老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

朝日新聞にもの申す

2012-01-09 16:20:39 | マスコミ報道
9日の社説、「小沢氏公判―国民との約束を果たせ」の不見識には驚かされた。先ず裁判の公判中は裁判当事者のどちらにも付かず公判を静観するのがメディアの公正な在り方であろう。それが11、12日の小沢被告人尋問を見据えたタイミングでの社説の内容である。

http://www.asahi.com/paper/editorial20120109.html

社説で特に問題なのは、純粋に裁判上の争点に焦点を当てずに、今後の政局を睨んで朝日の反小沢の姿勢と思惑がかいま見えるところである。しかも朝日の小沢潰しは過去2年間の報道でも明らかである。

今日の社説の力点を探れば、小沢氏から陸山会へ貸し付けられた4億円の出所についてであろう。それについては既に東京地検特捜部が水谷建設からの1億円の裏金献金が4億円の一部に含まれているとの見立てで先ず秘書を逮捕し、陸山会事務所も家宅捜査し、そのうえ小沢氏にも事情聴取したが贈収賄は立件できず、不起訴にしているのである。

具体的には別件逮捕の水谷建設元社長が陸山会の秘書へ献金したとの供述が小沢氏の4億円の一部との検察のストーリと言われてきたが、この現金授受も当事者間で「渡した、貰っていない」の水掛け論に終始し、新たな事と言えば、大久保元秘書を取り調べた前田元検事が小沢裁判の証人尋問に立ち、「水谷建設の社長から2,300万円が大久保秘書へ渡され、大久保は金額も少なくそれは自分への謝礼としてもらった。」(産経新聞報道)と述べたというもので、これではそれが秘書から小沢氏へ渡り4億円の一部になったとの証拠にはほど遠い。

この現金授受は誠に奇怪で、水谷建設の会長は5千万円が2回に分けて会社から社長へ支出されたことは事実であるが、社長から陸山会秘書に渡されたかは分からないと言い、石川秘書と大久保秘書も貰っていないと言い、前田元検事は大久保秘書の取り調べで、2,300万円は自分自身への謝礼として貰ったと大久保秘書は述べたと証人尋問で答え、全く不可解である。しかし政治家の秘書が役得という一種の独自裁量で自分の懐に納めることはあり得るであろう。それにしても残りの金額がどこに消えたのか、現金の行方が起訴目的、捜査対象に成っていないのでメディアの追求も限界であろう。

そして小沢への献金を立件できなかった検察は、やむなく政治資金報告の手法が年をまたいで報告されていることが政治資金規正法違反(虚偽記載)に当たるということで3人の秘書を起訴し、その秘書等が年をまたいでの期ずれ報告を小沢氏の諒解も得ていたとのストーりーを組立て、供述調書の一部を捏造して、検察審査会の強制起訴を引き出したのが今回の小沢裁判の実態であることが、前田受刑囚(元大阪地検特捜部の検察官)や石川被告担当検察官等の証人尋問でも明きらかに成りつつある。

それでも朝日新聞は小沢氏の4億円の出所にゼネコンマネーの混在を疑うのであれば、社会部記者を総動員してどのゼネコンからの裏金献金が4億円に含まれているのか、確たる証拠を把握してそのゼネコンと小沢氏を贈収賄で告発すればよいのである。検察は当時総力を上げて東北地方で力を持つ大手ゼネコンや関連下請け会社を家宅捜査して小沢氏への献金を立件できなかったが、それを上回る取材能力を発揮して欲しいものである。またそうでもしないかぎり、4億円の出所を裁判で小沢氏に質し証言させることは出来ないであろう。

今回の検察官役の指定弁護士による起訴は、政治資金規正法に基づく報告が遵守されたか否かであり、遵守されていないとの前提で、それを小沢氏が秘書等から報告を受けて諒解したか否か、即ち期ずれ報告の共犯、共謀があったか否かの裁判であり、4億円にゼネコンからの贈収賄が含まれているか否かの裁判ではない。おそらく今回指定弁護士も4億円の出所まではお門違いで追求しないであろ。例え追求しても、「自分の金」であると答えられれば、それで終わりであろう。これ以上追求しても期ずれ報告の共犯共謀の立証には無関係である。

それを追求したければ、朝日新聞がゼネコンと小沢氏の贈収賄を突き止め、告発し、検察が起訴して、はじめて裁判で4億円の収支にゼネコンからの裏金が混入していない立証責任を小沢氏が負う筈である。よって小沢氏の被告人尋問に引っかけての、「小沢氏公判―国民との約束を果たせ」との社説は、あたかも4億円の出所の立証責任があるかのように読者を思いこませる反小沢世論操作の一環であり噴飯社説である。

因みに期をまたいでの政治資金報告が虚偽報告に該当するか否かについて、会計学の専門家として小沢裁判に証人として出廷した筑波大学教授は、土地購入の本登記が期をまたいで成されたのであれば、その期に準じて政治資金報告が成されても違法とは言えない旨の証言(産経新聞記事)をしたと報じられており、このことから見ても小沢裁判の核心は4億円の出所の問題でないことは明らかである。

そして小沢氏の弁護側は筑波大学教授の証言と石川秘書を取り調べた検事の供述調書に捏造が発覚したことを取り上げ、指定弁護士の強制起訴を棄却するように求めていることは朝日新聞も先刻承知な筈である。

かつて陸山会が西松建設からの政治献金で捜査されていた頃、自民党の複数議員も同じく西松建設から政治献金を受けていたことは朝日も報じていたとおりである。しかしそれはニュースとしてだけで、非難記事は陸山会一辺倒だあったことは自他共に認めるところであろう。そして陸山会だけが捜査され他は不問にされた不条理と不公正について、朝日はダンマリ、ノーコメントですまして来たように思う。その延長線での今回の社説ではないかと想像するが、裁判の本質からいえば的はずれもいいところである。

「護憲+BBS」「マスコミ報道を批評する」より
厚顔の美少年

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