厚生労働省の労働政策審議会・安全衛生分科会の開催
厚生労働省の労働政策審議会・安全衛生分科会が2020年8月26日に開催され、議題は「副業・兼業を行う場合の健康確保措置について」。配布資料が公開されているが、資料1が副業・兼業に係る実態把握の内容等について、また資料2は副業・兼業を行う場合の健康確保措置について。
副業・兼業を行う場合の健康確保措置
*2020年8月26日に開催された労働政策審議会・安全衛生分科会の資料2「副業・兼業を行う場合の健康確保措置について」抜粋
安全衛生分科会における議論の概要 1
*前回分科会(8月19日)における議論の概要
〇副業・兼業の促進に関するガイドラインの見直しについては、以下のご指摘等があった。
・ 実質的に雇用労働である場合について、具体例を記載してはどうか。
・ 相談しやすい環境の整備について、記載を充実すべき。
・ 副業・兼業が使用者の指示による場合の記述がわかりにくい。
・ 労働時間の把握の方法については、申告以外の方法も考えられるのではないか。
・ 使用者の指示による副業・兼業は、関連企業だけでなく、学校法人等での兼業もある。複数の兼業先がある場合、それらの労働時間を本業の企業がすべて把握することは難しく、実態としては自己申告にならざるを得ないのではないか。
・ 副業・兼業先が偽装請負であったということがないよう、ハローワークにおいて適法性等の確認作業を経て公開されている求人の中から副業・兼業先を選択することができるようにすべき。
〇さらに議論が必要な事項については、以下のご指摘等があった。
・ 一般定期健康診断及びストレスチェックの対象となる労働者について、本業と副業・兼業先の労働時間を通算するという考え方のほか、事業場において同種の業務に従事する労働者の一週間の所定労働時間のおおむね二分の一以上に対象者を拡大することも検討対象になるのではないか。
・ 副業・兼業の際の健康確保については、自社の影響力がおよぶ範囲について実施すべきであり、本業と副業・兼業先の労働時間を通算するべきではない。
・ 有償のボランティアも副業・兼業に含まれるのか議論すべきではないか。
・ 生活のために副業・兼業をせざるを得ない者の中には、雇用でない形で就労している場合もあり、このような方の安全衛生の確保が新しい課題ではないか。
・ 事業者にハザードの除去を求める従来の安全衛生規制には限界があり、今後は、他法令の事例も参考にして、働いている人にハザードがあることを伝えていくことも必要になってくるのではないか。
副業・兼業を行う場合の健康確保措置の議論のまとめ(案)
副業・兼業を行う場合の健康確保措置の議論のまとめ(直ちに取り組む事項)
〇複数就業者の労災保険給付の見直しに係る改正労働者災害補償保険法の施行に併せ、副業・兼業の促進に関するガイドライン(以下「ガイドライン」という。)を見直す。具体的には、労働安全衛生関係では、以下の事項を規定することを検討。
・ 実質的に雇用労働である場合には、形式的な就労形態に関わらず、労働安全衛生法等が適用されること。違法な偽装請負の場合や、請負であるかのような契約としているが実態は雇用契約だと認められる場合等においては、就労の実態に応じて、労働基準法、労働安全衛生法等における使用者責任が問われる。
・ 労働者が労働時間等を申告しやすい環境を整備する観点から、副業・兼業に係る相談、自己申告等を行ったことにより、当該労働者について不利益な取扱いをすることはできないこと。
・ 健康確保の観点からも、他の事業場における労働時間と通算して適用される労働基準法の時間外労働の上限規制を遵守すること、また、それを超えない範囲内で自らの事業場及び他の使用者の事業場のそれぞれにおける労働時間の上限を設定する形で副業・兼業を認めている場合においては、自らの事業場における上限を超えて労働させないこと。
・ 使用者の指示により副業・兼業を開始した場合は、当該使用者は、原則として、副業・兼業先の使用者との情報交換により、それが難しい場合は、労働者からの申告により把握し、自らの事業場における労働時間と通算した労働時間に基づき、健康確保措置を実施することが適当であること、また、実効ある健康確保措置を実施する観点から、他の使用者との間で、労働の状況等の情報交換を行い、それに応じた健康確保措置の内容に関する協議を行うことが適当であること。
・ 使用者が労働者の副業・兼業を認めている場合は、健康保持のため自己管理を行うよう指示し、心身の不調があれば都度相談を受けることを伝えること、副業・兼業の状況も踏まえ必要に応じ法律を超える健康確保措置を実施することなど、労使の話し合い等を通じ、副業・兼業者の健康確保に資する措置を実施することが適当であること。
・ 労働者が副業・兼業先の求職活動をする場合には、就業時間、特に時間外労働の有無等の副業・兼業先の情報を集めて適切な就職先を選択することが重要であること。なお、適切な副業・兼業先を選択する観点からは、ハローワークにおいて求人内容の適法性等の確認を経て受理され、公開されている求人について求職活動を行うこと等も有効であること。
・ 労働者が使用者に対して他の使用者の事業場の業務量、自らの健康の状況等について報告することは、企業による健康確保措置を実効あるものとする観点から有効であること。
〇これまでの議論を踏まえると、ガイドラインの改正・施行後の検討事項として、以下の事項が考えられるのではないか。
・ 副業・兼業を行う労働者の健康確保措置の在り方について(一般定期健康診断及びストレスチェックの対象となる労働者)
・ 労働安全衛生関係施策、法令等を通じた統一的な本業、副業・兼業の定義について(健康確保措置の実施者の在り方について)
・ フリーランス等の新しい働き方への対応について(2020年8月26日に開催された労働政策審議会・安全衛生分科会の資料2「副業・兼業を行う場合の健康確保措置について」抜粋)
第133回労働政策審議会安全衛生分科会(資料)(厚生労働省)
厚生労働省の労働政策審議会・安全衛生分科会が2020年8月26日に開催され、議題は「副業・兼業を行う場合の健康確保措置について」。配布資料が公開されているが、資料1が副業・兼業に係る実態把握の内容等について、また資料2は副業・兼業を行う場合の健康確保措置について。
副業・兼業を行う場合の健康確保措置
*2020年8月26日に開催された労働政策審議会・安全衛生分科会の資料2「副業・兼業を行う場合の健康確保措置について」抜粋
安全衛生分科会における議論の概要 1
*前回分科会(8月19日)における議論の概要
〇副業・兼業の促進に関するガイドラインの見直しについては、以下のご指摘等があった。
・ 実質的に雇用労働である場合について、具体例を記載してはどうか。
・ 相談しやすい環境の整備について、記載を充実すべき。
・ 副業・兼業が使用者の指示による場合の記述がわかりにくい。
・ 労働時間の把握の方法については、申告以外の方法も考えられるのではないか。
・ 使用者の指示による副業・兼業は、関連企業だけでなく、学校法人等での兼業もある。複数の兼業先がある場合、それらの労働時間を本業の企業がすべて把握することは難しく、実態としては自己申告にならざるを得ないのではないか。
・ 副業・兼業先が偽装請負であったということがないよう、ハローワークにおいて適法性等の確認作業を経て公開されている求人の中から副業・兼業先を選択することができるようにすべき。
〇さらに議論が必要な事項については、以下のご指摘等があった。
・ 一般定期健康診断及びストレスチェックの対象となる労働者について、本業と副業・兼業先の労働時間を通算するという考え方のほか、事業場において同種の業務に従事する労働者の一週間の所定労働時間のおおむね二分の一以上に対象者を拡大することも検討対象になるのではないか。
・ 副業・兼業の際の健康確保については、自社の影響力がおよぶ範囲について実施すべきであり、本業と副業・兼業先の労働時間を通算するべきではない。
・ 有償のボランティアも副業・兼業に含まれるのか議論すべきではないか。
・ 生活のために副業・兼業をせざるを得ない者の中には、雇用でない形で就労している場合もあり、このような方の安全衛生の確保が新しい課題ではないか。
・ 事業者にハザードの除去を求める従来の安全衛生規制には限界があり、今後は、他法令の事例も参考にして、働いている人にハザードがあることを伝えていくことも必要になってくるのではないか。
副業・兼業を行う場合の健康確保措置の議論のまとめ(案)
副業・兼業を行う場合の健康確保措置の議論のまとめ(直ちに取り組む事項)
〇複数就業者の労災保険給付の見直しに係る改正労働者災害補償保険法の施行に併せ、副業・兼業の促進に関するガイドライン(以下「ガイドライン」という。)を見直す。具体的には、労働安全衛生関係では、以下の事項を規定することを検討。
・ 実質的に雇用労働である場合には、形式的な就労形態に関わらず、労働安全衛生法等が適用されること。違法な偽装請負の場合や、請負であるかのような契約としているが実態は雇用契約だと認められる場合等においては、就労の実態に応じて、労働基準法、労働安全衛生法等における使用者責任が問われる。
・ 労働者が労働時間等を申告しやすい環境を整備する観点から、副業・兼業に係る相談、自己申告等を行ったことにより、当該労働者について不利益な取扱いをすることはできないこと。
・ 健康確保の観点からも、他の事業場における労働時間と通算して適用される労働基準法の時間外労働の上限規制を遵守すること、また、それを超えない範囲内で自らの事業場及び他の使用者の事業場のそれぞれにおける労働時間の上限を設定する形で副業・兼業を認めている場合においては、自らの事業場における上限を超えて労働させないこと。
・ 使用者の指示により副業・兼業を開始した場合は、当該使用者は、原則として、副業・兼業先の使用者との情報交換により、それが難しい場合は、労働者からの申告により把握し、自らの事業場における労働時間と通算した労働時間に基づき、健康確保措置を実施することが適当であること、また、実効ある健康確保措置を実施する観点から、他の使用者との間で、労働の状況等の情報交換を行い、それに応じた健康確保措置の内容に関する協議を行うことが適当であること。
・ 使用者が労働者の副業・兼業を認めている場合は、健康保持のため自己管理を行うよう指示し、心身の不調があれば都度相談を受けることを伝えること、副業・兼業の状況も踏まえ必要に応じ法律を超える健康確保措置を実施することなど、労使の話し合い等を通じ、副業・兼業者の健康確保に資する措置を実施することが適当であること。
・ 労働者が副業・兼業先の求職活動をする場合には、就業時間、特に時間外労働の有無等の副業・兼業先の情報を集めて適切な就職先を選択することが重要であること。なお、適切な副業・兼業先を選択する観点からは、ハローワークにおいて求人内容の適法性等の確認を経て受理され、公開されている求人について求職活動を行うこと等も有効であること。
・ 労働者が使用者に対して他の使用者の事業場の業務量、自らの健康の状況等について報告することは、企業による健康確保措置を実効あるものとする観点から有効であること。
〇これまでの議論を踏まえると、ガイドラインの改正・施行後の検討事項として、以下の事項が考えられるのではないか。
・ 副業・兼業を行う労働者の健康確保措置の在り方について(一般定期健康診断及びストレスチェックの対象となる労働者)
・ 労働安全衛生関係施策、法令等を通じた統一的な本業、副業・兼業の定義について(健康確保措置の実施者の在り方について)
・ フリーランス等の新しい働き方への対応について(2020年8月26日に開催された労働政策審議会・安全衛生分科会の資料2「副業・兼業を行う場合の健康確保措置について」抜粋)
第133回労働政策審議会安全衛生分科会(資料)(厚生労働省)