「身の丈」経営,「身の程」人生

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かごしまの茶問屋「下堂園」にみる時代対応

2011-05-28 07:36:56 | 九州の流通業界(商業・サービス)

*「本稿は,2011-05-27 00:06:21掲載原稿を加筆・修正した第2稿です。」

 1954年創業の日本茶問屋「下堂園」( http://www.shimo.co.jp しもどのえん)。鹿児島茶の販路拡大と,深蒸し茶の製造技術に傾注し,1970年代初めには年商3億円の中堅企業へと成長した。同社は農家との連携を図り,世界に通じる有機緑茶を開発。いち早く欧州連合(EU)や米国に進出し,現在は台湾,ロシア,さらにはアジア圏への進出を目指している。

 ◆下堂園の概要
 ・本社:鹿児島市卸本町518
 ・創業:1954(昭和29)    資本金;2300
  
日経ビジネス09年10月12号「隠れた世界企業 下堂園」-p66に同社の足跡が紹介されています。

 ▼時代対応の成長のカギ--農商連携--
 茶の良し悪しは,茶葉できまる。同社は南薩摩の生産農家と共同で,茶葉の栽培方法や製茶方法の改善に取り組んでいる。渋くて苦いと言われた品種「ゆたかみどり」を深蒸しし,自社工場の火入れ乾燥技術を用いて焙煎香がつくほどの強い火を入れたところ,コーヒーのように強い香りとのどごしが生まれたという。
   

 鹿児島の茶業が飛躍的に成長したのは1960年代以後である。官民一体となって栽培の促進や生産現場の機械化,流通の改善が実り,70年代には静岡に次ぐ国内第2位の茶所へと発展した。

   .静岡の壁を打ち破れ
 下堂園の創業当時,「茶は静岡が一番」とのイメージが強く,鹿児島茶の市場浸透は容易ではなかった。そこで考案したのがサンプリング作戦である。数万個に及ぶサンプルを用意し,小売店を通じて消費者に無料で配布した。この効果は絶大で,全国の消費者を惹きつけることできた。

 小売店との関係強化にも腐心した。茶の特性や味をすべて頭の中に刻み込んだうえで,その要望に合う茶を提案するというオーダーメード型の販売を通じて小売店との信頼を築いていった。この取り組みが功を奏し,小売店も品質の高さを認め,同社との取引量を増やすようになった。

 2.海外進出
 1991年,ドイツ・ケルンのアヌーガ世界食品メッセへの出展が,ドイツ食品企業の目にとまり,海外取引が本格化した。だが,ドイツは残留農薬規制が厳しく、日本国内で販売している茶の輸出は難しい事が判明した。そこで,系列農家の力を借り、有機栽培に取り組んだ。当初は難航したが,95年にはEUオーガニック認証を取得し、98年にはドイツ企業との共同出資で現地法人を設立した。

 中国製品をはじめ,廉価品の多い欧州市場にあって,「残留農薬」の無い【下堂園】の茶は,日本円に換算して100g当たり1700円~2500円と34倍高い評価と信用を得ている。現在,海外の売上高は4000万から5000万円ほどであるが,将来はアジア,ロシア市場への進出により1億円達成を目指している。

 3.国内市場の動向
 2010年の売上高は約45億円。純利益1億円を上げているが,前期に比べ7億円の減収。プライベートブランドなどの台頭もあり、業務用茶葉は市場価格が将来の半値程度に落ち込んでいる。加えて一般家庭向けなどリーフの市場も年々縮小傾向にある。茶をいれて飲む習慣も年々薄れていることもあって,国内市場の先行きは不透明である。

ブランド構築で販路拡大 -主婦予備軍である若い女性の囲い込みだ。
 2006年にはお茶の水女子大学公認の食のサークル「Ochas(オチャーズ)」と共同で新ブランドを立ち上げた。「ゆず&ミント緑茶」「ハーブ&焙茶」といった日本茶と有機ハーブなどを組み合わせた商品で,若年層の掘り起こしを試みている。

 4.茶の魅力を世界へ、商品開発を強化
 人口減少やリーフ茶離れと,市場環境は厳しさを増すばかりである。こうした中にあって同社専務・下堂薗元氏は,「お茶の社会的役割は何か,鹿児島や世界の為に出来ることは何かを、常に問い続けている」と語っている。そして、原料販売は主であったが、現在は「茶の魅力を世界に」をコンセプトにして、「生姜紅茶」や「ミント緑茶」などの商品を開発に力を入れている。さらにインターネット直販の強化にも取り組んでいるとのことである。下堂薗元専務は,「新しい事を創造しないと組織は伸びない」とも力説している。

            ≪Source 鹿児島国際大学ニュース 2011228日≫
                     
 ≪参考 隠れた世界企業 有機で拓く鹿児島茶の道 日経ビジネス 091016日号 ≫

鹿児島産の知名度ブランド力はいまいち――
 鹿児島県の茶生産量は,静岡県に次ぎ全国2位であるが,全国的な知名度は低い。鹿児島茶の認知度向上が当面の課題でもある。

 検索エンジンGoogleで,「静岡茶」「鹿児島茶」「宇治茶」および「狭山茶」を検索してみた。そのヒット件数は以下のとおりである。

 
静岡茶―976,000     宇治茶―1,430,000件   狭山茶―234,000件   鹿児島茶―7,370,000件

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⇒ 関連HP ⇒ エリアマーケティング
⇒ 関連HP ⇒ 県民性-風土記

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