びたいものは特になく、ただ単に「就職に有利そうだから」といった理由だったそうです。残念ながらその大学には合格することができず2浪してしまいました。さすがに3浪はしたくなかったので、その年に合格した他の大学へしぶしぶ通うことにしました。
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その後、大学は留年することなく順調に単位を取得。23歳ごろ、就職活動を始めましたが、なかなか内定をもらうことができず、採用面接では自分が否定されるような対応をされてばかり。いつしか長男は「自分はダメ人間なんじゃないか? 周りの人たちも全員そう思っているんじゃないか?」そう自問自答することが増えていきました。
ある日、急に人の視線が気になってしまうようになり、恐怖のため外出できなくなってしまいました。長男も家族も「しばらく休めば治るだろう」そう思っていたそうです。
ところが、状況は改善するどころかむしろ悪化。視線だけでなく物音にも敏感になり、外から話し声が聞こえてくると「自分の悪口を言っている」そう強く思うようになってしまったそうです。
写真=iStock.com/baona
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長男には明らかに心配な症状が現れています。ここまで話を聞いていた筆者は母親に質問をしました。
「するとご長男は23歳頃に病院に行ったということですね?」


「そんなの放っておけばすぐによくなる。早く就職活動を再開しろ」
この質問に母親は顔をしかめました。
「いいえ、病院には行っていません。実は父親がとても病院嫌い。体調を崩しても自分で何とかするようなタイプの人で、それを私や長男にも強いました。(人の視線が気になり、物音にも敏感になったという)長男の訴えに対して『なにばかなことを言っているんだ! いい加減にしろ! そんなの放っておけばすぐによくなる。早く就職活動を再開して働け』と言って、長男を叱り飛ばしていたのです……」
父親と顔を合わせるたびに怒鳴られる。そのような事態を避けるため、長男は一日中自室にひきこもるようになりました。そうこうしているうちに長男の症状はさらに悪化。「窓の外から監視されている」という妄想に襲われ、日中でも厚手のカーテンを閉め、電気もつけずに自室でじっと恐怖に耐えていました。そのストレスのためか、さらに幻聴も聞こえるようになってしまいました。
「お前は何の役にも立たない能なし」
「就職活動を再開したいと思っているのか? そんなの無駄だ。やめておけ」
といった長男を否定するような内容ばかり。妄想や幻聴から逃れるため、長男は暗い自室の中でラジオをずっと聞いていたそうです。
会社員で仕事が忙しかった父親は「もうあいつのことなんか知らん! お前(母親)がなんとかしろ!」と言い放ち、父親と長男は絶縁状態に。母親自身は、長男は病気になったとまでは思わず、心のエネルギーが低下した状態ではないかと考えていました。また、夫の方針に逆らって叱責されるのが怖かったため、長男を病院に連れていくということはありませんでした。その後、この「ほったらかし状態」が約15年も続いてしまいます。
父親が末期がんで他界。40歳になった長男の病状はさらに悪化
ようやく転機が訪れたのは長男が40歳になった頃。父親が末期がんで亡くなりました。身内が亡くなったというショックのためか、長男にはさらに心配な行動が現れるようになってしまいました。
用もないのに自室とリビングを行ったり来たり。幻聴を振り払うためなのか、頭を激しく振ったり、壁に自ら頭をぶつけたり。
「明らかに長男の様子がおかしい」。そう思った母親は何度も何度も長男を説得し、やっと近所のメンタルクリニックを受診させることにしました。
医師に長男の症状を訴えると、小さなクリニックではどうすることもできないので、大学病院で診てもらうよう指示されました。紹介状を書いてもらい、すぐに大学病院を受診。長男は統合失調症と診断され、即入院が決定しました。3カ月ほど入院し、退院後は自宅に戻って月に1~2回の通院を継続してきたそうです。
現在42歳の長男は、薬を飲んでは一日のほとんどを横になって静かに休むといった生活を送っています。治療は継続していますが、それでも幻聴が治まることはありません。
「いつまで怠けているんだ。早く働け」
「働く? お前なんかが働けるようになるわけないだろ」
といったものがほぼ一日中続いてしまうそうです。
写真=iStock.com/Guilherme Ruiz
※写真はイメージです
さらに長男には認知機能障害も現れてしまいました。認知機能とは、記憶力、思考力、判断力、注意力、計画力、実行力などをいい、認知機能障害になるとそれらの機能が低下してしまいます。長男の場合、記憶力が大幅に低下してしまいました。
母親に向かって「今日は何日?」「何曜日?」「薬飲んだっけ?」「今、何をしようとしていたっけ? 母さんわかる?」といった質問を一日に何度も何度も繰り返してしまうそうです。
長男は炊事、掃除、洗濯、服薬管理、買い物などは全くできません。それらはすべて高齢の母親が行っています。また、母親が長男に毎日着替えや入浴をするよう言い聞かせても、1週間のうち1~2回できればよい方。1カ月同じ服を着ていることもあるそうです。
ここまで話を聞く限り、長男の症状はかなり重いので障害年金受給の可能性は高いものと思われました。長男が40歳の時に初めて受診した時、長男は国民年金に加入中。国民年金の保険料は20代前半の頃は未納だったようですが、それ以降はきちんと支払ってきているとのこと。以上のことから、長男は障害基礎年金を請求することになります。
障害者年金は支給決定も母親には後悔の念が渦巻いている
仮に障害基礎年金の2級に該当した場合、月額の収入は次のようになります。
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・障害基礎年金2級 月額 約6万5000円
・障害年金生活者支援給付金 月額 約5000円
「長男は買い物も無駄遣いもしないので、月額7万円の収入はほぼ全額貯蓄に回せると思います」母親はそう言いました。仮にあと15年間母親と同居生活が続けられたとすると、月額7万円×12カ月×15年=1260万円になります。貯蓄が1000万円を超えそうだということがわかり、母親も少しほっとした様子を見せました。
面談後、長男からも了承を得た筆者は、必要書類をすべてそろえ障害基礎年金の請求をしました。
障害基礎年金の請求から4カ月ほどたった頃。母親から年金証書が届いたという報告を受けました。年金証書が届いたということは、障害基礎年金が認められたということを意味します。しかし報告をする母親の声は暗く沈んでおり、元気がありません。
母親は最後にこうつぶやきました。
「長男は現在も治療を継続していますが、症状が改善する気配はありません。今もほぼ一日中幻聴に悩まされています。そのような長男を見ると『もっと早く受診させてあげればよかった』といつも思ってしまいます……」
母親の心の奥底には、消え去ることのない後悔が渦巻いているかのように感じられました。
長男の症状は重く、確かに障害年金を受給することはできました。しかし、その代償はあまりにも大きい。障害基礎年金が受給できたからといって、筆者も素直に安堵することはできませんでした。
体の病気に限らず心の病気も早期受診・早期治療が大切です。重症化を防いだりその後の回復が早まったりする可能性が高くなるからです。一方、未受診期間や未治療期間が長くなれば長くなるほど、症状は重症化・慢性化しやすいとも言われています。
とはいえ、社会との接点が少ないひきこもりのお子さんにとって、病院で受診をするという行為はかなりハードルが高いのも事実です。
受診の話をするとお子さんが拒否反応を示すことも多いので、ご家族はつらい思いをされることもあるでしょう。しかし、お子さんもその症状によってつらい思いをしているはずです。
「最近つらそうだから一度病院で診てもらおうか」
「治療をすれば今よりも気分が軽くなるかもしれないよ」
そのように伝え、お子さんができるだけ前向きになるよう、ご家族が根気強く説得を重ねるしか方法はないのかもしれません。


  • 浜田 裕也(はまだ・ゆうや)
  • 社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー
  • 平成23年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本『第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え』を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことからひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりのお子さんをもつご家族のご相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。

脳科学者が教える、10分で脳を活性化させる10の方法

2022-01-18 13:30:00 | 日記
下記の記事は日経ビジネス様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

40歳以降、脳の容積は10年に5%ずつ減る
もしあなたが20代で、認知機能の衰えを心配する必要はないと思っているのであれば、考え直してほしい。人間の脳は25歳になってようやく完成する。神経科学者の中には、脳は30代まで成長し続けると考えている人もいる。つまり、20代での食生活、睡眠、運動習慣、飲酒などの生活習慣のすべてが、脳の成長に影響するということだ。
30代で、脳は完全に成熟し、同時に、自然な老化が始まる。この頃になると、1日に8万5000個ものニューロンが失われ、数値化できるほどの認知機能の衰えが現れ始める。この年代で脳をケアして老化のプロセスを遅らせれば、より健康で、幸せで、知的な中年期を過ごすことができるだろう。
40歳を超えると、脳の容積は平均で10年に5%ずつ減っていく。しかし、これはあくまで平均値であり、脳をケアする新しい習慣を身につければ、加齢による脳の減少を抑えることができる。また、40代では、短期記憶、推論、発話の流暢さに支障が出てくることがある。もっとも、この年代になると、脳は、感情をコントロールしたり他者に共感したりするのがうまくなる。さらに、集中力と注意力も40代でピークを迎える。
50代では、全体的な知識量がピークに達し、新しい情報を習得し理解する能力もピークになる。このことは、中高年の人々が若い頃より認知テストのスコアが高くなる理由の一つだ。頭脳の明晰さは50代がピークかもしれないが、語彙力は60代から70代前半でピークになる。60代のパイロットは、コックピットの機器をチェックするのに時間がかかるかもしれないが、専門知識を蓄積しているため、若いパイロットより操縦がうまい。
70代になると、脳が萎縮するスピードは速まるが、体と頭をよく使っている人は、20代の頃と同じくらい幸福で、精神的にも健康であることがわかっている。また、70代の人は20代の人より幸福度が高いことを脳画像が示唆している。
幸運にも80歳以上になれた人は、これまで以上に脳の健康を保ち、認知機能を向上させ続ける必要がある。脳をケアすれば、いつまでも元気でいられて、友人や家族と交流し、本を読み、映画を見て、趣味を楽しむことができる。脳画像研究で知られる米エイメン・クリニックで私は、80代の人でも脳の血流が改善され、脳機能が向上するのを見てきた。いくつになっても脳は変えられることを覚えておこう。
10分で脳を活性化させる10の方法
私はよく患者に、「脳を放っておいてはいけない」と言う。あなたが何歳であろうと、脳を改善することは可能だ。今すぐ始められる方法を紹介しよう。
1 早歩きする
ほんの短い時間でも運動すると、脳の血流が増え、創造性が高まり、新しいアイデアが生まれやすくなり、全体的な実行機能が向上する。仕事中に頭が働かなくなったときや、大きな会議の準備をしなければならないときには、脳とキャリアのために、オフィス周辺を早足で歩こう。
2 ダークチョコレートを食べる
ダークチョコレートはミネラルが豊富で、フラボノイドと呼ばれる健康に良い植物成分が多く含まれている。フラボノイドはフリーラジカルを消し、脳への血流と酸素供給を促進する。ある研究では、記憶力と反応速度を測定する2時間前にダークチョコレートを食べると、その両方が向上した。注意してほしいのは、この効果はダークチョコレートに限られることだ。ミルクチョコレートやホワイトチョコレートにフラボノイドはあまり含まれない。
ダークチョコレートは、脳への血流と酸素供給を高める効果が期待できる(写真:New Africa/Shutterstock.com)
3 背筋を伸ばして座る
胸を張り、首と背筋を伸ばして座ると、脳への血流が一気に増える。また、正しい姿勢で座ると、他者からの評価が上がり、自信が増す。
4 利き手でないほうの手で書く
このちょっとしたエクササイズは、脳をなじみのある安全地帯から外へ引っ張り出すことでニューロン新生を促し、既存のニューロンの接続を強化する。携帯電話での文字入力やパソコンでのタイピングばかりしている人は、文字を手で書くだけでも、脳にとって新鮮な刺激になる。
5 ブルーベリーを食べる
新たなニューロンを育てたいのであれば、ブルーベリーをたくさん食べよう。ブルーベリーにはフラボノイドやポリフェノールなど、体に良い成分が多く含まれる。これらの成分はニューロン新生を促進する。
6 語彙を増やす
語彙を増やすと、認知機能や知性が高まり、海馬では新たなニューロンが続々と生まれる。これを毎日続けるには、例えば、日々新たな言葉を紹介する日めくりカレンダーを買うか、そのような機能を携帯電話の辞書アプリにダウンロードするといいだろう。
7 毎朝、今日をより良く生きる方法を思い描く
このエクササイズを実践すると、心が落ち着き、ストレスが減るだけでなく、気分が明るくなり、仕事、運動、生活全般において、能力を最大限発揮できる。プロのスポーツ選手や企業の経営者も、この戦術を重要なイベントの前に使ったり、毎朝の習慣にしたりしている。
8 10分間の空白時間を持つ
テレビも電話もない部屋にこもる。電話の着信音、ブザー、チャイム、ニュース、テレビ番組など、気が散るもの、拘束されるもの、ストレス源になるものが何もない部屋で、10 分間、目を閉じたり開いたりして過ごそう。このエクササイズは交感神経系を鎮めるので、朝行えば、終日、精神と感情をコントロールしやすくなる。
9 香りでストレスを解消しよう
家やオフィスでエッセンシャルオイルを使うと、ストレスを和らげ、交感神経系を落ち着かせ、脳波を変化させ、ひいては認知機能と気分を向上させることができる。例えば、ラベンダーはストレスを軽減し、ベルガモットは活力を高め、フランキンセンスは脳への酸素供給を促進することがわかっている。
10 感謝していることを一つ書く
感謝していることを一つ、付箋に書き、バスルームの鏡や冷蔵庫の扉、オフィスのパソコンなど、1日に何度も目にする場所に貼っておこう。この小さなリマインダーは、それを見るたびにあなたを落ち着かせ、ストレスを和らげ、気分を上げてくれる。
クリステン・ウィルミア
脳神経科学者(Ph.D.)

老化細胞除去薬の開発で見えてきた「健康寿命120歳」の可能性

2022-01-18 12:00:00 | 日記
下記の記事はビヨンドヘルス様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

老化制御の切り札として、老化細胞を除去する薬(セノリティクス)が世界的な注目を集めている。その中で、種類の異なる老化細胞を一網打尽に取り除く、世界初の老化細胞除去薬の開発を進めているのが、東京大学医科学研究所副所長で、癌防御シグナル分野の中西真教授らの研究グループだ。中西教授は、日本発の破壊的イノベーションの創出を目指して内閣府が進めるムーンショット型研究開発事業「老化細胞を除去して健康寿命を延伸する」のプログラムマネジャーも務める。老化細胞除去薬の実用化の可能性と、老化研究を進める目的について、中西教授にインタビューした。
東京大学医科学研究所副所長・癌防御シグナル分野の中西真教授(写真:川田 雅宏、以下同)
老化細胞の除去で老齢マウスの臓器の機能低下が改善し筋力がアップ
種類の異なる老化細胞を一網打尽に取り除く画期的な新薬候補として、世界的にも注目されているのは、GLS1(グルタミナーゼ1)阻害薬という老化細胞除去薬だ。「老化の大きな要因の1つは、慢性炎症を引き起こす老化細胞が臓器や組織の中に蓄積することです。実は、一口に老化細胞と言っても非常に多様なのですが、細胞分裂の停止後も生体内に生き残っているのが共通点です。私たちは、個体の中で、多種多様な老化細胞を生き延びさせているのがGLS1という酵素であることを見出しました。この酵素の働きをブロックして細胞死を誘導し、老化細胞を取り除くのがGLS1阻害薬です」と中西教授は解説する。
ヒトで言えば70歳代くらいに相当する老齢マウスに、週3回合計9回GLS1阻害薬を腹腔内投与して1カ月後の変化を分析した研究では、加齢に伴って生じる腎機能の低下、肺の線維化、肝臓の炎症などが抑えられ、各臓器の機能が改善した。通常、老化細胞が蓄積すると、慢性的に炎症が起こって血液中にTNF-α(腫瘍壊死因子α)やIL-6(インターロイキン6)などの炎症物質が増える。しかし、老齢マウスにGLS1阻害薬を投与すると、血液中のTNF-αやIL-6が若いマウスと同程度になり、また肥満による動脈硬化の顕著な改善もみられた(※1)。
「マウスもヒトも高齢になると筋肉量が減って握力などの運動能力が低下し、脂肪組織が萎縮して代謝異常が生じます。ところが、興味深いことに、老齢マウスにGLS1阻害薬を投与すると、握力の低下や脂肪組織の萎縮も抑えられることが分かりました。マウスを棒にぶらさがらせて運動能力や握力をみたところ、普通の老齢マウスは平均30秒くらいで棒から落ちてしまうのに対し、GLS1阻害薬を投与すると平均で100秒程度ぶら下がり続けられるようになりました。ヒトに例えれば70~80歳代のはずなのに、40~50歳代程度まで握力が若返ったような感じです」と中西教授は語る。
図1●GLS1阻害剤による老化・老年病の改善
中西教授らによるマウスを使った実験によれば、グルタミン代謝を標的とした阻害剤は老化細胞除去の作用を有し、加齢現象や老年病、生活習慣病の症状を改善することが分かった(出所:「老化細胞を除去して健康寿命を延伸する」、以下注記のない資料は同)
GLS1阻害薬により120歳まで元気に生きられる可能性も
中西教授らが行った実験によれば、老化マウス以外でも、様々な肥満に伴う生活習慣病モデルマウスにGLS1阻害薬を投与すると、2型糖尿病、動脈硬化、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)も改善することも分かっている(※1)。NASHは、過食や肥満といったアルコール以外の要因により、肝臓に脂肪が蓄積して炎症や線維化が起こる病気だ。肝臓は〝沈黙の臓器″と呼ばれ、自覚症状がほとんどないまま、肝硬変や肝臓がんに進行することも少なくない。GLS1阻害薬を用いて老化細胞を取り除くことで、NASHや動脈硬化など、過食による肥満に伴って起こる様々な病気や臓器などの機能低下を、一挙に改善できる可能性があるということだ。まだマウスでの実験段階だが、ヒトへの効果はどうなのだろうか。
この問いに対し中西教授は、「GLS1阻害薬を用いて老化細胞を取り除くことで、将来的には、ヒトの老化が“治る病気”になることを期待しています。GLS1という酵素の発現は、ヒトでも、加齢に伴って増加することが分かっています。GLS1阻害薬を用いれば老化によって増加する病気の発症が抑えられ、最大寿命の120歳くらいまで元気に生きられるようになる可能性があると思います。まずは、現在有効な治療法のないNASHの患者さんにGLS1阻害薬を投与する臨床試験を開始し、ヒトへの効果を検証していきたいと考えています」と話す。
GLS1阻害薬は既に内服薬として製剤化されて、米国ではがん患者に対する治験に用いられ、ヒトへの安全性は確認されている。この製剤を使うことができれば、1~2年以内にNASHの臨床試験を開始できる可能性もあるという。GLS1阻害薬は、NASH以外にも、2型糖尿病、腎不全、動脈硬化、慢性閉そく性肺疾患(COPD)など様々な加齢性疾患や生活習慣病の治療にも役立つ可能性がある。
この薬が画期的なのは、老化細胞のような異常な細胞だけを選択的に除去し、正常な細胞は攻撃しない点だ。これまで米国などで開発されてきた老化細胞除去薬は、特定種類の老化細胞をターゲットとしたものである上、正常な細胞まで殺してしまう可能性も指摘されていた。
「少し専門的な話になりますが、GLS1阻害薬によって除去されるのは、細胞中にあるリソソーム(異常なタンパク質の処理を行う役目を持つ小器官)という小器官のうち、膜に損傷ができている細胞です。リソソームの膜に損傷があると細胞内が酸性化して強い炎症性の物質を分泌します。酸性化した細胞は通常は細胞死しますが、老化細胞はGLS1酵素のタンパク質を増やしてアンモニアを産生し、細胞内酸性化を中和させることで生き延びています。従って、GLS1酵素の働きを阻害すれば、細胞は生き延びられなくなり、老化による臓器や組織の低下も防げるのではないかと考えました。老化細胞の多くはリソソームの膜が壊れているため、GLS1阻害薬を用いれば、正常な細胞は傷つけずに、多様な老化細胞を一網打尽に除去できるのです」
「GLS1阻害薬で老化による病気の発症が抑えられれば、120歳くらいまで元気に生きられるようになる可能性がある」と中西教授
老化細胞を除去して健康寿命を延ばす国家プロジェクトも始動
中西教授がプログラムマネジャーを務める、内閣府のムーンショット型研究開発事業のテーマは、「老化細胞を除去して健康寿命を延伸する」だ。2040年には、老化細胞などの炎症誘発細胞を除去する技術を、がんや動脈硬化などの老年病や生活習慣病、加齢に伴う多様な臓器機能不全を標的とした治療として、社会実装することを目指している。また、老化度や老化速度を簡便に測れる検査技術を確立し、老化細胞除去薬の適応や効果を確認できる医療システムの構築も進めるという。
このプロジェクトは、中西教授を筆頭に、肥満による糖代謝異常や動脈硬化、早老症などを改善する老化細胞除去ワクチンを開発中の南野徹・順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学教授、微生物学・免疫学が専門の吉村明彦・慶應義塾大学大学院医学研究科教授など、様々な専門分野を持つ10人の研究者で進められている。老化細胞除去薬を実用化することで、老化による臓器や体の機能低下を抑え、健康寿命を大幅に延ばそうとする国家プロジェクトだ。現在の構想が実現すれば、年齢だけでは測れない人の老化度を簡単に測れるようになり、老化に伴う臓器や組織の機能低下やがん、動脈硬化などの病気の発症が抑えられ、高齢社会の到来で膨らむ医療費や介護費を削減できる可能性がある。
「GLS1阻害薬は内服薬で比較的安い薬です。簡単に飲める安価な薬で老化に伴う病気を治療したり予防したりできるならそれに越したことはありません。また、私たちの研究グループでは、アルツハイマー型認知症など神経性疾患の制御につながる、別の老化細胞除去薬の創薬研究も進めています。現在、予防医療は保険診療ではありませんが、将来的に、保険診療が適用される老化予防薬として使えるようになれば、劇的な健康寿命の延びも期待できます。GLS1阻害薬などによる予防医療が実現すれば、多くの人が、ヒトの最大寿命である120歳まで元気に過ごせるようになることも、夢ではなくなるかもしれません」(中西教授)
図2●中西教授がプログラムマネジャーを務めるムーンショット目標の概要
中西教授がプログラムマネジャーを務めるムーンショット型研究開発事業のテーマは、「老化細胞を除去して健康寿命を延伸する」。老化測定技術の開発も研究テーマだ(出所:「教えて平野先生!ムーンショット目標7のこと」日本医療研究開発機構・AMED、ムーンショット型研究開発事業)

臨床試験を進める資金と研究を担う人材確保が課題
ただし、その実現には超えなければならないハードルがあるのも事実だ。
「まずはNASHやCOPDなど、疾患ごとに臨床試験を進め、どういう病気に効くのか検証し、より多くの人に効果が出る投与法などを検証しなければなりません。しかし、日本の場合、臨床研究のための資金と治験を担う人材が不足しています。米国のように老化細胞除去薬の開発に取り組むベンチャー的な製薬会社がどんどん出てきて欲しいと思いますが、意欲的な投資家や人材が少ないのも事実です。日本発の開発であっても、海外の投資家にも投資してもらえるような体制を整える必要があるのではないでしょうか」と中西教授は、指摘する。
ところで、ヒトの最大寿命は約120歳というのが定説(※2)だが、老化細胞除去薬によって全体の健康寿命が延びれば、さらに長生きする人も出てくる可能性はないのだろうか。最新の老化研究によって健康寿命を延ばしても、結局、最後の10年くらいは、要介護になるのではないかという悲観的な見方もある。
しかし、中西教授は、「最大寿命は、老化や病気の発症とは異なる仕組みで決まっています。そのため、老化細胞除去薬によって100歳を超えても元気に自立して過ごす人が増えたからといって、ヒトが生きられるのは最長で120歳というのは変わらないと思います。老化のない動物は、若い個体と高齢の個体では体の状態はあまり変わりありませんが、やっぱり死ぬのです。ですから、介護が必要のない状態で寿命を全うすることは可能だと私は考えています」と話す。
健康な状態のまま元気に年を重ねられるのなら、高齢者が増えたとしても医療費・介護費が過剰になることは避けられ、高齢者の人材活用や人生を楽しむための新たなビジネスも生まれるかもしれない。日本発の老化細胞除去薬の実用化に向け、まずは、NASHの臨床試験の行方に期待したい。
図3●老化を制御する2つの仕組み
「ヒトの最大寿命は、老化や病気の発症とは異なる仕組みで決まります」と中西教授
※1.Science. 2021 Jan 15;371(6526):265-270.
※2.Nature. 2016 Oct 13;538(7624):257-259.
中西真(なかにし・まこと)氏
東京大学医科学研究所副所長・癌防御シグナル分野教授
1985年名古屋市立大学医学部卒業、1989年同大大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)。自治医科大学医学部生化学講座講師、国立長寿医療研究センター老年病研究部長室、名古屋市立大学大学院医学研究科基礎医科学講座細胞生化学分野教授などを経て、2016年より現職。


健康的な食事や運動習慣、日光が新型コロナの重症化を防ぐ!?

2022-01-18 11:00:00 | 日記
下記の記事は女性自身様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

(C)JMPA
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例年であれば新年一般参賀が開催されていたはずの1月2日。天皇皇后両陛下は「元明天皇千三百年式年祭の儀」に臨まれた。
 
元明天皇は奈良時代、707年に47歳で即位した女性天皇だ。皇室の歴史に詳しい静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんに解説してもらった。
 
「元明天皇は、古代の日本社会の安定と繁栄を支えました。奈良の都の造営、現存する最古の歴史書である『古事記』の完成、古代の地方情勢を記録した『風土記』の編纂、日本最古の流通貨幣とされる和同開珎の鋳造など、元明天皇は数々の功績を残しているのです」
 
女性天皇への反対意見のなかには「女性に天皇の重責は務まらない」といった声もあるが、元明天皇はそういった主張を覆す存在とも言えそうだ。
 
「しかも元明天皇は、娘の元正天皇に皇位を継承しています。母娘で動乱の時代を安定に導いたのです。当時、天皇の血を引く男系男子がいなかったわけではありません。それでも2代続けて女性天皇が誕生したのは、ほかの男系男子よりも天皇にふさわしいと認められたからでしょう」(小田部さん)
 
愛子さまの成年行事にご出席された両陛下(写真:時事通信)
 
式年祭にあたり両陛下は元明天皇について資料を読み込まれたという。12月21日には、皇居・御所に丸山裕美子・愛知県立大教授を招き、元明天皇の事跡について説明を受けられた。
 
「昨年12月、雅子さまは体調を崩されていましたが、それは愛子さまの成年行事に向けてさまざまな準備をされ、緊張状態が続いた影響があったとみられています。“将来の天皇に”と期待の高まる愛子さまが無事に成年を迎えられるようにと、雅子さまは母として大きな重圧を感じられていたのかもしれません。
 
愛子さまが成年を迎えた翌月に行われた式年祭ですから、両陛下は元明天皇の“偉業”について、愛子さまにしっかりとお伝えになったことでしょう。そこには、女性天皇の功績を学ぶ中で愛子さまに“天皇になる覚悟”を持ってほしいという思いもあったのではないでしょうか」(宮内庁関係者)
 
愛子さまは小学校の卒業レポートで藤原道長について取り上げ、天皇家と藤原家の姻戚関係や、当時の天皇の政治的役割についても言及されていた。当時から、皇室の歴史を自ら学んでいらしたのだ。愛子さまは1300年前の女帝の輝かしい功績に、何を感じられたのだろうかーー。皇室ジャーナリストの渡邉みどりさんはこう語る。
 
「成年行事に臨まれた愛子さまは、とても堂々とした雰囲気で、目元は香淳皇后のお若いころに似ていらっしゃると思いました。歴史と伝統を重んじる天皇家のなかで育ってこられた愛子さまは、ご自身のお立場を自覚し、しっかり勉強なさっていると思います」
 
憲法で“国民の総意に基づく”と定められた天皇の地位。国民の声を後押しに、愛子さまがその立場に就かれる日は来るのかーー

オミクロン株は軽症で済むのか、感染しても肺まで到達しにくい研究結果

2022-01-18 08:30:00 | 日記
下記の記事はダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

新型コロナウイルスの新たな変異株であるオミクロン株は、これまでに流行したウイルスと比べて、感染しても重症化リスクが低いとされている。その説得力のある説明となり得る、動物を用いた研究の結果がこのほど報告された。オミクロン株は感染しても肺まで到達しにくく、鼻や喉、気管にとどまる場合が多いことが示されたという。
新型コロナウイルスが気道に感染する機序について検討した研究グループの一人で、ベルリン健康研究所(ドイツ)の計算生物学者のRoland Eils氏は、The New York Times紙の取材に対して、「主に上気道に影響を及ぼす新たな疾患が広がりつつあると考えた方が良いだろう」と話している。


この1カ月間に数多くの研究グループが、動物実験を実施してオミクロン株について検討している。そのうちの6件以上の研究で、オミクロン株に感染した動物は、デルタ株などの他の変異株に感染した場合と比べて軽症で済むことが示された。また、これまでに流行した変異株は、ヒトの肺を損傷し呼吸困難をもたらしたが、オミクロン株の場合は感染しても症状がより軽いことが、マウスやハムスターを用いた複数の研究で示されている。
The New York Times紙によると、こうした研究の中には、従来の変異株への感染では重症化したゴールデンハムスターを用いた研究も含まれている。この研究について報告したグループの一人で、米ワシントン大学のウイルス学者であるMichael Diamond氏は、「従来の変異株は、いずれもゴールデンハムスターに強い感染症状をもたらしたため、この研究結果は予想外だった」とするコメントを同紙に寄せている。
また、従来の変異株を動物に感染させた場合と同様、オミクロン株を感染させたハムスターでも鼻粘膜にウイルスの存在が確認されたが、Diamond氏らの実験では、肺に存在するウイルス量は従来の変異株の10分の1以下にとどまっていたという。ただし、動物を用いた研究の結果が人間でも再現されるとは限らないことは認識しておく必要がある。



一方、日本と米国の研究者らによる大規模コンソーシアムは12月29日、ハムスターとマウスを用いた研究の結果を発表した。それによると、オミクロン株に感染させた動物は死亡リスクが低く、体重減少や肺の損傷も軽度であったという。
さらに、香港大学のグループが実施した、肺の組織検体を用いた研究から、オミクロン株は従来の変異株よりも増殖スピードが遅いことが明らかになった。この研究結果は、デルタ株の感染者に比べてオミクロン株の感染者では入院リスクが低いことの理由を解明するのに役立つ可能性がある。とはいえ、今後さらなる研究を実施して、この結果を検証する必要がある。
英ケンブリッジ大学のウイルス学者であるRavindra Gupta氏は、オミクロン株が肺まで到達しにくい理由について、分子レベルの視点から説明している。新型コロナウイルスのヒトへの感染経路の1つとして、肺の多くの細胞に発現しているTMPRSS2というタンパク質分解酵素が関与するものがある。従来の変異株は、TMPRSS2の関与でヒトの体内に侵入していたため、肺での感染が顕著だった。しかしオミクロン株では、TMPRSS2の作用が阻害されるような変異が起きているため肺細胞には感染しにくく、結果的に重症化が抑制されるのだという。実際にオミクロン株は、デルタ株のように強力に肺細胞に感染しないことが、同氏のグループによる研究や英グラスゴー大学のグループによる研究から明らかにされている。
ただしDiamond氏は、現時点では、TMPRSS2がオミクロン株感染の仕組みを解明する上で鍵を握っているとは言えないことを強調。また、オミクロン株の感染力がこれほどまでに強い理由も明らかにされていない点を指摘している。(HealthDay News 2022年1月3日)