🔸米国の狙い プーチンの悪魔化、ロシアの「北朝鮮化」が目的
ロシアのウクライナ侵攻は、先進国メディアのプーチン袋叩き状況を招き、事態の本質的考察は望むべくもない。欧米各国のソ連(共産主義)アレルギーはいまだに深いと言わざるを得ない。米国以外の欧州各国には、北の白熊を起こしたといういくばくかの後悔もあるだろう。
しかし、現在の欧州メディアの状況を見ると、第三次世界大戦(核戦争)の瀬戸際に立っているという恐怖が先にたち、冷静な議論がなされていない。プーチンの目の吊り上がった形相から推察される本気度が戦争への切迫感を駆り立て、欧州各国の対応もヒステリックにならざるを得ない。
同時にロシアという国家がこれからどう生きていくかを考えれば、現時点では暗澹たる結果しか予測できない。現時点でもロシア経済規模は日本の1/4。戦争がどのような結末で終わるにしろ、バラ色の未来はあまり期待できない。最悪、巨大な北朝鮮的国家の誕生も覚悟しなければならない。
しかし、これは同時にヨーロッパ諸国が、隣国に巨大な北朝鮮的国家を抱え込むことも意味する。常に一触即発の危機(核戦争)を抱え込むことを意味する。いずれにしても、欧州各国の21世紀は、常住坐臥、いつ爆発するかわからない爆弾のような危機を抱え込んで生きていかざるを得なくなる。
一方、ウクライナ侵攻に対する米国と米諜報機関の狙いは、ほぼ達成された、と言って良い。一つは、ロシアを世界の異端児に仕立て上げる。ありていに言えば、「ロシアの北朝鮮化」である。
そのためのウクライナ政府に対する援助であり、ロシア政府(プーチン大統領)に対するマイダン革命(2014年)以降のあからさまな挑発だった。同時にNATO加盟各国が核戦争への恐怖に駆り立てられ、否応なく団結をせざるを得ない状況も米国の狙い通り。
さらに言えば、ノルドストリーム2の停止に象徴されるドイツの経済的衰退も米国の狙いの一つ。メルケル前首相に象徴されるEU域内におけるドイツの存在感の増大は、米国にとっては目の上の瘤。今回のロシアのウクライナ侵攻を梃子にドイツのエネルギー調達に大きなハードルを課せば、ドイツ経済は停滞せざるを得ない。それにつれ、ドイツのEU域内における存在感も縮小する。
さらに、どのような結果(ウクライナが降伏しようがロシアが撤退しようが)であろうと、ロシアの衰退(北朝鮮化)は決定的。そんな危険な国家を隣に持ったEU各国も軍事に金をとられ、経済的には苦境に陥る可能性が高い。それも、衰退化しつつある米国にとっては好都合。
ウクライナの永遠の不安定化。それに伴うロシアの北朝鮮化。結果としてのEUの縮小と不安定化。これが米国の狙い。今のところうまく行っている。米国抜きには欧州の平和が保てない現実が否応なく作り出す結果になった。
何度も書いて恐縮だが、米英アングロサクソン連合の地政学的目標は、ユーラシア大陸の縁(海岸線沿い)を掌握し、大陸国家を締め上げ、ユーラシア大陸内部に閉じ込めておくこと。現在に至るまで、米英の地政学的目標は、これに尽きるといってよい。米国にとってのNATOの目的は、この地政学的目標を実現するための道具に尽きる。この視点で今回のウクライナ危機を見ておかないと、危機の本質を見抜けない。
🔸日本メディアの惨状
日本メデxイアのウクライナ危機の報道姿勢は、お粗末以外に言葉もない。朝から晩までプーチン批判一色。完全な集団ヒステリーにかかったようだ。戦前もそうだったが、どうも日本人は危機に陥ると「集団ヒステリー」に陥りやすい国民性があるようだ。
これまでは冷静な論議を展開できる論客だと見ていた人まで感情丸出しの議論をしている。まるで戦前の“鬼畜米英”プロパガンダの現在版。“大政翼賛会”風潮とは現在のような社会の状況を指すのだと言う事が良く分かる。
以前わたしは南米における米国の浸透方法について書いた事がある。優秀な若者を米国で勉強させ、それを本国に送り返し、その若者が本国で重要な地位につけるよう支援する。若者が権力機構に組み入れられたら、彼を通じてその国の政策を米国有利になるように誘導する。アルゼンチンなどの「新自由主義的改革」もすべてそのように行われた。
日本も例外ではない。現在、メディアで活躍している評論家や学者と称されるコメンテーターの大半がそうだと言っても良い。本人が意識しているかどうかは大した問題ではない。彼らの世界認識の多くが欧米(特に米国)に深く影響を受けている。今回のような危機の時にその本質が浮き彫りになる。
現在のメディア論調は、アプリオリ(先験的)にロシア=悪、欧米・ウクライナ=善、という図式で報道されている。典型的な「プーチン悪魔化」論調である。
わたしから見れば、これらのメディア論調は、大半が米諜報機関の論調の垂れ流しであり、相当バイアスがかかっている。話半分に聞いておかないと顎を食い違える。
冷静に考えれば、ウクライナとロシアの紛争なのだから、通常なら、欧州メディアを中心に放送される。ところが、ニュースの大半は、米国政府や米諜報機関発表に頼っている。旧東欧諸国やロシアのニュースを米国発表ニュースに寄りかかって報道する。こんな状況を不思議と思わない自らの感性を疑うところから、今回のウクライナ・ロシアの問題を見なければならない。
要するに米諜報機関は、ロシア軍の行動を空から監視し、同時に様々なルートからプーチン政権や軍の指導部の計画などを逐一監視している。かなり、ロシア政権内部に食い込んでいると見ざるを得ない。これが世界の現実だという事を示している。
ウクライナ軍の善戦健闘が報道されているが、要は米軍の情報によってロシア軍の攻撃などを事前に知らされていることが大きい。つまり、現場で戦っているのはウクライナ軍だが、実は、ロシア軍と米軍が戦っているといってよい。それだけウクライナにおける米国の影響が大きい、という事である。
ウクライナ関連のニュースを見るときは、まずこの点をきちんと踏まえてみなければ、簡単に騙される。
「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
ロシアのウクライナ侵攻は、先進国メディアのプーチン袋叩き状況を招き、事態の本質的考察は望むべくもない。欧米各国のソ連(共産主義)アレルギーはいまだに深いと言わざるを得ない。米国以外の欧州各国には、北の白熊を起こしたといういくばくかの後悔もあるだろう。
しかし、現在の欧州メディアの状況を見ると、第三次世界大戦(核戦争)の瀬戸際に立っているという恐怖が先にたち、冷静な議論がなされていない。プーチンの目の吊り上がった形相から推察される本気度が戦争への切迫感を駆り立て、欧州各国の対応もヒステリックにならざるを得ない。
同時にロシアという国家がこれからどう生きていくかを考えれば、現時点では暗澹たる結果しか予測できない。現時点でもロシア経済規模は日本の1/4。戦争がどのような結末で終わるにしろ、バラ色の未来はあまり期待できない。最悪、巨大な北朝鮮的国家の誕生も覚悟しなければならない。
しかし、これは同時にヨーロッパ諸国が、隣国に巨大な北朝鮮的国家を抱え込むことも意味する。常に一触即発の危機(核戦争)を抱え込むことを意味する。いずれにしても、欧州各国の21世紀は、常住坐臥、いつ爆発するかわからない爆弾のような危機を抱え込んで生きていかざるを得なくなる。
一方、ウクライナ侵攻に対する米国と米諜報機関の狙いは、ほぼ達成された、と言って良い。一つは、ロシアを世界の異端児に仕立て上げる。ありていに言えば、「ロシアの北朝鮮化」である。
そのためのウクライナ政府に対する援助であり、ロシア政府(プーチン大統領)に対するマイダン革命(2014年)以降のあからさまな挑発だった。同時にNATO加盟各国が核戦争への恐怖に駆り立てられ、否応なく団結をせざるを得ない状況も米国の狙い通り。
さらに言えば、ノルドストリーム2の停止に象徴されるドイツの経済的衰退も米国の狙いの一つ。メルケル前首相に象徴されるEU域内におけるドイツの存在感の増大は、米国にとっては目の上の瘤。今回のロシアのウクライナ侵攻を梃子にドイツのエネルギー調達に大きなハードルを課せば、ドイツ経済は停滞せざるを得ない。それにつれ、ドイツのEU域内における存在感も縮小する。
さらに、どのような結果(ウクライナが降伏しようがロシアが撤退しようが)であろうと、ロシアの衰退(北朝鮮化)は決定的。そんな危険な国家を隣に持ったEU各国も軍事に金をとられ、経済的には苦境に陥る可能性が高い。それも、衰退化しつつある米国にとっては好都合。
ウクライナの永遠の不安定化。それに伴うロシアの北朝鮮化。結果としてのEUの縮小と不安定化。これが米国の狙い。今のところうまく行っている。米国抜きには欧州の平和が保てない現実が否応なく作り出す結果になった。
何度も書いて恐縮だが、米英アングロサクソン連合の地政学的目標は、ユーラシア大陸の縁(海岸線沿い)を掌握し、大陸国家を締め上げ、ユーラシア大陸内部に閉じ込めておくこと。現在に至るまで、米英の地政学的目標は、これに尽きるといってよい。米国にとってのNATOの目的は、この地政学的目標を実現するための道具に尽きる。この視点で今回のウクライナ危機を見ておかないと、危機の本質を見抜けない。
🔸日本メディアの惨状
日本メデxイアのウクライナ危機の報道姿勢は、お粗末以外に言葉もない。朝から晩までプーチン批判一色。完全な集団ヒステリーにかかったようだ。戦前もそうだったが、どうも日本人は危機に陥ると「集団ヒステリー」に陥りやすい国民性があるようだ。
これまでは冷静な論議を展開できる論客だと見ていた人まで感情丸出しの議論をしている。まるで戦前の“鬼畜米英”プロパガンダの現在版。“大政翼賛会”風潮とは現在のような社会の状況を指すのだと言う事が良く分かる。
以前わたしは南米における米国の浸透方法について書いた事がある。優秀な若者を米国で勉強させ、それを本国に送り返し、その若者が本国で重要な地位につけるよう支援する。若者が権力機構に組み入れられたら、彼を通じてその国の政策を米国有利になるように誘導する。アルゼンチンなどの「新自由主義的改革」もすべてそのように行われた。
日本も例外ではない。現在、メディアで活躍している評論家や学者と称されるコメンテーターの大半がそうだと言っても良い。本人が意識しているかどうかは大した問題ではない。彼らの世界認識の多くが欧米(特に米国)に深く影響を受けている。今回のような危機の時にその本質が浮き彫りになる。
現在のメディア論調は、アプリオリ(先験的)にロシア=悪、欧米・ウクライナ=善、という図式で報道されている。典型的な「プーチン悪魔化」論調である。
わたしから見れば、これらのメディア論調は、大半が米諜報機関の論調の垂れ流しであり、相当バイアスがかかっている。話半分に聞いておかないと顎を食い違える。
冷静に考えれば、ウクライナとロシアの紛争なのだから、通常なら、欧州メディアを中心に放送される。ところが、ニュースの大半は、米国政府や米諜報機関発表に頼っている。旧東欧諸国やロシアのニュースを米国発表ニュースに寄りかかって報道する。こんな状況を不思議と思わない自らの感性を疑うところから、今回のウクライナ・ロシアの問題を見なければならない。
要するに米諜報機関は、ロシア軍の行動を空から監視し、同時に様々なルートからプーチン政権や軍の指導部の計画などを逐一監視している。かなり、ロシア政権内部に食い込んでいると見ざるを得ない。これが世界の現実だという事を示している。
ウクライナ軍の善戦健闘が報道されているが、要は米軍の情報によってロシア軍の攻撃などを事前に知らされていることが大きい。つまり、現場で戦っているのはウクライナ軍だが、実は、ロシア軍と米軍が戦っているといってよい。それだけウクライナにおける米国の影響が大きい、という事である。
ウクライナ関連のニュースを見るときは、まずこの点をきちんと踏まえてみなければ、簡単に騙される。
「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
