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「コロナ死亡の平均年齢は82歳」それでもコロナ対策をすべてに優先させたままでいいのか

2022-01-02 15:30:00 | 日記
下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

オミクロン株にビビりまくる日本人
2021年11月、南アフリカ共和国で新型コロナウイルスの新たな変異株が採取され、WHOがこれを「オミクロン株」と名付けたのは同月26日のことだった。この報を受けてほどなく、岸田文雄首相は外国人の新規入国停止を発表。直後におこなわれた読売新聞の世論調査によれば、この判断に「賛成する」と答えた人が89%にのぼり、内閣支持率は前回調査と比較して6ポイント上昇の62%となった。
オミクロン株に対する日本人のビビりっぷりは、まさに過剰反応。2020年2月にクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号での集団感染が報じられたときや、同3月22日に開催された格闘技イベント「K-1 WORLD GP 2020 JAPAN」が猛烈に批判されたときと同じような雰囲気で、「オミ株、ヤバい」という論調がにわかに高まった。
写真=iStock.com/roibu
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「いまになって、また水際対策を強化するのか?」と違和感を抱かずにはいられない日本の対応の珍妙さは、決して「中川個人の感想でしょ」というレベルの話ではない。日本の鎖国令に対し、WHOは名指しで「理解不能」とコメントしているのだから。


煽りのトレンドは「濃厚接触者の人数」にシフト
ここのところ陽性者数がずっと低水準だったことから、12月に入って以降、報道のトレンドは「コロナ陽性者数」から「濃厚接触者の人数」へとシフトしていった。「陽性者数を煽りに使えなくなり、どうやって視聴者を煽ればいいのだろうか……」と頭を悩ませたであろうテレビが、「濃厚接触者の人数」をやたらと問題視し始めたのである。
12月12日、神奈川県川崎市にある等々力陸上競技場でサッカー天皇杯の試合がおこなわれ、観戦した人のなかにオミクロン株の陽性者がいることが判明。この人の座った席が明らかにされ、その周囲に居合わせた80人にもPCR検査をすると発表された。個人的には明らかに過剰な対応だと思うが、「コロナ、ヤバい」界隈の人々は恐れおののくばかり。彼らはいまだに「外国人は日本に入れるな!」「水際対策を徹底せよ!」「濃厚接触者は絶対に14日間、外に出るな!」の大合唱である。この空気は、完全にコロナ騒動の初期の頃──2020年2月~3月あたりと同じにおいだ。知らぬ間に振り出しに戻されてしまったかのような失望感。もはや“コロナ恐怖依存症”のような状態に日本は陥ってしまっている。ダメだ、こりゃ。この騒動は終わらない。
「あなたのせいで死ぬ人が出たらどうする」がキラーフレーズ
日本は他の先進国と比べて格段に低い陽性率で推移しているにもかかわらず、コロナへのビビりっぷりは世界屈指である。ゆるゆるの対策に加えて罰則規定もほぼないというのに、人々は律義にマスクを着け、ワクチンを打つ。そうした際の大義名分は「公衆衛生を考えて」や「大切な誰かを守るため」、「思いやりワクチン」などだ。
そんな日本人に対してもっとも効果のあるフレーズは「もし、あなたの身勝手な判断や行動のせいで死ぬ人が出たらどうするのだ」である。これを言われると、大抵の人は何も反論ができない。少しでも反論しようものなら「人の命をなんだと思っているのだ!」と即座に返り討ちをくらってしまう。
本当は自分が助かりたいだけなのに、「社会のため」「みんなの暮らしを守るために」といった美辞麗句を持ち出し、理不尽なくらいに命を尊重する。これは日本人が子どもの頃から刷り込まれてきた「死生観」といえるものだ。
「現実的に考えるなら、『命のトリアージ(選別)』は必要である」などと発言しようものなら、「老人の命を軽く見るのか!」と怒られてしまう。「そうじゃないでしょ、寿命が来たんですよ」などと丁寧に説いても、「オマエは人殺しだ」とまったく聞く耳を持たない。そして人工呼吸器やECMOなども駆使し、最大限の延命治療を90代の老人に対しておこなう。とにかく「生きている」ことが最重要であり、QOL(生活の質)は問われない。


職を失う人、精神を病んで自殺する人への無配慮
先ごろ日本経済新聞で公開された「円城寺次郎記念賞 受賞者論文 対コロナ、各国の価値観影響」という記事において、論文執筆者である仲田泰祐・東京大学准教授は次のように文章を始める。
〈2020年12月から、感染症対策と社会経済活動の両立に関する研究をしている。標準的な疫学モデルに経済活動を追加して様々な分析をすると、感染症対策と経済は単純なトレードオフ(相反)の関係にはないことが見えてくる。〉
そして「累計コロナ死者数と経済損失」(「経済損失」のパーセンテージをヨコ軸、「10万人あたりの累計死亡者数」をタテ軸に置いた散布図)という国別のデータを示しながら、こう続ける。
〈「コロナ死者数を1人減少させるためにどの程度の経済的犠牲を払いたいか」という試算をすると、地域間で大きな違いがあることが見えてくる。日本は約20億円、オーストラリアは約10億円で、米国の約1億円、英国の約0.5億円よりも高い。地域でも違いがあり、東京都・大阪府では約5億円だが、鳥取・島根両県では500億円以上だ。仮に1世帯の年収が500万円とすると、死者数を1人減らすために東京・大阪では年収約100年分、鳥取・島根では1万年分以上の犠牲を払いたいという価値観といえる。〉
この指摘に対しては「対策をそこまでしたからこそ、死者数を抑えることができたのだ」という反論が寄せられるだろう。だが、そうした反論をする人々は、過剰な対策や自粛の蔓延によって職を失ったり、精神を病むなどして自殺したりした人への配慮がない。あくまでも「コロナで亡くなった人」の命にのみ関心があるのだ。
コロナ以降、自殺者数は増加し、出生数は低下
テレビをはじめとしたマスメディアが重要事項と解釈し、世間の「空気」を作っていったことに関してのみ、日本人は「生命至上主義」になる。
それまで10年連続で減少していた自殺者数は、2020年、2万1081人と対前年比912人(約4.5%)増になった。小中高校生については2019年の317人から31%増えて415人。この数字は1974年の調査開始以来、最多である。また、2020年の出生数は前年の86万5239人から84万835人に減少。日本総研の分析では、2021年は約81万人とさらに減ると見込まれている。
しかし、これらの数字はなかなか世間の「空気」にならない。コロナのほうがよほど大問題だ、という空気が支配的だからである。いまは自殺よりも、出生率の低下よりも、とにかく「オミクロン株のヤバさ」が空気を作っている。
写真=iStock.com/eranicle
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メディア主導で「命」の扱いが規定される
“メディア主導で作られた世間の「空気」が「命」の扱われ方を規定する”という視点で思い出すのが、2004年の「イラク邦人人質事件」だ。外務省は紛争地区であるイラクへ渡航しないよう呼びかけていたが、日本人の若者3人がイラクへ渡った。「現地の状況を伝えたい」「現地の人を救いたい」という意思を持って行ったわけだが、彼らは武装勢力に拉致されてしまった。
このとき、小池百合子環境相(当時)が「自己責任」について触れ、その後、河村健夫文科相(当時)、中川昭一経産相(当時)らもそれに言及。政府のスポークスマン・福田康夫官房長官(当時)も3人を突き放すような物言いをした。
ネット上は、3人に対するバッシングだらけになった。「彼らの解放のため、日本政府は10億円もの身代金を支払ったらしい」といった説もネット掲示板に書き込まれ、無事帰国した3人に対する罵詈
ばり
雑言はしばらくやまなかった。
当時は確実に、3人の命よりも「自己責任論」「税金から支払われる10億円の身代金(根拠不明なのだが……)」のほうが大事だという風潮が世間に渦巻いていた。テレビはいちおう心配している体裁をとりつつ、3人に対して批判的ニュアンスも含んだ論調で報じ、ネットでは彼らを「3バカ」と蔑視する流れになった。
結局、日本国民は命の貴賤をテレビの号令により判断するのである。テレビがコロナ騒動の初期に志村けんさんの死を大きく取り上げたため、あれから1年9カ月経ったいまでも「コロナはそこまでヤバくない」派の発言に対して「志村けんさんの命を奪ったヤバいウイルスなんだぞ!」「志村けんさんの遺族の前で、オマエは同じことを言えるのか!」といった罵詈雑言がSNSに書き込まれるのだ。
一方で、コロナ陽性から順調に回復した著名人はゴマンといるのに、この人たちの予後が取り沙汰されることはほぼない。とにかく「ヤバい事象」ばかりが盛んに報じられるため、たとえばお笑いコンビ・東京ダイナマイトのハチミツ二郎氏のように、コロナが重症化して一時は危篤状態に陥った、といった人物ばかりがメディアから重宝されるのである。
高齢者のコロナ死は「寿命」と捉えるべき
ここまで述べてきたような日本人のいびつな死生観については、本当にこの2年間でほとほと呆れ果ててしまった。
私の76歳になる両親は、20年以上前から「自分に何かあっても延命治療は不要」と言っていた。その理由は「どうせ人間はいつか必ず死ぬ。そのときが来たら、人はみな死から逃れられない。だから、科学の力で無理矢理生かす必要はない。私らはもう十分生きたし、アンタと由香(姉)も残したから、とくに悔いはない」というものだった。
だから私は、人工呼吸器や胃ろうといった延命治療について、意識を失った両親に施すかどうかを医師から尋ねられたら「このままでいいです。何もしないでください」とお願いするつもりだ。そして自分も「植物状態になった場合、延命治療は不要」と折りに触れて妻に伝えている。
少し前のデータになるが、東京都のモニタリング会議が2021年4月に公表した資料によると、2020年11月1日~2021年3月31日の期間に新型コロナウイルスで亡くなった人の平均年齢は82.2歳である。さらに、亡くなった人の大多数は70代以上の高齢者だ。この数字を見て「寿命が来た」と捉えるのがまっとうだと、私は思う。だが、多くの人は「とにかくコロナが怖い」という思考が先立つせいか、日本人の平均寿命が女性は87.74歳、男性が81.64歳(どちらも2021年7月、厚労省発表)ということを念頭に置かず、ただ恐怖感しか抱かない。


人間の致死率は100%
作家の村上春樹氏は『ノルウェイの森』のなかで「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している」と主人公のワタナベに言わせた。これこそが真理なのだ。「死」を人生最大の恐怖と捉える人にとって、ワタナベのこの発言はなかなか理解できないかもしれないが、死は人生を構成する出来事のひとつとして、誰のもとにも必ず訪れる。
人間は致死率100%
断言するが、これが真実である。一切の異論は許さない。
死産の形でこの世に生まれ落ちることもあるし、暴走する自動車に轢かれて亡くなることもある。自殺、他殺、事故、自然災害などさまざまな理由で人は死ぬ。もしかしたら「人肉が宇宙一おいしい」と考えている異星人が突如地球を襲来し、人類が全員殺されることだって将来的にはあるかもしれない(コロナ騒動があまりにアホ過ぎるので、こちらもアホなたとえをしてみた)。
死を1秒でも先送りしたい人々
2021年5月、経済学者で嘉悦大学教授の高橋洋一氏が、ツイッター上で日本と世界各国の感染者数の推移をグラフで示して「日本はこの程度の『さざ波』」と評し、炎上。高橋氏は激しい非難に晒された。いや、データを見れば、確かに「さざ波」程度なのである。
このことに限らず、日本人はさまざまなデータから「新型コロナはそれほど恐れる必要のないウイルス」ということが次々と明らかになっても、それらには目もくれず、ただ感情論や思い込みに支配され、右往左往してきた。まるで国全体が集団ヒステリー状態に陥ってしまったかのようだ。
そうなってしまったのは、なぜか。日本人の「死生観」が幼稚だったからだ。
「死」はとにかく忌むべき事柄であり、絶対に避けなければならないもの。死を1秒でも先送りできるのであれば、全身チューブまみれで意識混濁状態となり、ただ苦しく息をしているだけの肉塊となっても構わない──私の目には、多くの日本人がそんなふうに考えているように映る。しかも「絶対に回避したい死」の理由付けに関して、ほぼ全権をマスメディアに委ねているのだ。


婚約者や友人を自殺で失った経験
正直、婚約者をうつ病からの自殺で失った経験を持つ私からすれば、「コロナよりもうつ病のほうがはるかに怖い」という感覚がある。彼女の遺体を森のなかで発見したとき、私は『ノルウェイの森』のワタナベのように「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している」ことを痛感した。そのとき、私は33歳、彼女は31歳だった。
婚約者だけではない。私は20~30代前半のうちに、身近な人の自殺を4例も経験した。全員が精神疾病を抱えていたと後に聞かされた。その4人は以下のとおりだ。
A:新卒で入った会社の同期で入社1年目の男性(20代前半)
B:大学の語学クラスで同級生だった司法修習中の女性(20代前半)
C:大学の登山サークルの先輩で、地裁の裁判官の男性(30代前半)
D:会社の取引先で営業担当だった男性(30代前半)
いずれも「こんなに素敵な人が、どうして……」と思わずにはいられない痛ましい出来事だったが、彼らはもう、この世にいない。それは厳然たる事実である。「お別れの会」で目にしたAさんの遺影であるとか、四国に住むBさんの母君に電話をし、お悔やみを述べたうえで献花の手配を有志でしたことなど、当時の記憶はいまだ色褪せることがない。
OB訪問で出会った学生は白血病で亡くなった
そしてもうひとつ、どうしても忘れられない「死」の記憶がある。会社員時代、私のもとにOB訪問でやってきた学生だ。会った瞬間「あ、この人はわが社に合っている」と判断し、「キミのこと、オレは通すよ。きちんと人事に推薦しておく。あとは、面接対策について考えよう」という流れになった。小柄でシュッとしたイケメンであり、酒と麻雀が強い彼はトントン拍子で面接を駆け上がっていった。その都度、彼は律儀に「通りました!」と連絡をくれた。そして最終面接の日、彼から電話が来た。
「どうしたの?」
「なんか、最終面接ってハンコが必要らしくて……。うっかり忘れてしまったのですが、中川さん、ハンコを貸してもらえますか?」
そう、彼の苗字は私と同じ「中川」だったのだ。残念ながら最終面接で落ちてしまったのだが、一方で大手総合商社の内定を見事獲得。その後、私が会社を辞めるあたり、OB訪問で出会った元学生の有志たちが送別会をセッティングしたくれた際にも、彼は他社の社員でありながら全力で参加してくれた。
彼のことを聞いたのは、それから7年後だった。白血病で亡くなっていたというのだ。商社に入社した2001年の秋に病が発覚し、以後は入退院を何度か繰り返して2008年にこの世を去った。訃報を耳にして私はすぐに彼の両親に電話をかけ、ある土曜の夕方、彼の家へと出向いた。位牌に手を合わせた後、彼の大好きだったビールをごちそうになったときの光景は、いまでも鮮明に覚えている。彼の生きた証しは、とにかく明るい闘病ブログで現在も読むことができる。


そろそろ建前論はやめにしよう
かくして「死」を「生の一部」として受け入れてきた私は、この約2年にもおよぶ新型コロナ騒動にどうしても同調することができないのだ。人はいつか必ず死を迎え、大地や海へと還る。その後どうなるかは、誰もわからない――これしかないのだ。
それなのに「とにかく命こそ大事である」「そのためには、あらゆる犠牲を払っても構わない」という考え方を徹底したばかりに、自殺者が激増してしまったとは、なんたる皮肉であろうか。しかも、自死を選択しているのは「寿命」と捉えても構わない高齢者ではなく、主に将来ある若者や働き盛りの中年層なのだから。
いまの日本では、上記の一段落でさえ批判の対象になってしまうのだろう。だが、そろそろ建前論はやめにしないか? 社会に絶対的に必要なのは、若き人々による活力なのだ。高齢者はすでに青春を謳歌し、社会に出てさまざまな場面で活躍をして、無事にリタイアを迎えた人々が多い。その貢献を軽んじる気はさらさらない。ただ、もう十分生きたではないか。次の世代に社会を、そして命をつなぐという役割を果たしたのだから、後は若い世代に道を譲ればよいのだ。社会のあらゆる局面において「世代交代」は必要不可欠なサイクルである。
シルバーポピュリズムで日本が滅んでいく
それなのに、日本はコロナ対策において、小池百合子東京都知事の「防ごう重症化、守ろう高齢者」の言葉に代表されるような、シルバーポピュリズムを徹底した。その結果が、若者の自殺増と出生減である。
写真=iStock.com/B_Lucava
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私は現在48歳だが、まぁ、やりたいことはほぼやり尽くした。自分の人生にまったく後悔はない。明日、コロナで死んでも構わないと考えている。ただ、まったくコロナにかからない。世間の大騒ぎとは別軸で、日々淡々と生きている。
森のなかで腐乱が始まった婚約者の遺体を見ていることもあり、「死」は私にとって、とても身近なもの、現実的なものになった。それゆえ、自然の流れに抗ってまで「生」に執着することの無意味さを理解できたと思っている。「死」は抗うものではなく、受け入れるものなのだ。
「死」に対して「穢れ」「忌み嫌うべき事象」「絶対に避けなければならないもの」「人の命は地球より重い」といった感覚を持つ人が多い国、日本。そうした死生観から脱却しない限り、この国のコロナ騒動は永遠に収束しない。
私としては「勝手にやってろ。自分はこのバカげた騒動から一抜けする」で終わりである。
【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」
・日本におけるコロナ騒動がいつまでも収まらないのは、日本人の幼稚な死生観のせいだ。
・自然の流れに抗ってまで「生」に執着することは無意味である。
・高齢者は、もう十分生きたではないか。若者や働き盛り世代に道を譲るべきである。そうした姿勢は、コロナ対応についても同じだ。

  • 中川 淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
  • ライター
  • 1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライターや『TVブロス』編集者などを経て、2006年よりさまざまなネットニュース媒体で編集業務に従事。並行してPRプランナーとしても活躍。2020年8月31日に「セミリタイア」を宣言し、ネットニュース編集およびPRプランニングの第一線から退く。以来、著述を中心にマイペースで活動中。

高齢の親が食べてはいけない「身近な食材3選」

2022-01-02 13:30:00 | 日記
下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

親が60歳を超える高齢だと気になるのが認知機能の低下。もしも、ちょっとした親の変化が気になるなら、食生活の改善を促したほうがいいかもしれません。脳神経内科の専門医、内野勝行氏の著書『1日1杯 脳のおそうじスープ』より、脳に悪い食材、いい食材について一部抜粋し、再構成してお届けします。

外出自粛の影響で高齢者の認知機能が低下
「何をしにここに来たかと考える」
これはシルバー川柳の入選作品です。こういう経験は60代以降の人なら誰にでもあることかもしれません。
「テレビに出ている芸能人の名前が思い出せない」
「前日食べたごはんが何だったか忘れた」
「スーパーで買おうと思っていたものを買い忘れることがある」
といったことも珍しくないでしょう。
もしも、あなたの親御さんが、こんな状況だとしたら「ひょっとして認知症が始まっているのかな」と不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
しかも、コロナ禍の影響で生活スタイルや働き方が変わり、あまり外に出なかったり、人と接する機会が減っていたりすることで、脳への刺激が減り、より認知機能が低下しやすい状況になっているのです。
コロナ禍以前と比較して、「あれ!? うちの親、もの忘れが目立つな」とか「以前と比較して、集中力に欠けるような気がするなあ」と思ってドキッとすることがあれば、認知機能の低下を疑ったほうがいいかもしれません。
あなたは、認知機能低下の本当の原因をご存じでしょうか。
それには、「脳のゴミ」が密接に関係しています。
「脳のゴミ」という言葉を初めて聞くという方もいるかもしれません。一体どのようなものなのでしょうか?
近年もっとも注目を集めているのが、アミロイドβ(ベータ)という物質です。
簡単に言うと、脳に悪影響を及ぼす毒素で、脳細胞を死滅させ認知症を引き起こす‟真犯人”と考えられています。
このアミロイドβが脳に溜まるとアミロイド線維という硬い糸くずのようなものになり、それが脳神経細胞のまわりに付着して溜まっていきます。
そして、その量が増えると脳の機能が低下するというわけです。
認知症を引き起こす病である「アルツハイマー病」も、アミロイドβの蓄積によるものであることがわかっています。
世界中の研究者たちは、認知症を克服するためにアミロイドβをいかにして脳に溜めないか、排出するかに関しての研究を進めています。
たとえば、米国のスタンフォード大学では、アミロイドβに関するさまざまな研究論文が発表されています。有名なのが、スタンフォード大学西野精治教授の、睡眠とアミロイドβとの関係性に関する研究。睡眠不足が続くとアミロイドβがうまく排出されず脳内に蓄積し、認知症になるリスクが高まるというのです。
脳のゴミであるアミロイドβを排出すること、つまり脳を「おそうじ」することが、認知症を予防するうえで、非常に大切なポイントであることがわかると思います。
食べるものを変えれば脳はきれいになる
脳のゴミを排出するために重要な要因の1つが食事です。
アミロイドβは、発生量を抑え、体外への排出を促して溜めないことが大切ですが、それを直接コントロールできるのが食品に含まれる栄養素だからです。
基本は栄養バランスのとれた食事を1日3食きちんと摂ること。
そして、アミロイドβを溜めない、排出を促す働きがある栄養素はいくつか判明しているので(後ほど、詳しくご説明します)、それらの栄養素を豊富に含んだ食品を積極的に食べることで、より効率的にアミロイドβの発生量を抑え、排出できるようになります。
逆に、脳のおそうじという視点から見れば、摂るのを控えたほうがいい食材もあります。
脳のゴミをおそうじする前に、大前提として血の巡りをよくしておくことが必要です。
そうしないと、脳のゴミは血液の流れに乗って体外へと排出されません。言い換えれば、〝ドロドロ血液〞もまた、脳のゴミの蓄積を招きます。
たとえば、京都大学の研究グループによる研究(米国の科学誌「The Journal of Neuroscience」に掲載)では、軽度な脳血流の低下でも、それが長く続くことで軽度な 認知機能障害になることが証明されています。
‟ドロドロ血液”の原因は、中性脂肪や悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)です。
食事から摂った油は、中性脂肪に変換されて体内(脂肪細胞内)に蓄えられます。
脂質を摂り過ぎることで中性脂肪の分解が追いつかなくなり、分解されずに余ってしまった中性脂肪は血中を漂い、やがて体脂肪として体内に溜まっていきます。
恐ろしいのは、中性脂肪は体脂肪だけでなく血管内にも溜まるので、蓄積すると、 血液の通り道が狭くなり、血流が滞ってしまうのです。
認知症の20~30%を占めるのが、脳梗塞や脳出血・くも膜下出血など、脳の血管の病気によって引き起こされる「脳血管型」です。したがって、血液をサラサラにしておくことも認知症の発症を抑える大切な要素なのです。
また、悪玉コレステロールも、中性脂肪と並び、血の巡りを悪化させる原因となる物質です。
血中の悪玉コレステロールの量が多いと、血管内にプラークと呼ばれる脂肪(コレステロール)のかたまりができ、それが徐々に大きくなることで血管が詰まったり、 破裂したりします。
「いい油」を摂れば、ドロドロ血液は改善できる
脳のおそうじにとって最大の障壁となる‟ドロドロ血液”を改善するにはどうしたらいいのでしょうか?
脂質の摂り過ぎが原因なら、できるだけ脂質の少ない食品を食べればいいと考える方も多いでしょう。 しかし、脂質は健康な体を維持するうえでなくてはならない栄養素です。
ポイントは、体にいい油と悪い油を見極めればいいのです。
まず摂り過ぎに注意したいのは、ラードやバター、肉の脂身、鶏皮などに含まれる動物性の脂質。これらは、体の中で固まりやすく、中性脂肪やコレステロールの増加を促進し、動脈硬化を進行させる原因となります。
また、トランス脂肪酸もできるだけ摂取量を減らしてほしい油です。
トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすことがわかっており、海外では使用が禁止されているところもあるほど害のある「悪い油」です。
トランス脂肪酸が多く含まれるのは、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング(またはそれらを原材料に使ったパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子)、揚げものなどです。
その一方で、中性脂肪や悪玉コレステロールを減らしてくれる油があります。
その代表格が、オリーブオイルやエゴマ油、魚に含まれるEPA・DHAなど。これらは、脳のおそうじを強力にサポートしてくれる「いい油」です。
ドロドロ血液も一朝一夕に改善できるものではありません。うまく油とつき合っていくことを常に心がけ、徐々に改善していきましょう。
甘いもの、すなわち糖質の摂り過ぎも、脳のゴミ、特にアミロイドβが溜まる原因となります。
九州大学大学院医学研究院が行っている「久山町研究」という追跡調査でも、高齢糖尿病患者では認知症の合併が多いことが明らかになったのです。
その調査によると、糖尿病患者のアルツハイマー病発症率は、2〜4倍にものぼるといいます。こうしたことから、アルツハイマー病は「脳の糖尿病」と言われることさえあります。
しかし、極端に糖質を制限することも健康によくありません。ポイントは糖の吸収をおだやかにする食品を選ぶこと。簡単な見極め方として「白い色の糖を避けること」が挙げられます。精白した白米や小麦より、精白度が低い玄米や雑穀米、全粒粉を使ったパンやパスタのほうが望ましいということです。
これまでのまとめとして、脳によくない食材の代表格は、
ラードやバーター、肉の脂身、鶏皮などに含まれる動物性の脂質
トランス脂肪酸が多く含まれるマーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、揚げ物
精白した白米や小麦などの「白い色の糖」
などです。
脳のおそうじに役立つ栄養素とは
では、ここから脳にいい食事について詳しく見ていきましょう。まず、前提として3大栄養素と呼ばれる「タンパク質」「脂質」「糖質」に加え、ビタミン、ミネラルといった栄養素を過不足なく摂ることです。
さらに、脳のゴミを排出するのに効果的な栄養素もあります。
以下、脳にいい栄養素と、それが含まれた食材について、解説していきましょう。
●DHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA (エイコサペンタエン酸)
魚の脂に含まれる油です。この油にはさまざまな健康効果があることがわかっていますが、特に知られているのが、血液サラサラ効果。また、血中の悪玉コレステロールを減少させて善玉コレステロールに変える働きももちます。加えて、DHAは脳をはじめとした神経系の発達を促すことも確認されているため、 脳機能を活性化させるうえでも有効な油と言えるでしょう。
●α‐リノレン酸
血液の凝固を防いで血の巡りを良くし、血栓を防ぐ、血管のクレンジング効果が期 待できる成分です。体内で生産できるDHAやEPAの材料にもなる油で、大豆、エゴマ、ナッツ類に多く含まれています。
●レシチン
脳や神経組織に多く含まれる成分で、食品では卵黄や大豆に含まれています。レシチンの一種であるホスファチジルセリンという成分は、記憶力の向上、抗ストレス作用、集中力の向上をサポートすると言われています。
●アスタキサンチン
えび・かになどの甲殻類、鮭・マスの身、鯛の表皮などに含まれる赤みを帯びた天然色素成分です。抗酸化力が非常に強い成分と考えられています。
●γ‐オリザノール
こめ油、コーン油、オオムギ油などに含まれ、脳機能の活性化を助けると言われている成分です。また、血中脂質の低下に有効であるという研究報告もあるため脳の血管の詰まりを防ぎ、血行を良好な状態に維持しておくことが期待できます。
●タンパク質
体のあらゆる組織の材料となる栄養素です。いつまでも動ける体を維持するためには必須です。 牛・豚肉の赤身や鶏肉、魚、乳製品、大豆製品に豊富に含まれています。
●セサミン
ごまに含まれる成分で、抗酸化作用と悪玉コレステロールの除去力が期待できるため、脳の活性化の効果への期待も高まっています。また、酸化しやすいDHAの酸化防止作用もあることがわかっています。
●リン
生体内の組織・細胞に不可欠なミネラルです。カルシウムやマグネシウムとともに骨や歯の材料になるだけではなく、筋肉、脳、神経の材料にもなります。大豆や豆類、ナッツなどに多く含まれています。
●ビタミンB群
五大栄養素が体内で無駄なく使われるために必要なビタミンです。ビタミンB群が不足すれば、せっかく摂った栄養が体内でうまく吸収されずに排出されてしまいます。含まれる食品は多岐にわたりますが、緑黄色野菜、肉、魚介類などに含まれており、それらをバランスよく食べないと不足してしまいます。さらに、短時間で体外に排出されてしまうため、毎日こまめに摂取しなくてはならない栄養素です。
1日1杯で脳のおそうじができるスープ
つまり、脳に悪い食材を極力避けたうえで、脳のゴミを排出し溜めないような食生活を身につければ、認知機能低下のリスクを抑えることができます。
ただ、毎日、脳にいい食材、悪い食材を気にしながら、献立を考えるのはなかなかに面倒で、ハードルが高いのも確かです。
そこで、私が開発したのが「脳のおそうじスープ」です。アミロイドβを排出するのに有効な、脳にいい栄養素を豊富に含んだスープを、1日1杯飲むだけで摂取することができます。
『1日1杯 脳のおそうじスープ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)
このスープは、必要な食材を切って混ぜて、お湯を注ぐだけで簡単にできてしまいます(詳しい作り方は、拙著『1日1杯 脳のおそうじスープ』をご参照ください)。
料理は億劫という方でも「作ってみようかな」という気持ちになれるはずです。
もちろん、薬とは違うので毎食摂っても問題はありませんし、朝昼晩、どのタイミングで摂っていただいてもかまいません。飲み始めて効果を実感いただけるまでの期間には個人差があると思いますが、目安として最低でも2週間は続けるようにしてください。
短期間で物忘れがなくなったなどの急激な変化を感じることはないかもしれませんが、1日最低でも1杯飲み続けていただければ、脳は確実に変わっていきます。
あなたの親御さん、もしくは近しい人の認知機能低下が心配になったら、ぜひ「脳のおそうじスープ」を試してみてはいかがでしょうか。
内野 勝行 : 医師

綾小路きみまろ 時間を持て余して<農耕>接触。窮地の今を「畑仕事」と「下積み30年間」が支えてくれる

2022-01-02 12:00:00 | 日記
下記の記事は婦人公論.jp様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。
人気漫談家・綾小路きみまろさん。舞台に立てず、苦しい日々を過ごしていると思いきや
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52歳でメジャーデビューを果たした人気漫談家・綾小路きみまろさん。きみまろさんの主戦場は「舞台」ですが、コロナ禍で公演がのきなみ延期、もしくは中止となってしまいました。さぞ苦しい日々が続いていると思いきやどっこい、きみまろさんがライフワークとしてきた畑仕事にあらためて向き合うことができ、その結果、見えてきたものもあったそうで――。
舞台が主戦場だったので大打撃
「俺もとうとう70歳になった。ひざもコキコキ鳴り出した。そうか、これが古希(こき)なのか……」なんて思いながら、「残りの人生をどう過ごそうか」と考えていました。
そんなときに、新型コロナウイルス騒動が起こったのです! こんな時代がやってくるなんて、誰が想像したでしょうか。
何気ない日常を過ごしていた頃、思い出しますよね。

奥様は赤い口紅を塗って、お出かけされていました。まるで畦道(あぜみち)に咲いた彼岸花、あるいはカレーライスに添えられた福神漬けのように、口元だけが若返っていたことでしょう。
タモリさんやビートたけしさん、明石家さんまさんらは、今も第一線で活躍されています。彼らは、テレビを戦場にして売れて、生き残ってきました。一方で、私は舞台が主戦場です。地方の隅々まで行って、私は私なりに自分のテリトリーを守ってやってきた。そういう自負はあります。
それが、コロナ禍でパタリと止まってしまった。これは正直、かなりショッキングな出来事なのです。
私にはウーバーイーツはできませんが
若いアーティストは、リモート配信ライブなど、実験的なことをやるかたがいますけど、私なんて「リモート? イモート? 私には妹はいません」なんて調子ですからね。生活スタイルも顔もアナグマな私は、アナログな生活を送っているわけです。
『我が家は前からソーシャル・ディスタンス』(著:綾小路きみまろ/マキノ出版)
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中高年の芸人が舞台に立てないのは、非常につらいことです。急に老け込む芸人さんもいるでしょうね。
コロナの影響で、仕事が激減した芸人も増えたと聞きます。20~40代だったら、ウーバーイーツなどのアルバイトでしのげるかもしれません。

しかし、私ぐらいの年齢となると、そうもいきません。想像してみてください。私がピザやらラーメンやらを宅配しに来たら、注文した人も卒倒するか、爆笑するでしょう。
そもそも、ヘルメットを被ってバイクになんて乗れませんよ。ただでさえ被り物をしているのに、万が一、お客さんの前でヘルメットを脱ぐようなことがあったら、もろとも……ああ、絶対にウーバーイーツだけはできません!!
もちろん、コロナ禍への嘆きもありますけど、いい方向に考えると、自分たちが今、こういう時代を生きていることは、コロナが私たちに、自分を見つめ直す時間を与えてくれたのかなと思います。
時間を持て余した私が再開した<農耕接触>
私にとって、コロナ禍でいちばん変わったことと言えば、私のライフワークであった畑仕事への熱が復活したことでしょうか。
40代の頃、私は山梨県の河口湖に家を建てました。そして毎年、畑でさまざまな野菜を育ててきました。畑仕事への熱が冷めたわけではなかったのですが、忙しくて時間がなかなか取れない時期が続いていたのです。
ところが、コロナ禍で公演がバタバタと延期・中止になっていったのが2020年の2~3月頃のこと。これがちょうど、畑を耕す時期と重なっていました。

そこで、自宅にこもって、再び野菜づくりに精を出すことにしたのです。土に還る前の土いじりですね。

綾小路きみまろさん「カボチャ、ナス、ニンジン、大根など植えました。土に還る前の土いじりですね。」(写真:本社写真部)
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富士山の残雪が、春が近づくにつれて鳥のような形に浮かび上がる時期があります。地元では「農鳥(のうとり)」と呼ばれて、近隣の農家にとっては、それが見える頃が畑を耕し始めるサインになっています。江戸時代から続く地元農家の習慣だそうです。
私もその農鳥を確認して、カボチャ、ナス、ニンジン、大根などなど、いろんな野菜を植えました。
日本に新型コロナウイルスがやってきて、世の中が騒がしくなっていた頃、私は濃厚接触ではなく《農耕接触》していたわけです。
家庭菜園で儲けや得を期待するのはやめよう
農作業の真髄といえば、作物とともに自分が成長できること。成功や失敗なんて関係ない。「生き物を育てているんだ!」と実感できるのが醍醐味(だいごみ)ですね。
そして、採れたての野菜は、料理上手な妻の手によって、さまざまな絶品料理に様変わりします。私は青虫か毛虫か! ってぐらい、野菜のオンパレードなのです。
それを毎回、おいしく、ありがたくいただいております。

「家計を助けるために家庭菜園をやろう!」なんていう下心など、持ってはいけません(写真はイメージ。写真提供:写真AC)
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ある一般男性から、家庭菜園について、こんな嘆きを聞かされたことがあります。
そのかたは私に刺激を受けて、農作業をしてみたいと思って家庭菜園を始めました。農地は役所が貸してくれて、レンタル料は一区画で1年・1万円だったそうです。
ところが、100円で買ってきたキャベツの苗を春に植えて、夏にようやく育ったキャベツは虫食いだらけで、見るも無残!
奥様には「そんなものは食べられない」と拒否されて、結局、その日にスーパーで1玉99円の、キレイで大きなキャベツを買う羽目に……。育てたキャベツは食べてもらえず、結果はマイナス1円と長期間の苦労のみだったそうです。
家庭菜園の基本は、儲けや得を期待しないことが大切です。しょせん、素人が作る野菜なんて量もわずかだし、見た目も悪い。「家計を助けるために家庭菜園をやろう!」なんていう下心など、持ってはいけません。
私もかつてそうでした。
家庭菜園を始めた頃は、育ったニンジンや大根が小さくて、細い。ところがスーパーに行くと、皮肉にも、立派な農産物が安く売っているんです。
スーパーの野菜を買って帰って、夜中にこっそり自分の畑に行って差し込もうかと、泣きたくなるほどみじめな計画を画策したこともありました。「こんな立派な大根ができました!」と、近所に配って見栄を張ろうとしてね。
それで、スーパーの立派な野菜を見てガックリきた私は、「ああ、やっぱり簡単にお金は入ってこないんだ。俺には漫談しかないんだな」と、改心したわけです。
作物を作る喜び、育てる喜びを知ってほしい
え、最後だけいい話のようにまとめやがったな、と思われましたか?
いやいや、本当に、それほど一から野菜を育てるというのは、簡単なことではないのです。精魂込めて作った野菜を、山から下りてきたサルが精魂込めて食べている、なんてこともザラですからね。
育てる楽しみがあり、その上健康にも(写真はイメージ。写真提供:写真AC)
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だから、もし家庭菜園を始めようとお考えの皆様は、まずは雑念を捨てて、純粋に土いじりを楽しみ、作物を作る喜び、育てる喜びを知ってほしいですね。

ちなみに、血圧が200くらいあった私の知り合いは、畑を耕すようになって、なんと120まで下がったといいます。おかげで薬も飲まなくなり、今でも「楽しい、楽しい」と、毎日のように畑に出ているそうです。実に健康的な趣味ですね。
「土いじりは嫌い。だって汚れるんだもん」
そんなことを言うご婦人もいらっしゃるかもしれません。
でもご安心ください。奥様だって、久々にお化粧をしたら、ご主人が思わず後ずさりしていたでしょう。ですから、ファンデーションも泥も大差ありませんよ!
人生は死ぬまでのひまつぶし
泥まみれになって、心地よい疲れを味わう……まずはプランターで苗を育てるところからでもけっこうです。ぜひ、土いじりの魅力を体感してほしいと思います。
40代の頃、私は畑を耕しながらネタを練習しては、全国のパーキングエリアに出向いて観光バスの添乗員さんたちに、私の漫談を録音したカセットテープを配っていました。
これが次第に口コミで話題となり、2002年にCDをリリースし、ブレイクすることができました。

キャバレーで司会業をしていた頃から始まった、長い30年間の下積み時代を経てのブレイク。「潜伏期間30年」の経験が糧(かて)となり、今の私があります。
不思議なものです。「自給自足の生活も悪くないな」と思っていたらブレイクして、ほとんど畑に行けなくなった。ところが、コロナ禍になり、再び畑と向き合えるようになったのです。
濃厚接触を避けて農耕接触ができるようになったのは、運命のいたずらなのかもしれません。
人生は死ぬまでのひまつぶし。コロナで世間はまだ混乱していますが、もう少し前向きに、気楽に生きていこうと思います。
※本稿は、『我が家は前からソーシャル・ディスタンス』(マキノ出版)の一部を再編集したものです。
『我が家は前からソーシャル・ディスタンス』(著:綾小路きみまろ/マキノ出版)
大人気漫談家・綾小路きみまろ、70歳を迎えて書き下ろした最新エッセイが誕生。抱腹絶倒! 愛ある毒舌を交えながらシニア世代のお悩みをズバッと解決&最新爆笑ライブも紙上再現!
『我が家は前からソーシャル・ディスタンス』
作者:綾小路きみまろ
出版社:マキノ出版
発売日:2021/11/15

出典=『我が家は前からソーシャル・ディスタンス』(著:綾小路きみまろ/マキノ出版)
綾小路きみまろ
漫談家、落語協会会員
1950年、鹿児島県生まれ。司会者を目指し上京。その後、キャバレーの司会者や森進一、小林幸子、伍代夏子ら演歌歌手の専属司会者を経て、2002年にCD『綾小路きみまろ 爆笑スーパーライブ第1集! 中高年に愛を込めて…』をリリース。185万枚超の売り上げを記録し、以降「中高年のアイドル」としてライブをはじめ、各メディアで活躍

「空腹」が老化を遅らせる! 最新研究で分かった老化を制御する食事術

2022-01-02 08:30:00 | 日記
下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

ここ数年、老化や寿命のメカニズムが解明されて抗老化研究が急速に進み、「老化の進行を遅らせること」が現実のものとなる日が近づいている。臓器の中にたまった老化細胞を除去する薬の開発などと並行して、誰でも実践できそうな老化制御法の研究も進んできた。最新のサイエンスで分かってきた、老化の制御に欠かせない食事のとり方や食品とはどのようなものなのか? 世界の抗老化研究に詳しい慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室特任講師の早野元詞さんに解説してもらった。

古くから老化を抑える効果が知られていた「カロリー制限」
「老眼で近くの文字が見えにくい」「寝つきが悪い」「白髪やしわが増えた」……。そんな老化現象を実感する前から、徐々に細胞レベルでの老化は始まっている、ということを本特集の第1回ではお伝えした。できる限り細胞レベルの老化を抑え、年を取っても病気にならずに元気に過ごしたいと考える人は多いのではないだろうか。
「小中高校時代の同級生でも20~30代以降になると、学生時代とあまり変わらない人と年老いて見える人の差が開いてくるように、人によって、また臓器によって、老化が進むスピードは異なります。細胞レベルで、命の回数券とも呼ばれるテロメアの短縮、遺伝子発現の状態の変化(エピジェネティックな変化)や細胞老化など、複合的変化が起こって徐々に臓器や身体的な機能、認知機能が低下していくのが老化です」と早野さんは説明する。
老化の原因として考えられること


老化の主な原因として考えられている9つの要素。出所:Cell. 2013 Jun 6;153(6):1194-217.を基に作成
早野さんは、慶應義塾大学医学部で老化の原因解明と治療法の開発を行う抗老化研究者の一人だ。世界的なベストセラー『LIFESPAN(ライフスパン) 老いなき世界』の著者で、「健康なまま120歳まで生きられる時代が近づいている」と説く、米ハーバード大学医学大学院のデビッド・シンクレア教授(遺伝学)の研究室で抗老化研究に取り組んだ経験を持つ。
抗老化研究とは、老化や寿命の仕組みを解明し、細胞レベルでの老化を抑え、心臓病やがん、認知症、サルコペニア(筋肉減少症)などの加齢性疾患を防いで健康寿命をできるだけ延ばすための具体的な方法を探るというものだ。
寿命に寄与している老化制御遺伝子として、アルツハイマー型認知症の発症リスクと関係があるAPOE、活性化していると長寿になるFOXOなどが知られており、「老化のスピードや寿命は、生まれる前から遺伝によって大体決められている」と思っている人も多いかもしれない。しかし国内外の研究により、老化のスピードや寿命の長さへの「遺伝」の影響は15~25%程度で、実は「生活習慣や環境」の影響が大きいことが分かってきた。
では、どのような生活習慣や環境なら、老化の進行を遅らせられるのか? 世界中の研究結果から信頼性の高い老化制御法として、米国立老化研究所(NIA)が2014年に発表したのが「ライフスパンを延ばす7つのメソッド」(次ページの表)だ。
中でも注目されるのは、免疫抑制剤のラパマイシン、糖尿病の治療薬としても使われ老化細胞を除去する効果が期待されるメトホルミンなどの薬剤と並んで、食に関する項目が4つも挙げられていることだ。
薬剤のラパマイシンは、とると寿命が延びることがマウスの実験で分かっており、また、メトホルミンは糖尿病ではない高齢者を対象にした臨床試験でも心血管疾患など老化に伴って増える病気が減り健康寿命が延びる可能性が示されている。これらをもとに現在、米国では、ヒトに対するメトホルミンの老化制御効果を見る検証研究TAME(Targeting Aging with MEtformin)が行われている。どちらの薬剤も抗老化効果が期待されているが医師の処方が必要で、健康な人が服用することはできない。

老化防止には「プラス15分」の運動を 光との付き合い方もポイントに

有酸素運動が長寿遺伝子のサーチュインを活性化させる酵素を増やす
「最近忘れっぽい」「老眼で近くの文字が見えない」――。こうした老化現象を本人が意識する前から、実は、細胞レベルでの老化は始まっている。この老化のスピードには、遺伝以外の要因が強く影響しており、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも寿命には違いがあることや、見た目が老けていると若々しい人より早死にする確率が高く、体の中の老化も進んでいる可能性があることが分かってきた。
信頼性の高い老化制御法として、世界中の研究成果を基に米国立老化研究所(NIA)が2014年に発表したのが、前回紹介した「ライフスパンを延ばす7つのメソッド」(*1)だ。NIAは、マウスで寿命を延ばす効果が示されている免疫抑制剤の「ラパマイシン」、体の中にたまった老化細胞を除去する可能性がある「メトホルミン」といった薬剤とともに、食に関する項目を4つ挙げている。

Cell. 2014 Jun 19;157(7):1515-1526.を基に作成
その4つとは、栄養バランスを損なわずに1日の摂取カロリーを抑える「カロリー制限」、1カ月のうち5日間だけ食事の摂取量を減らすなどの「断食」、赤ワインなどに含まれるポリフェノールの「レスベラトロール」、納豆などの発酵食品に多く含まれる食品成分の「スペルミジン」だ。
2014年以降の抗老化研究によって、長寿遺伝子のサーチュインを活性化させる「NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)」や「NR(ニコチンアミドリボシド)」といったサプリメントや、鶏の軟骨や皮、牛スジなど動物性コラーゲンに多く含まれるアミノ酸の「グリシン」も、摂取によって健康寿命を延ばすことが期待されている。
「空腹になってから食事をとり、腹八分目を心がけるだけでも、使用済みとなったタンパク質をリサイクルするオートファジーという機能が働き、長寿遺伝子のサーチュインが活性化して老化の進行抑制を期待できます」と早野さんは説明する。
そして、もう一つ、NIAが「ライフスパンを延ばす7つのメソッド」の中で、心血管疾患、糖尿病、サルコペニア(筋力低下および身体機能の低下)、うつ病を予防し、健康寿命や最大寿命を延ばす方法の一つとして勧めているのが、運動だ